第19話
私と詩織は和歌山の某湾岸基地に着いた。そこで待っていたのはジョージと戸部、色々な軍人やら研究員であった。
「お!秦野、着いたか!あれ?お嬢ちゃんも来たのか?」
とジョージが迎えた。
「ああ、今回も詩織さんには力になってもらおうと思ってね。」
と私。
「よく来てくれた、秦野君。着いてそうそう悪いんだが話を聞いてくれ。取り合えず指令室へ。」
と戸部が言って、一同は指令室へと向かった。
「今、中国側の話なんだが、西日本一帯も全部東日本連合軍が手中に納めた。そしたら中国側もヤケになったんだろうか、音速の核弾頭を西日本へ全弾打つと言ってきた。この情報は確かな筋からだから間違いない。東日本にはplasma sphere EMPがある。しかし西日本にはそれがない。だからEMPを作る必要がある。」
と戸部が説明を始めた。
「しかし、この西日本一帯をカバーできるEMPなんてすぐに作ることなんてできませんよ?」
と私が答えた。
「そこがポイントだ。東日本大震災以降、日本が免振工事を行ってきた真の理由を知っているかね?」
と戸部が含んだ言い方をしてきた。
「いいえ、いや、まさか...。圧電素子?」
と私が答えると
「そうだ。秦野君。さすがだ。全てが圧電素子で出来ていて繋がれており、そこで大きな電流を作り出せるようになっている。それを利用してEMPを作るというのが我が国家戦略の一つだったんだ。」
と戸部が答えた。
「まさかそんなことをしていたなんて...。」
と私。
「そこで秦野、お前の出番だ。モグラに小型の核弾頭を積んで南海トラフに落としてくれ。小規模の地震を起こす。無論、地震の大きさは予測がつかない。それは甚大な被害が出る可能性もある。しかし核弾頭の放射能で汚染されるよりはましだ。だからモグラをもう一度作ってくれ。研究員などは集めている。お前の指示で動いてもらう。中国側が提示した条件は一週間後。日本を明け渡すか核弾頭を全弾打つかどっちかだ。」
とジョージが言った。
「じゃあ、もう一度設計図を書くよ。避難指示は詩織さん、まかせていい?」
と私が言うと詩織が
「その手の話なら私がうってつけですね。お父さんに頼んで西日本全土の住民に声掛けさせてもらうわ。」
と詩織が答えた。
「一週間後の12時までが正念場だ!各々、検討を祈る!」
と戸部が言い放った。
それから私はモグラを核弾頭を乗せるように作り直した。研究員を総動員で一週間ほぼ寝ずに作業をした。詩織やジョージは西日本の人達を津波や家屋倒壊などの危険性を鑑みて安全場所確保と避難ルートの確保を急いだ。
そしてついに一週間が過ぎた。
私たちはあらかじめモグラを南海トラフ付近に配置していた。そして西日本の住民も津波などの被害から逃れるように避難させた。
「ウェイエウェイ。日本人諸君。本日12時が日本の明け渡しの時間。それが整ってないと見える。その約束の通りに核弾頭を全弾、西日本に向けて発射する。」
とアナウンスが流れてきた。
「12時から発射されるとして30分後には着弾するはずだ。EMPは何時間持つかは分からない。それは地震の規模による。11時30分にモグラを爆発させよう。それぐらいで地震が起こると専門家の判断だ。これは日本の一世一代の大博打だ。」
と戸部自信も生唾をごくりと飲み込んだ。
そして11時30分、モグラを爆発させた。11時54分、初期振動あり。11時57分、本振動。
地震の途端に
「グイ――――――――――――ン!」
と西日本全域をEMPが覆いつくした。
そして12時、核弾頭が発射された。発射された核弾頭は日本の国土に落ちることなく太平洋に落ちて爆発をした。この爆発で地震の津波との相乗効果でかなり大きな津波が太平洋沿岸を襲った。あらかじめ避難をさせてはいたものの、かなりの人と家屋などの被害が出た。
この発射された核弾頭のいちから発射基地を全て割り出し、東日本連合軍が反撃をして中国軍の全土の基地を破壊した。取り戻していた韓国、台湾なども反転攻勢に出た。
このご一週間ぐらいは中国側が降伏するまで戦いが続いた。まるでかつての大日本帝国のようなあつかいをされているような気がした。
中国の領土分割などはされなかった。だが、中国共産党は解散された。民主主義国家となった。変わったのはそれぐらいだ。
「しかし考えてみたら私達は凄いことをしましたね、詩織さん。」
「ええ、しゅんちゃんとならなんでもできるきがするわ。今度は主従関係のengageのリングを作りませんか?」
「え?それって、しかも詩織さんから言うの?」
「フフフ。しゅんちゃんは奥手だからね。」
「詩織さんにはかなわないや。」
Rising Sun of far east 秦野 駿一 @kwktshun
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