イヴの夜 ~ 3人の運命の絆 ~
ハル
第1話 最低最悪のクリスマスイヴ~あなたに出逢えた奇跡~
「悠魅(ゆみ)」
親友の・絋辺 由佳(わたべゆか)
「何?」
「今年のイヴは彼とラブラブイヴ?」
「あー、うん…」
「もう付き合って、どれくらい?」
「一年位かな…?」
「一年か~、いいなぁ~。私そこまで続かないから悠魅が羨ましいなぁ~」
「そう?」
「うん」
私の名前は、小西 悠魅(こにし ゆみ)。16歳。
彼氏はいる。
1個上の・海須麻 一希(あずま いつき)と付き合っている。
付き合って一年を過ぎていた。
そして、12月24日。
クリスマスイヴ当日。
「おかしいな…待ち合わせ時間とっくに過ぎてるし…今まで、こんな事全然なかったのに…」
♪♪♪~…
私の携帯に1通のメールが入ってきた。
ピッ…
ズキン…
『俺の本彼女(カノ)。出来心でお前と付き合った』
メッセージと一緒に添付された写真つきメール。
メッセージは更に続く。
『初めまして!私、一希の彼女の関耶麻 知夏(せきやま ともか)です』
『彼とは付き合って、もう2年位経つんだ』
『一希、可愛い子見つけると、すぐ声掛けちゃうから。ゴメンネ』
「こんなメール…超最悪…全て捧げた相手に……」
つまり私は遊び相手。
体だけの関係だったって事だよね…
私は待ち合わせ場所から走り去った。
クリスマスイヴ
聖なる日に
私は裏切られた思いと
同時に悔しかった
賑わう街並み
イルミネーションの光も
私の目には
とてもボヤけて見えた
その途中──────
「何だよ!それっ!やってらんねー!マジムカつく!!」
「…ごめん…遼助(りょうすけ)…」
「…………………」
2人は別れ、男の子は私の方に向かって来る中、目が合ってしまった。
「………………」
《ヤバ…目が合ってしまった》
目をそらそうとしたけどそらす事が出来ずにいた。
「何?」
「い、いいえ」
私は足早に去り始める。
ポトッ
私は渡すはずだったプレゼントを落とした事に気付かず
「おいっ!落とし物」
「あっ!それ…!」
「渡しそびれ?ドタキャンくらって渡せなかったの?貰った感じじゃねーし」
私は取り返そうとするも
スッと上にあげられた。
「ちょ…ちょっと!!何す…」
フラッ
「きゃあっ!」
ドサッ
体のバランスを崩し男の子の胸の中に倒れ込んでしまった。
ドキッ
私は慌てて離れる。
「計算?」
「はああっ!?そんなわけないでしょう!?自分こそフラれた腹いせの嫌がらせ!?」
「なっ…!」
「クリスマスイヴなのに、さっみしいー!」
「テメーこそ、このプレゼントは何だよ!」
「それは自分へのプレゼントなんですっ!」
「はあぁっ!?そっちの方が寂しくね?彼氏いねーからって自分へのプレゼントっ!?しかもイヴの夜に!?」
「自分への御褒美くらいあってもいいでしょう!?」
「自分への御褒美って…」
「いけない?とにかく返して!!」
「……………」
男の子は返そうとするも、グイッと引き寄せ抱きしめられた。
ドキッ
「ちょ…」
「このプレゼント…本当の所どうなわけ?」
「…ほ、本当に自分への御褒…美…」
泣きそうになり私は体を押し離そうとする。
「…無理すんなよ…お前が気が済むまで泣いて良いから」
ドキン
私は一気に込み上げ涙が次々に溢れてきた。
初対面の男の子の前で涙を流す
本当は彼も泣きたいはずなのに
彼は初対面である私を
心よく 優しく抱きしめてくれていた
「ごめん…ありがとう…」
私は帰り始める。
「待てよ!」
足を止める私。
「せっかくだし出掛けねー?」
「えっ?」
「俺もフラれたしフラれた者同士、寂しいクリスマスイヴだけどさ忘れて俺とどう?あー、それとも家に帰って顔がグチャグチャになるまで泣く?だったら、それは、それで俺は帰るけど?」
「良い奴だと思ったけど嫌な奴」
「初対面で良いも悪いもあるかよ。で?どうすんの?」
「…それは…」
「あっ!それともプレゼント交換なんかして一層のこと恋人同士になる?」
「あのねー!」
「行こうぜ!まあ無理に言わな…ぃ…」
男の子の手を掴む。
「私なんかで良いわけ?初対面なのに」
「良いから言ってんじゃん!駄目なら誘わねーよ!つーか、帰る気ねーんだよな~。だからって、一人じゃつまんねーし。気晴らしに出掛けたくて」
「そうなんだ。OK!私、小西 悠魅。あなたは?」
「成宮 遼助(なりみや りょうすけ)」
私達は寂しい者同士イヴを過ごすのだった。
そして夜も更けた頃─────
「なあ、プレゼント貸して」
「えっ?プレゼント?」
「渡せなかったやつ」
「何するの?」
私達は、お互いのプレゼントを交換する。
「交換?えっ?どういう事?」
「お互いのプレゼントを捨て合うの」
「捨て合う?」
「持ってても未練がましいし。買った本人が捨てるよりも良くね?それとも持っておく?」
「要らないし!」
「だったら交渉成立!」
私達はクリスマスプレゼントを捨てあった。
「今日はサンキュー」と、遼助君。
「こちらこそ。ありがとう!」
「さて!新しい年になったら良い女見付けようっと。お前もイケてんだし良い男見付けな」
「…うん…そうしたい所だけど…どうかな…?恋愛するの抵抗あるかも…」
「…悠魅ちゃん…?」
「…本当に良い人に出逢えたら良いけど…正直…疑っちゃうかも…」
ドキン…
キスをする遼助君。
「何かあったら言えよ!俺が飛んで来るから」
「ありがとう」
そして別れる私達。
もう少し
一緒にいたい
私に取って
彼の優しさは
とても心が
温かかった
「遼助!待って!」
足を止め振り返る遼助君。
私は遼助君の胸の中に飛び込んだ。
「…悠…魅…ちゃん…」
「我が儘かもしんないけど…初対面だけど、もう少し一緒にいたい…」
「………………」
スッと体を離される。
「…悪い…俺…あんたと、これ以上一緒にいると取り返しのつかない事になるから…」
「…遼…助…」
「…だから…ゴメン…」
「………………」
遼助は帰って行く。
私は遼助の背中を
見つめる事しか出来なかった・・・
きっと後を追っても
彼に突き放される
そういう気がしたから────
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