遊魔帳奇譚

蛟 禍根

遊魔帳奇譚 ~プロローグ~

第1話

 二柱(二人)の悪魔がいた。名をマモンとアスモデウスと言った。


 その名前は人間が勝手に名付けたもので、本来の名前は人間の声帯では発音できない音で構成されていた。

 だがその名を呼び、怖れ、畏怖し、恐怖する人間達を見て、悪い気はしなかった。


 なんなら、正直気に入っていた。


 永遠の命を持つ彼らは常に暇を持て余していて、何か楽しい事は無いかと思案する。


「そうかもっと恐怖したいのか」


「どうすれば人間達はより恐怖するのか。」


 試してやろうじゃないか。


 彼らの悪意に満ちた実験を書き留めたものがこの「遊魔帳」である。

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