第九話 そうはいっても
まあ、そうはいっても、これが通じるのは恥を知る者だけなんですよねえ。恥知らずは他人の視線を怖れません。ですから、あの子に通じるかどうか。いやあ、やっぱり関わらないのが一番ですね。誰かに相談できたらいいんですけど。難しそうですか。
それなら、ひとまず逃げて、あなた様はご自分を大事にして、チャーシューを食べて元気になればいいんです。あ、うどんなんでしたっけね。とにかくそういうことでございます。人間は元気がないと、できることもできなくなりますからねえ。
あなた様もあのモンスターの毒気に当てられて、元気がなくなってしまっていますよ。その上、自信までなくしてしまっておられる。怒ることすら忘れちゃっていませんか。怒っていいんですよ、自分を傷つけられたときには。
いや、何も私は怒りのままに喧嘩しろって言ってるんじゃないんですよ。そうじゃなくて、自分の感情にふたをしないで良いんだっていう話です。
おや、もう怒る気力もないのでしょうか。それはますますいけません。まずは元気を回復することから始めましょう。あとのことは元気になってから考えましょうよ。
もちろん元気がないまま無理して頑張るという選択肢もあります。無理して頑張って、それであとになって振り返ってみて、「あのとき頑張ってよかったな」って思うこともあるでしょう。あるいは、「無理したせいですっかり心身を壊してしまった」ということもあります。どっちに転ぶかなんて、誰にもわかりません。
だから、ひとまず元気を取り戻す。元気になったら、今はできないような踏ん張りもきくようになりますし、考え方も変わったりするもんですからね。
そうそう私の知り合いの妖怪に、山で怖い目に遭ったというやつがいるんですよ。
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