第七話 因果
おっと、これはこっちの話。気にしないでいいんですよ。なんですか、しつこいですね、そんなに知りたいですか。しょうがないなあ。
あの子はね、憎しみをその身に溜めすぎちまったんでしょうね。痛めつけられたものたちの怨念があの子にまとわりついて、ついには怨霊を呼び寄せてしまったんです。あの子は毎日ちょっとずつ地獄へ引っ張られているんですよ。
あのままだと、どうなりますか……。
ただ、あの美貌ですからねえ。怨霊もただでは死なせないでしょう。多分、大人になって子供ができて、それからでしょうね。それがタイムリミットでしょう。一気に崩れると思いますよ。いや、何がって、その、足場がね。人として踏みとどまるための足場の話ですよ。
そういうわけですので、あの子のことは怨霊と仏様に任せて、私らは楽しくやりましょうよ。あの子自身がおのれの過ちに気づいて引き返すのなら、まだ救いはあるでしょうが……。親が親ですしね。ある意味ではあの子も被害者……、もとはといえば私のせいなんですけどね。しかし、私があの子ではなくあなた様を救おうと思って取り憑いたのは、生まれてから今日までの本人の行いの結果なのでございます。
そして私の行いもまた、私自身に返ってまいります。
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