嫌われてたと思っていた7人の幼なじみから本当は好かれてたことに気づいたいじめられっ子の俺は今まで俺の事をバカにしてたヤツらにざまぁ!!しようと思う

星宮 亜玖愛

第1章 復讐編

プロローグ

 自分で言うのもなんだが、俺はすごくモテる。いや、モテていたという表現の方が合っているだろうか?


 中学3年の始め頃までは髪などもしっかり整えていて、顔もそこらへんの底辺モデルよりかは整っていたと自分のことながら思う。


 告白も月に3回くらいのペースでされていた。


 そんな俺、七瀬渚沙ななせなぎさには大切な存在がある。


 それは、俺の幼なじみである7人のことだ。


 俺の幼なじみは全員女子、男子の幼なじみはいない。


 そもそも幼なじみなんていないやつだっているし、居たとしてせいぜい2人とか3人とかだ。しかも7/7女子なんて普通は考えられない。


 俺は生まれたばかりの頃両親が離婚し、母は逃げるように実家に戻り、当時まだ大学生だった父にはまだ養えない、と施設に預けられていた。今は父も安定して稼げるようになったため、2人で平穏な日々を過ごしている。


 この7人はその施設で一緒だった特に仲の良かった7人だ。幼なじみというよりは、どちらかというと家族という存在に近いのかもしれない。幼なじみが女子しかいないのは他の男子達から「女っぽい、きもい」などど嫌われてたからだろう。


 楽しい時も、辛い時も、泣きそになった時だっていつも周りには幼なじみ達がいた。


 だからこそ、この7人は何よりも大切でこの7人がいればどれだけ周りの人たちに嫌われたって生きていけると思った。


 でも今俺はそんな何よりも大切な7人から嫌われてる。


 嫌われていると気づいたのは中学3年の始めの事だった。


 幼なじみみんなでお祭りに行って、一番年下の雪宮陽奈ゆきみやひながみんなとはぐれそうになっていたのを見て咄嗟に手を握った時、陽奈は「ひゃっ!やめてっ!」と言い俺の手を払った。


 その時の俺は彼女が何を言っているか理解ができなかった。


 だが、だんだんと頭が冷静になり、言っていることが理解できると祭りならではの周りの喧騒がだんだんと消えていった。


 陽奈は、怒ったように顔を真っ赤にしてそっぽをむいていた。


 そこで俺はあぁ、陽奈に俺って嫌われてたんだな。そう確信した。


 結局、陽奈には「はぐれるなよ」とだけ言って踵を返し、他のみんなの方へ顔を向けた。


 するとみんなは俺に、恨めがましいというような視線を向けていた。


 そう俺は、他のみんなにも嫌われていたのだ。


 でもそれだけで決めつけるのは良くないと思い、微かな希望だけを信じていた。


 だがその希望はあっけなく崩れ落ちた。


 祭りの時のようなことが他にも何度かあったのだ。


 それで俺は嫌われていると確信して、彼女達に嫌いな奴と一緒にいるという嫌な思いをして欲しくないという思いと、嫌われているという状況に耐えられなくなった俺は7人全員と接点を完全に無くした。


 高校も、彼女達と約束していたとことは違う高校にした。


 そうして俺は家族よりも長い時間をともに過ごした彼女達と離れていった。


 7人がいなくなった生活は寂しくて、どこか物足りなくて、でも時間だけは長く感じて…そんなパッとしない日々を送り、いつの間にか俺は高校2年生なった。




♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢




「おいクソ隠キャ!そこじゃまだどけろ」

「ご…ごめん…」


 クソ陰キャと呼ばれた今の俺は、おどおどとしつつその場所を避ける。


 そう、今の俺はいじめられている。


 昔まではカッコよかった容姿も、彼女達に嫌われているとわかったあの日から、ショックで落ち込み容姿を整える気力すら失った。


 体つきも、細いながらも筋肉がついた理想の体型も今では少し背の高いただの小太りの高校生になってしまった。


 あの日以降周りとの接触を避けてきたため、クラスの一軍の奴らのストレスの捌け口としてはちょうど良いようだ。


 最初はちょっとしたいじりだった。


 好きな声優が出てる番組を昼休みに見てると、「お前オタクやん!きも〜」と言われた。


 その時は笑って自嘲して誤魔化したが、それが凶となったのかその日以降何も反論してこない俺を良いことに次々と悪口を吐かれていた。


 だが、こんなものは三年間我慢すればどうとでもなる。


 心には傷を負いつつも決して表には出さず、笑って誤魔化していた。


「はぁ、退屈だなあ」


 そう独り言ち、いつも愛用している旧校舎の非常階段へとご飯を食べ行く。


 目的地に向かって歩を進めていると、奥から人の話し声がした。


「だれだろ?こんなとこに人なんてきたこと一度もなかったんだけどな」


 そう思い声のする方へと向かっていくと、助けを求めるような声が聞こえた。


「だ…だれかっ!!」

「ははっ、残念だけどここには誰もいないさ!だからここを選んだんだけどねえ」

「い、いやっ!!」

「お前ら、後で廻してやるからちゃんと見張っとけよ」


 角から様子を伺ってみるとそこには1つ学年が下の俺でも分かるほどの何人かのトップクラス陽キャたちに迫られている1人の女子がいた。


「まぁ、大人しくしてりゃ悪いようにはしないからさ」


 そんないかにも悪役のテンプレの言葉を発する男に俺は我慢できなくなった。


「だっ…だれかっっ!!」


 彼女が喉の奥から絞り出したような本当に助けを求める声に呼応するように俺は強く地面を蹴っていた。

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