第28話 結団
魁斗は家に帰って直ぐに鍵を閉め部屋に入りベッドに寝転んだ。そして、カーテンを閉めてゴーグルを装着する。
「もし、ダークサイドゲームにこの国が関わっているのであれば、かなりの大事件になるよな。でも、やらない訳にはいかない。”ゲームスタート”」
魁斗はそう言って目を閉じる。そして、魁斗の意識は遠い場所へと連れていかれたように、一瞬にしてバーチャル世界へと転移した。
……シュテルは目を覚ました。目を開けるとそこは自分の部屋だ。シュテルは目を覚ますなりベッドからおり1階のリビングへと向かう。そして、そこに人が二人いることに気がついた。
「ん?あぁ、シュテル。君の友達だよ」
「来たのか……」
「言っただろ。こっちで話すと。それで、君の名前はシュテルか。僕はディープダーク。よろしく」
「ディープダークって、なんでそんなくらい名前にしたんだよ」
「あるゲームにそういう名前が出てきてな。そこには最強のモブキャラがいるんだよ」
「あ、なるほどね」
2人はそんな会話をする。すると、フィナムが言ってきた。
「君達は知り合いなのかい?」
「クラスメイトだな」
「初めまして。シュテルのクラスメイトのディープダークです。よろしくお願いします」
ディープダークはそう言って手を差し出しフィナムと握手をする。フィナムはそんなディープダークを見ながら嬉しそうに笑顔を作った。
「それより、結局どうするんだ?ダークサイドゲーム着いて話はしただろ?」
「そうだな。話し合いと言っても、まだ情報が足りない。僕は少し調べたいこともあるしな」
「ちょっと待ってくれ。シュテル、君はあれを話したのか?」
「あぁ。話したよ。ディープダークもほとんど知ってたからね。それに、多分ダークサイドゲームは俺達の想像以上にことが大きい」
「どういうことだ?」
「さっき、現実世界で俺らの家にこのゲームを作ったやつが来た。恐らく、俺達がログインしてないことを知っていて、そのことについて聞きに来たのだろう。もしかしたら、ログインしてないことで俺達になにかしたかったのかもしれないがな」
シュテルはそう言ってニヤリと笑った。そして、ソファに座って言う。
「フィナム、ディープダークと俺でパーティーを組みたい。だから、ここに住まわせたい。良いか?」
「あぁ。構わないよ。シュテルの友達だからね。でも、1つ条件がある。君たちのパーティーに僕も混ぜてくれ」
「あぁ、構ない。逆に、こちらから頼む。お前がいるだけで助けられる人は増える」
シュテルはそう言ってフィナムに手を差し出す。フィナムはシュテルの手を見て強く握る。
「じゃあ、とりあえずパーティーを作ってくれ。そこに僕とディープダークが参加すればいい」
「じゃあ、俺がリーダーになるのか?」
「そういう事だね」
「フィナムじゃなくていいのか?」
「僕は向いてないからね。それに、僕がなってしまうと、リーダーの僕が行くクエストに皆は必ず行かなくちゃならなくなる。そうならないためにも、基本的にクエストが少ない君がリーダーになるべきなんだ」
フィナムはそう言った。その言葉を受けたシュテルは少し考え頷くと、パーテーィ作成を始める。そして、2人がそのパーティーに参加し完成した。
「よし、これで良いね。じゃあとりあえず確認だけど、僕の頭の上にネームプレートが見えるだろ?2人もこれを出してみてくれ」
フィナムはそう言う。シュテルとディープダークはボタンを押しネームプレートを出す。
「うん。出たね。じゃあ次は、救難信号を出すボタンだけど、基本的にこの胸の辺りを指で2回タップすると、コマンドを選択出来る。ここで選んでくれ」
フィナムはそう言ってシュテルの前でコマンドを出す仕草をしてみせる。シュテルとディープダークはフィナムがしたように指で2回タップした。すると、コマンドが選択できるようになる。
「入力も出来るんだな」
