第十二話 妖怪の下心
あなた様もまずは元気になりましょう。いじめのこと、悩んでいること、どうすべきか答えを出さないといけないこと、耐えなければいけないこと、立ち向かわなければいけないこと、人間にはいろいろあるとは思いますが、そういうものに心が押しつぶされないためには元気が必要なんですよ。
おや、どうかしましたか。妖怪のくせに、あなたを不幸にしようとしないなんて、おかしいですか?
まあ、その、正直に言いますと、下心はあるにはある……。私の手助けであなた様が幸せになれば、モンスター誕生にかかわった罪へのつぐないになるかもしれないし、そうすれば仏様も私にたいして点が甘くなるかもしれないですからね。へへっ。うまくいけば来世はネズミあたりにしてもらえるかも……。ネズミもあんまり幸せじゃないかもしれませんが、ミジンコよりゃマシでしょう。
だからねえ、私としては、あなた様に幸せになってもらわなきゃ困るんです。幸せってのがどういうものなのか、妖怪の私にはわかりませんけど。やっぱりあれですかね、ごはんが増えるってのは幸せなんじゃないですかね。違う? じゃあ何が幸せなの、全然わかんない。
あなた様はどう考えますか。あなた様にとっての幸せってなんですか。なるほど、いじめがなくなることが、あなた様にとっての幸せなんですね。確かに今はそのことしか考えられないかもしれません。しかし、もうちょっと突き詰めて考えてみませんか。いじめがなくなった後のことを想像してみましょうよ。
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