第6話 つくし。100万人のイケメンと共同生活。
って………嘘じゃん。
100万人のイケメンとの共同生活って。
すごいガリガリの美形のダークエルフや、獣人、ドワーフやそのハーフが100万人。
東村山の特別保護地区に私来ちゃった。
「よく来たね。つくしちゃん。僕らは君を歓迎するよ」「………君が来るのを待っていたよ」「かわいいね。つくしちゃん」「君のような天使を僕らは待っていた」
た、確かに美形だけども………。
た、確かにイケメンだけども。
この人たち、ほとんど暮らして行けない弱い人たちだ。ど、どういうこと。
私は私のために作られた仮設テントの中でパソコンで視聴者のみんなに問いかける。
「ど、どういうことだっ。諸君っ。わ、私はお見合いに来たんだっ。100万人のイケメンのお見合いって、避難民じゃないかっ」
視聴者が笑った。
> ぎゃははは。そりゃそうだ。お前、政策でハーフの避難民を世界に分散したろう?
> そこで仕事を得られない人間が、この避難地区にいるダークエルフたちだ。
> ロシアとアメリカから退去させられた人間の居場所お前は作らなきゃならないんだよ。
> お見合いっていうのも嘘じゃない。首相のお前にはみんな引く手あまたで避難民のみんながお見合い相手になってくれるぞ。
> そこでお前は避難民と共同生活をしろ。お見合い+共同生活だ。
うっ。避難民がみんなろくなもの食べてない。
与えられた食料は十分じゃないし、これじゃあ生きていけないよ。
塩スープに、おにぎりが3つ。これだけで一日過ごす感じになってる。
> 首相としてお前も同じ生活だからな。いっぱいの塩スープと、おにぎり3つ。
えええええええええ。
オムライスが食べられない。どうしろっていうの?
この人たちとの共同生活私しないとならないの?
し、死んじゃうっ。
わ、私、死んじゃうっっ。
配信で視聴者たちが言った。
> つー、お見合い企画!!!
> ぎゃはは。びっくりした? びっくりした。つくし。
> まあ、なんつーの、正直な話、貧困種族問題っつーわけ。
> 世界はさ。種族同士でまとまって助け合う。
> ところが、種族からあぶれた少数種族はどうなっちゃうわけ。
> その問題の解決も当然のごとくしやがれよ。わかるよなああ。つくしぃい。
> お前はダークエルフたちと住んでその人間たちと生活を上げていくんだ。
ええええええええええええ。
そんな問題、日本人の私に言われても。
「諸君。勘違いしてないかな? 私は自分だけを幸福にしたい人間だよ!!!! そのために首相になったんだ!!! 私がなぜ、貧困を救わなければならない!!!! 私は選ばれた人間だよっ!!!! 絶対イヤだ!!!!!」
煽りで拒否しようと思ったけど、視聴者コメントは容赦ない。
うぅ。この場を逃げたいっ。
せめて幸福な場所でお腹いっぱい食べながら色々考えたいよお。
> つくし。お前が100万人を救うまで俺たちはいつまでもお前を追い込むぞ。
> お前が幸福なニートでいられるようになるのは、100万人を救うしかない。
> いーーーや、それどころか、世界中に散らばった戦時国から退去させられ居場所を奪われた人間と貧困を救うまでわしゃゆるさんぞーーーーー!!
ひ、ひどいよ。
私は、ただ、オムライス作りが好きなニートっていうだけなのにっ。
本の世界が好きで、ゲームが好きで、その世界だけで生きていたいだけの人間なのにっ。
私は弱いの。
私は弱いのっ。
ひぇえええ。なんとか煽りで誤魔化さなきゃ。私がここから脱出するための手立てを。
「ははは。諸君。それでは、私が自憲党の高梨に命令してやろうじゃないか。高梨がうまくできなかったら、それは今の日本としてムリな政策ということだ。諸君には悪いが諦めてもらおう。私はリアリティのある人間だよっ。わかったかい? お前ら」
ぷるるる………
「………あの、高梨さん。世界の貧困を救いたいって案なんてないですよね? ……私、今、100万人の貧困をどうにかしなくちゃならないんですけど………無理ならいいです」
無理ですよね? 高梨さん。
だが!!!!
高梨さんは言った。
「いや、無理ではないよ。つくしくん。やはり、君は可憐で素敵な美少女だ。今の君なら国際的に呼びかけて、世界の貧困の助けを作る方策が作れる」
えっ?
うそっ?
「小麦の買い上げを人類分食料備蓄として行うんだ。そして、氷河に保存する。80億人の食糧危機に備えるために、紙幣発行の1%、そして、株式相場・ボランティアとしてそれを行う。そして、備蓄した食料のうち、賞味期限が切れて消費期限となった小麦については毎年4月4日に世界の貧困に供出する。それは世界大戦が起きたときの人類すべての備えだ。それをガーブ食として、経済での売り買いを禁じる。それによって、世界の貧困は3か月食料が行き渡る」
ひ、ひえええええええ。
高梨さん、なんでもアイディア出てくるイケオジ。
な、なんか知らないけど、私が世界の首相に呼びかければいいわけね?
言おう。
私は首相会見で世界の首相にテレビで呼びかけた。
テレビ局は首相会見ということでカメラを構えていたけど、国内問題ではなく、国際問題を思い切り世界の首相に呼びかける私に困惑してた。
私だってやりたくないよお。
ただ、高梨さんがやれっていうんだもん!
