第15話 私のヒーロー

side渚

 私は今、東城の家でお風呂を借りている。夜の公園で数人の男に囲まれ、腕を掴まれ、何処かに連れて行かれそうになった。

 周りには人が居たにも関わらず、誰も助けようとしてくれなかった。

 思い出すとあの時の恐怖が蘇り震えが止まらなくなる。

 

 誰も助けてくれない中、絶望しかけたその時に現れたのが東城だった。

 なんでもあの公園は家までの近道らしいのでよく通るんだって。

 

 そして東城はあっという間に男達を倒しちゃった。


 でも、あの時の東城…

「ヒーローみたいで格好良かったなぁ…」

 と、呟き

「ッ!?」

 恥ずかしくなり、湯船に頭まで浸かる。


 そして、東城が男達を倒した後、1人の男に何かを言っていた。その時の東城の表情は怖かったけれど頼もしくも見えた。


 そこで私はある事に気が付いた…腰が抜けて動けなくなってしまったのと…その…足元がね?…水溜まりにね?…えっと、下半身が……濡れて…ね?




 …はい、私は漏らしてしまったのです。…グス



 その後、私は動けないからと東城にお姫様抱っこされました。

 初めてのお姫様抱っこが失禁してる状態だなんて…あんまりだよ…グス

 そして私は東城に下ろしてとお願いしたけれど、腰が抜けて動けないだろ?って。

 私は…そこで、東城に今の私が汚いって伝えた。凄く恥ずかしくてまた泣いてしまった。


 東城は私が失禁している事に気が付いていた。…そりゃ気付くよね。私の下半身、盛大に濡れてるし、臭ってたよね…グス

 もうお嫁に行けないよぉ…



 …………東城に責任取ってもらおうかな。




 そして東城の家に着いたらお風呂と洗濯機を借りた。





「…あがろう」

 私はお風呂から出た。そこにメモと服が置いてあった。

 メモには「下着は自分で乾燥させてくれ。服なら俺ので良ければ使ってくれ。」って書いてあった。

 

「ありがと…」


 私は用意された服を着る…ノーパンノーブラは違和感があるし、男の家っていうので余計に落ち着かない…



 そして私は居間に向かい、

「東城。お風呂ありがとう。」

 と、言ったけれど返事がない。

「東城?」

 東城が…居ない。

「ぅぅ…とうじょう…グス…」

 東城が居ない事で急に不安になってしまい私は泣いてしまった。



「ん?…グス」

 テーブルの上にメモが置いてあった。


「ちょっと用事で人と会ってくる。多分1、2時間くらいで戻ると思う。部屋は好き使ってくれ。あと、好きなもん勝手に食って良いぞ。

追伸…誰か来ても出なくて良いぞ。」

 と書いてあった。


 なんだ、用事か。ちょっと安心した。



 ……私は東城の部屋を漁った。だって好きに使っていいって書いてあるもん。

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