「まぁ、滅多にしないけどね。チャットとかに使ってくれ」
フィナムはそう言ってコマンドを閉じる。シュテルとディープダーク閉じた。
「ま、あとは慣れてくれ。それしか言えないんだよね。それで、今日は2人は何するの?」
「俺は特訓かな」
「僕は少し調べのをしたい。部屋を借りても良いですか?」
「あぁ、フィナムの部屋の隣が空いてるからそこを使っていいよ」
「ありがとうございます」
ディープダークはそう言って部屋へと向かって行った。シュテルは剣を背負うと家から出ようとする。フィナムはそれを止めた。そして、忠告するかのように言う。
「洞窟を見つけたら直ぐに僕を呼べよ」
「……分かっている。あと、今日俺が行くのは闘技場だ。だから、安心してていい」
「そうか……それなら良いんだけどね。それでも気をつけるんだよ」
シュテルはフィナムにそう言われると、強く頷いき必ず安心させるという意志を見せてから家を出た。そして、闘技場へと向かう。
その間にも何かあるのかと思ったが、特に何も無く闘技場に到着した。そして、闘技場の中に入って軽く運動をすると、模擬的な敵として的を用意して特訓を始める。
「……影に飲み込まれたらダメだよなぁ」
シュテルは独り言でそんなことを言いながら影の力を使う。やはり、軽く発動させるくらいだと何も問題は無いらしい。しかし、少し強めると飲み込まれそうになる。シュテルはそれを何とか制御しようとする。そんなことを1人で続けていた。
ルビーはそんなシュテルを見て少しだけ不安な気持ちになる。しかし、頑張っているシュテルを見て信じようと心に決める。
そんなことを何度も続けていた。影を出しては引っ込め、出しては引っ込め、それを何度も何度も繰り返す。そして、2時間が経過した……
「……だいぶ慣れてきたな。影で体の半分を覆っても乗っ取られなくなった」
「凄いです!」
「フッ、だろ?」
シュテルはそんなことを言って笑う。そして、影を引っ込めた。すると、突如後ろから声をかけられる。振り返るとそこにはミウと知らない冒険者が2人いた。
「ミウか……何しに来た?」
「そりゃあ、その程度で喜んでいるあなたを笑いに来たのよ。全く、その程度で喜んでるの?低辺にも程があるわよ」
「じゃあ、俺に負けたらお前はど低辺だな」
シュテルがそう言うと、ミウはムッとしてシュテルに刃を向ける。
「あなた言うわね。今すぐここで戦いなさい」
「断る」
「っ!?」
ミウはシュテルのその言葉を聞いて目を丸くする。そして、直ぐに目をキリッとさせて大きな声で怒鳴ってきた。
「何よ!逃げるの!?ここで逃げたら、あなたは一生弱虫のレッテルを貼られるのよ!それでも逃げるの!?」
「別に構わない。俺の事を弱いと認識されるなら好都合だ。そのままにしておきたいくらいだよ。それに、どうせすぐに分かる。わざわざこんなところで手の内を明かす必要もあるまい。一つだけ助言してやろう。早とちりしていると周りが見えなくなるくせはまだ治ってないんだな。早く治した方が良いぞ」
シュテルはそう言って振り返ってミウから離れていく。しかし、ミウは今シュテルが言ったことが気に食わなかったのか、かなり大きな声で怒鳴りあげ言ってきた。
「何よ!生意気なやつね!あなたなんかただの弱虫よ!弱虫で泣き虫で、ヘタレで腰抜けの雑魚よ!そうよ!雑魚よ雑魚!雑魚なのよ!このざぁこ!」
ミウは泣きながらそう叫ぶ。しかし、シュテルはそんなことを全く気にする素振りを見せずにその場から離れていく。ミウの周りにいた人達や、その場にいた他の人達はその様子を見てシュテルにこれほどまでにないほどの嫌悪感を抱いた。そして、嫌がらせをしようと考える。
それからだった。それからシュテルとミウが戦うまで毎日シュテルへの嫌がらせが続いた。
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