「あの……そんなことが本当に可能なんですか?」「首相として、実現のビジョンをほんとに描いてるんですか?」「紙幣の発行に干渉を掛けるなど。それは」
「はははは。黙りたまえ。諸君。私は必要なことを、ただ、まっすぐにやるだけだっ。人類のための保険だろうっ。それが理解できない諸君は黙りたまえ。さあ、私の発言を世界報道したまえっ」
ひぃぃ。ゴリゴリになっちゃったよ。でも、やらなきゃ。
私が貧困避難生活から脱出するためだから。絶対やらなきゃならないんだっ!
私はテレビで世界に呼びかけた。
「ははははは。世界の首相よ。私の意見を聞きたまえ。私は国際ガーブ法を提案するっ。人類は今は飽食の時代だが、いつでも食料危機に瀕しているっ。そこで、紙幣発行を1%分、そして、株式相場・ボランティアで、食糧の世界備蓄を行う。その賞味期限が切れたものに関しては世界の貧困に4月4日に配布。ガーブの経済での取引は国際法として禁じるっ。さあ、世界の首相であるこのつくしに、世界の首相よ。すべて従うがいい。世界の国民よ。私を支持して首相を動かしたまえ。それは、諸君らの愚民の100年の生活安定のためだよ。ははははははは」
それから、バババババ。日本の国連大使を動かし、あっという間に高梨さんが動いて、国際ガーブ法が成立しちゃった。
すご! 高梨さん。ほんとに有能。なんでもやる人。
イケオジだし、ほんと結婚してっ。私をニートに戻してっ。
こんな有能な人に守られたら、絶対、私、ゲームをやってファンタジー小説を読んでお料理を作るだけのニートでいられる。
はぁ。疲れた。
VMMO世界のおっさん少年盗賊の成り上がり読みたいっ。
バリバリ行くぜーーーーーーーー!!! ギルティスティーーーーール!! 今日のお宝は悪党貴族の銀宝石ぃ200万個ーーーーーーーーーーー!!
ああ。ほんとに没頭して本読みたい。1日中。
でも、これで、完全。私やることはやったよね?
だから、もういいよね?
私はまた仮設テントの私のパソで配信した。
「ははははは。諸君みたかい? 私は世界に通用する世界の首相だよっ。私の行った政策で、世界の1憶人が救われる状態になったというわけだっ。これで、私が貧困の生活を続ける意味はないね。意味はないはず。私は首相官邸に戻って優雅にお茶と美味しいケーキを食べる生活に戻るよ。当然の権利だ。はははっはははっ」
だが!!!!!
視聴者のコメントは冷たかった。
> おいおいおいおい。
> まだまだまだまだ。
> 小麦の賞味期限が切れるまでの1憶人の生活はどうする?
> 20年冷蔵保存してる間でも、ほら。お前にガーブは届かないぞ?
> 塩にぎりとスープの補給もいつまで続くんだ?
> つくし。仮設テント居住のドワーフやダークエルフや獣人たちの今の生活を立て直さなきゃならないだろうがーーーーー。
ひ、ひどい。
私はやるだけやったのに。
> 貧困っていうのは、種族的に少なくて弱い人間に隔たることになってるの。
> ダークエルフや、ダークエルフハーフ、それから、ドワーフも転生して来て、ひどいことになってる。
> 少数民族をまとめて、そして、貧困をまとめてライフラインを作らなきゃならないの。
「えっ? ………ライフラインってなに?」
あっ、素が出ちゃった。
> ライフラインっていうのは、電気や携帯みたいに経済に左右されずに安定してお金を得られる場所。
> 他の産業は全部経済で上下して競争になるけど、ライフラインだけは安定して生きられる場所なの。
> そこを貧困と少数民族をまとめてひとつの代表する組織が抑えなきゃならないの。
> 弱い人間がただ弱いだけだと、そのまま殺されて行く社会になってしまうから。
む、むずかしい。
よくわからないけど。
> つくし。それよりも、お前、ダークエルフのイケメンと話せよ。
> お前の結婚相手見つかるぞ。
> みんな痩せてるけど、すげえ美形だろう。
うぅ。
確かにダークエルフは美形だけど、経済力のない美形なんて。
私は、ニートで私を引きこもらせてくれる最低限の豊かな相手がいいの。
誰だっていいの。
> まあ、そういうわけでさ。俺らがダークエルフや、ドワーフや獣人たちにライフラインを作ろうと思って。
> ダークエルフが代表者として、日本の貧困に関する意見をいつでも言えるようにするちゅうわけや。
> わかる? つくしちゃん。
> それを作ってよ。つくしちゃん。
えええええええええ。
そんなものどうやって作るの?
私、そんなの考えられないし。
だって、私は自分がなんとか生きて行けたらいいし。普通の生活が出来て、それから、ファンタジー小説と、ゲームができる引きこもり生活ができたらいいの。
ちっぽけな居場所が欲しいだけなの。
なんとか誤魔化して逃げなきゃっ。首相官邸に戻りたいっ。
「はははっは。諸君。なぜ、私がそんなことをしなければいけないんだい? 私は自分さえ豊かになればそれでいいんだよ。いいんだーーー。私にあるのは名誉だけだよ。名誉っ。ははははっはは。それに第一、お前らにはそんなライフラインが考えられないだろ? だから無理だっていう話だよっ。所詮、お前らには何もできないっ。はははっははは」
> つくし。そこで、わしらは考えたんや。
> エロアニメを使ったエッチな市場を作ろうと思ってさ。
> エロアニメはいつでも需要があるだろ? それならライフラインになるって話だよ。
> おおおらーーーー。つくしぃいいいーーーー。現実的な話だろうがああ。つくれやあああああ。
ひぅ。
ひい。
なんで、私が18歳の乙女なのに、エロアニメ市場なんて作らないとならないのっ。
エッチなんて大嫌いっ。私は純粋な乙女なのっ。
た、助けて。
高梨さん。私を攫ってっっ。私を逃がしてっ。
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