第16話 天空の涙(16、レプリカ)
「すみちゃん、お土産やるよ」
佐和商店の閉店後。
事務所で、榊は菫へと小さな紙袋を手渡す。
「ありがとうございます。開けても良いですか?」
「もちろん」
菫が封を開けるとケースがあり、中には角度によっては淡い青色にも見える、一粒の真珠のタックピンが収まっていた。
「真珠?」
「の、レプリカ。『天空の涙』って名前がついた真珠が名産品らしいんだが、本物は流石に高価過ぎてな」
苦笑いを浮かべる榊に、菫は首を横に振って笑う。
「嬉しいです」
菫は早速、ピンをワイシャツの襟に付ける。
「もったいないので毎回は難しいですけど、何にでも合いそうで良いですね」
嬉しそうに真珠を見下ろす菫に、榊の眼差しも優しくなる。
「海が綺麗なとこだった。今度ドライブしながら行こうぜ」
贈った真珠に触れ、榊は菫の頬を撫でる。
「良いですね」
くすぐったそうにはにかんで笑いながら、菫は頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます