第2話「幼なじみ達とババ抜き」
ご飯を食べ終わった後みんなでトランプでババ抜きをしていた。
まだまだみんな手札の数が多く序盤戦だった。
俺の番になって隣にいる
陽華がカードを一つだけにょき、と飛び出させていた。
俺はその隣のカードを手に取って引こうとした時陽華がプルプルと悲しそうな顔をして首を振っていた。
試しに隣にある飛び出しているカードを手に取ってみると陽華はパァっと顔を明るくしてよろこんだ。
またさっきのカードに手を戻してみるとまた悲しそうな顔をしてもう1回飛び出しているカードを触るととても嬉しそうに喜んでいる。
もう1回やると同じようにしていて分かりやすく感情を
何だこの可愛い小動物は……
少し
「え?」
「なんでそっち取ったの?」
「なぎにぃ……?」
ほかの人たちからは怪訝な視線を向けられた。
なんでこんなにもわかりやすいのにジョーカーの方のカードを取ったのか、と。
いや、俺の立場になったらわかるよ!これはジョーカー引いちゃうって!
そんなことを心の中で叫ぶ俺だが実はだいぶやばい。
何がやばいかってこのババ抜き最下位になった人に優勝した人が何でもひとつ命令できるってルール付きでやってるから。
そして俺のカードを引くのは今までの経験上この中でババ抜き最強の
今この状況を何とかしないと最下位になってしまう。
俺は陽華と同じようにしてジョーカーを飛び出させる。
ババ抜きの強い詠なら裏の裏を読んで飛び出している部分を引くだろうと思ったからだ。
だがそんな俺の思惑とは真逆に詠は全く違うとこから一枚引いてペアを一つ作り上げていた。
「なんでだ……」
俺の独り言が聞こえたのか詠は満足げに言う。
「知りたいですか…?」
俺はその言葉にこくりと頷く。
「なんでかと言うと仮に飛び出しているカードがジョーカーだったとします。その場合飛び出している方を引くと1分の1の確率でジョーカーを引いてしまいます。ですが飛び出していない部分がジョーカーだった場合今の場合ですとジョーカーが当たる確率は5分の1になります。なのでリスクを考えて飛び出ている方は取りに行きませんでした!」
確かに言われてみればその通りだ……なんでこんな簡単なことにも気づかなかったんだろ。
一応中学の頃は学年10位以内に入ってたんだけどな…と心の中で自嘲しつつ詠に向かってなるほどな、と頷く。
「教えてくれてありがとうな、詠」
詠に素直な感謝の気持ちを述べる。
よし!詠に確率論を教えてもらって欠点がなくなった俺はこれでババ抜き最強だぁ!!絶対勝てる!!
♢♢♢
負けました……
美しいまでのダントツの最下位。
で、今は優勝した詠が命令を何にするか決めているところです。
10分前「絶対勝てる!!」とかほざいてた自分が恥ずかしい。
幼なじみ達が
俺に関しては負けたからだが、父に関しては普通に最初からこんな感じだ。
「「「決めた!!」」」
おー、ようやく俺の処刑方法が決まったようだー。
「優勝者の命令は絶対ですよ?」
詠が事前に釘を刺す。
余計に怖くなる
「命令は……」
詠はそこで一度区切ってためを作る。
どくん、どくんと心臓が波を打つ。
やけに長く感じられた静寂を突き破るようにみんなが声を揃えて言う。
「「「今日このまま渚沙の家でみんなでお泊まりでーす!!」」」
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