第12話 エンリル
エリドゥ宇宙港にはニビルからの定期便が運行されている。
宇宙船の搭乗客はアヌンナキかニビル人が主流である。
また定期便がエリドゥ宇宙港に到着した。
「これが地球かぁ。ニビルとは全く違うな!地球の空って青いんだな。こんな空ははじめてだよ。」
ニビルから到着した宇宙船を降りたエンリルは呟いた。
エンリルはアヌの息子でエアの異母弟である。
エンリルはエリドゥ宇宙港の到着ロビーでエリドゥの地図を眺めた。
「この宮殿かな?」
エンリルはタクシーに乗りエリドゥの宮殿に向かった。
宮殿に入ったエンリルはアヌとエアとの再会を果たした。
約8年ぶりの再会である。
ニビル時間では約8年だが、地球時間では約28000年ぶりとなる。
「父さん、兄さん。」
「エンリル!お前、もしかしたら移住するのか?」
アヌはエンリルに尋ねた。
「うん。一旗上げたくてね!」
エンリルが答える。
「で、エンリルお前何がしたいんだ?」
エアはエンリルに侮蔑の目を向ける。エアとエンリルは幼い頃から仲が悪かった。
この兄弟の仲の悪さが後々地球に大きな影響を与えることになる。
「地球を俺の物にしたい。」
エンリルが唐突に言う。
「馬鹿な事を言うな!お前だけの物にはならんぞ!」
エアが怒鳴る。
「兄貴、地球の指導者ってのは、地球は俺の物って意味じゃないか?」
エンリルはエアに不適な笑みを見せた。
「お前はなんて愚か者なんだ!」
エアは呆れていた。
「俺にその地位をくれ!」
またもエンリルは唐突に要求する。
「馬鹿野郎!お前は全然分かってない!望んだからって簡単に得られる物じゃないぞ!」
エアは腰に帯びたシックルの剣に手を掛けた。それを見たアヌがエアの右手を押さえて制止する。
「望まなければ得られないんだよ!兄貴こそわかってないな!望まなければその地位は辞退したはず。」
エンリルは望む物は全てを手に入れたいと考える男であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます