創世記

中川厳

第1話 地球への旅立ち

遥か太古の物語……





「ニビル宇宙航空、NAS556便アンドロメダ星行きにご搭乗のお客様…」



「シリウス星宇宙航路便はただいま彗星による航路変更を余儀なくされ…」



舞台はニビルという惑星にある国際宇宙港である。


「参ったな〜。今年は特に浮遊彗星が多いらしい。俺らが乗る宇宙船は大丈夫か?」


「太陽系の外は大丈夫らしい。」


「軍の知り合いから聞いたけど、彗星は太陽系の外に出て行ってるらしい。重力に捕らわれてる彗星は約500だって。核ミサイルで1週間ほどで全て破壊出来るらしい。」


宇宙港では最近発生した浮遊彗星の話が飛び交う。

各惑星とニビル星を行き来する宇宙船の運行に支障を来たしていた。

ニビル政府は軍を動員して核ミサイルを用いて彗星を破壊していた。





「国立惑星研究所のアヌさんはどちらですか?」


「はい。私ですが。」


アヌが振り向いた。相手は自分が宮殿の侍従だと言う。


「国王陛下からのお言葉があります。コードはd 52-3です。」


侍従がこう言うとアヌは腕時計を操作し、光を床に当てた。そこから人が形成された。ホログラムである。

アヌはそのホログラムに深々と頭を下げた。


「アヌさん、はじめまして。国王です。」

国王は民間人と変わらぬ上下繋ぎ服を着用し、胸元には勲章を1つ佩用していた。


「はじめまして陛下。国立惑星研究所のアヌです。」



「アヌさんをはじめ皆さんは太陽系の未開の惑星地球の開拓に従事されると伺いました。さぞかしご苦労も多くなろうかと思いますが、どうかこの開拓が成功することをお祈りいたします。」


国王はアヌにこう伝えた。




「ありがとうございます!」

再びアヌは頭を下げた。



宇宙港にいた周りの人は拍手である。ニビル人は国王のホログラムを見た時は拍手する習慣がある。

ニビルでは国王は世襲制で、住民の投票によって選ばれた統制官が実際の政治を担っていた。


「ニビル宇宙航空NAS852便地球行きチャーター便にご搭乗の皆様お待たせいたしました。」

宇宙港内にアナウンスが聞こえた。


「さあ、皆んな行こう。」

アヌをはじめとして続々と地球開拓者はチャーター便に乗り込んでいく。


ニビル宇宙航空NAS852便地球行きチャーター便が動きはじめた。最初はゆっくりと、そして急速に上昇していく。



「皆様、当船は無事ニビル国際宇宙港を離陸致しました。これより第3惑星の地球に向かいます。飛行時間は約8時間を予定しています。機長はイルエン、キャビンアテンダントは私トリナをはじめ6名です。皆様の快適な宇宙の旅をお手伝いいたします。」



「航空宇宙センターから貰った資料だと地球は水の惑星らしい。美しい所で、生物は存在するが知的生命体の存在は確認されていないそうです。」

アヌは地球開拓団のメンバーにこう説明した。




「ご搭乗の皆様にご案内します。当船はまもなく地球の大気圏を通過致します。席についてシートベルトをしっかりとお締め下さい。」


大気圏を通過し宇宙船が地球に着陸した。



「ご搭乗ありがとうございました。地球に着陸いたしました。」




開拓団は大気状態への不安からベッドマシンを被り下船した。

大地は緑に覆われ、近くに川が流れているのか水の音が聞こえてきた。


一見すると人工構造物はないようである。

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