第7話 夢?
そして、俺は電車の中で目を覚ました。
体には嫌な汗が噴き出していた。
夢だったのか……?
夢にしてはかなりリアルだった。
まだ耳に鈍い音が残っている。
電車のドアが開いた。
俺はドアが閉まる前に駅に降りた。
駅は夢で見たのと同じだった。
雨上がりの匂いが鼻をさす。
ここも同じだ。
俺は奇妙に思いながらも取り敢えず駅を出た。
駅を出ると、無意識に足が動き出した。
「うわ!!なんだ?!」
必死に逆らおうとするが足は勝手に動いて行く。
向かっているのは恐らく夢で行った最初の場所。
幾つかの角を曲がり狭い路地裏を通る。
辿り着いたのは売り土地と書かれた看板の前……そして後ろを振り向く。
言う事を聞かないのは足だけだ。
他は自由に動かせる。
「よう。久しぶりだな。」
俺は後ろに居る奴に向けて言った。
さっき見た夢は予知夢ってやつかもしれない……だから少しでもあの結末から運命を逸らさないといけない。
そう判断した。
足が勝手に動くのは訳が分からないが運命に沿って動いているという解釈でいいだろう。
運命だとか結末だとかそういう単語がスラスラ出てくるのはアニメや小説の見過ぎだろうか……
俺はこの状況に少し、ほんの少しだけワクワクしていた。
俺の人生を変えるかも知れないと……
「えっ!!どうして分かったんですか?零夜さん。」
「……ただの勘だよ。」
怪しまれないようにそう言った。
「ところで零夜さんはどうしてこんなところに居るんですか?」
そう言われ、俺はある程度の理由を話した。
「へ〜そうなんですか。一緒に昼食食べに行きます?良いお店があるんですよ。」
良いお店とはあのイタリアンな店の事だろう。
これにはいと答えてしまうと結末により近づいてしまうのだろうか……
だったら断るしかないだろう。
「悪いけど遠慮するよ。」
「どうしてですか?」
「今はコンビニ弁当を食べたい気分なんだ。」
「コンビニ弁当は体に悪いですよ!」
そう言われ、俺の体は女の子に引っ張られる。
逆らう事はできなかった。
運命が決まってしまったようだ。
そうして、俺は無理矢理イタリアンな店に連れて行かれた。
「ここのピザが美味しいんですよ。」
俺は逆らっても無駄だと思い仕方なく店に入った。
俺は女の子よりも先に席に座った。
少しでも変えていこう。
女の子はメニューを見始めた。
暫くして、女の子はメニューを置いて言った。
「私は今度はこのチーズのピザと赤ワインにします。」
「俺は普通のピザと赤ワインにするよ。」
女の子の注文が少し変わった。
運命が変わっているかも知れない。
俺は店員を呼び、俺達の注文を言った。
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