11『コルネッティとのディール』
コルネッティの案内で通された応接室には、長いソファー2つの間に机が置かれている。
そして、入り口より奥側にあるソファーにコルネッティが、入り口の近くにあるソファーに南花とアリサが座る。
サクラ・コマチ・アオイの3人は、南花から見て右側に立って待機してる。
「ほぉ…あなたが、あの鉄之助氏のご息女である南花さんでしたか…以後、お見知りおきを。」
「えっと…はい、よろしくお願いします。」
「それで、早速ではありますが、協力して欲しい件についてですが…」
品定めをするかのような舐め回す視線に、困惑気味の南花へ、アリサが助け船を出す。
「なるほど…それで、この3人を貸して欲しいとのことですか。」
コルネッティは、ロイヤルミルクティーに角砂糖を複数個、ボチャボチャと入れながら応える。
「はい、射撃の腕前も十分な上に、私との親交も深い彼女らであればこそ、安心して背中を預けれますので…是非ともお願いします。」
アリサに釣られて、南花も頭を下げる。
「ふ~ん…」
コルネッティの思考に割り込むかの様に、アオイが口を開いてしまう。
「う~ん、私は首都へ行ってみたいかな~」
その発言が雇い主の勘に触る。
「おい、今はアオイの意見は聞いてはいないぞ…」
そう言ったコルネッティは、アオイに右手の人差し指を向けると…
その指先が僅かに光り、アオイの首元の蛇が動き出す。
「いやぁ…かあ、はぁ」
その蛇がアオイの首を強く締め付け始める。
痛みと息苦しさから、アオイは床に倒れ、踞ってしまう。
その苦しむ様に、南花の胸も苦しくなっていく…
「ご…ごめんなさい、許して…下さい。」
アオイの悲痛な願いに、ふんっと不満げに応えた
コルネッティは、チョーカーの縛りを緩める。
「分かれば良いんだよ…すいませんね、本題に戻しましょう。」
苦しそうに呼吸するアオイに、サクラが肩を貸して、立ち上がりやすい様に介抱する。
「オホン…この3人は、当地下遊演地でもトップクラスに優秀な人材ですから…討伐任務中に万が一ということがあれば、相当な痛手になってしまいますからね…」
優秀な人材?都合の良い駒の間違いでしょ?っと思った南花は、嫌悪感と不信感を抱く。
「確かに、そのリスクはあるとは思いますが…神獣を討伐した
渋るコルネッティに対して、メリットを提示するアリサ。
「そうですね…こう言うのはどうでしょうか?」
南花とアリサの全身を見渡したコルネッティの口元が緩む。
「明日の夜に開催する演目『
コルネッティの発言に驚きを隠せない
南花が問いかける。
「その『
「それはですね。暗闇の迷宮内に存在する3つの果物の木像を回収し、同じく迷宮内に点在する杯に捧げるという演目です。ただし…」
コルネッティは、ロイヤルミルクティーを一口、飲んでから続ける。
「化物達が徘徊する状態でね。」
南花のえっという驚きを見つつ、コルネッティは続ける。
「そして、
紅茶を一口飲んだ、アリサが問いかける。
「制限時間と化物の数について教えて頂けますか?」
「良いですよ。制限時間は24分、化物は全部で14体を配置します。
因みにですが…初回となる、前回の結果は木像は2つ設置し、化物は12体討伐、
南花とアリサは重たい空気の中、判断を迫られる。
そして、2人同時に口を開く。
「私も参加しても良いでしょうか?」
えっ!と顔を見合わせる2人
「いや危険だから、アリサは参加しなくても…」
「それは、南花も同じでしょ…そして、あなたは弾丸の開発をする上で必要不可欠
でしょ。」
言い合う2人の様子に、コルネッティの口角が僅かに上がる。
「私として、お二人に参加して頂いても結構ですよ。首都機関からの参加者とあれば、より多くの集客が見込めるでしょうし。」
「しかし、オーナー!あの演目は危険…」
サクラの進言を、コルネッティの右手の人差し指が沈黙させる。
「サクラ、ありがとう。でも、あなたも言ってたじゃない…この討伐任務は、
遮られた心配の声を、アリサは拾い上げる。
そのお互いを思いやる言葉を面白く思わないコルネッティが水を差す。
「2人に参加して頂く場合は一筆書いて貰いますし…賭けに負けた上に、誰かが命を落としても文句は受け付けませんので悪しからず。」
嫌味を含ませた確認に、不快感を感じたアリサが反論しようとするが…
「えぇ、誰も命を落とすことなく、
我慢が限界突破した南花が、先に啖呵を切る。
いきなり立ち上がった南花に、目が点になりつつもコルネッティが応じる。
「お二人とも、それは参加表明ということで宜しいですか?」
「はい!」
南花とアリサはまたしても、ほぼ同時に参加表明をする。
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