そのシーンから見える因果関係に「説得力」を伴っているのか。

因果関係とは原因と結果の関係です。


温かい部屋のテーブルのうえ。そこに氷が置かれる。→氷が部屋の熱で溶ける。


この因果関係は自明です。このように、前後のシーン変化には、因果関係すなわち説得力が大切になります。


シーンに説得力を持たせるは、次の3つが重要であると筆者は考えます。


1 共感覚 (2章)

2 キャラクターの主張・目的意識 (2章)

3 社会的状況 (3章)


因果関係が破綻していると、読者は次のような疑念を抱きます。


「このシーンでは、本当はこうなるのではないか」


「あのシーンは、何かおかしいのではないか」


読者は作品を読むにあたって、さまざまな想定を行います。無意識的であれ、あるいは意識的であれ、ストーリーの展開を推測し、期待通りの展開には喜び、シリアスな展開には手に汗握るわけです。(この考え方は、第2章 ストーリーの双方向性でもう一度言及します)


しかし、説得力が欠けていると、この展開は、期待外れと判断されてしまいます。なぜなら、どう考えてもそうはならない、と読者が考えた時点で一気にストーリーへの没入感と興味が無くなってしまうからです。


ただし、シーンやシーン全体としてのストーリーに、説得力を持たせるのはそれほど簡単ではありません。


書き手は、情景を丁寧にイメージして、読み手を引き込む必要があります。ストーリーの論理的な整合性も一致していると同時に、読者が無意識に求めているシーンも与えて、読者を満足させることが重要です。


つまり、ある一定の世界の中で、キャラクターは暮しているわけですが、論理的な整合性があることでストーリーに奥行きが生まれます。(社会的状況)


同時に、キャラクターの置かれている状況やキャラクターの持つ主張を読者が、自身に起きた出来事のように理解する必要があります。(キャラクターの主張)


そして、この2つ、社会的状況とキャラクターの主張に、読者が共感できなくてはなりません。ここが最大の難点です。(共感覚)


これらが、絶妙に組み合わさることでストーリーの説得力を生みます。


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続いては、ジブリの名作「となりのトトロ」を分析します。これによってプロットとは何であるかを、言語化し、この第1章 ストーリーの構造を締めくくります。


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