第一章【第三話】「電車の中であったような…」
[とある生徒の手記]
この学校には、悪魔がいる…。その悪魔の名は……分からない。でもなぜか知っていた気がする。と言うよりも彼女の何もかもが分からなくなっていく、そんな気がする。彼女?あれは女だったか?まあ良い。とりあえず、あれに会ったら、逃げること以外考えるな。さもなくば我々のように……。
◇◆◇◆◇
少年は驚愕した。ここはガリ勉諸君が集いし学校じゃないのかなんでこんなイケイケリア充どもが繁殖してるんだちゃんと湧き潰ししとけよ、と。しかしその言葉を胸の奥に収納すると、自分の席を確認し席についた。
「あ、【少年】くんだー。おはよー。」
何ということでしょう。周りに大勢人がいるにも拘らず、少女は少年に話しかけたではありませんか。しかも名前入りで。これではむしろ勘違いのしようがない。今まで空気であった少年の認知度が今、格段に跳ね上がった。そして、少年は口を開き言った。
「えっ、あ、はい、その…おはようございます」
少年は困惑していた。去年仲の良かった(つもりの)友人とは別のクラスになったことで、この材木座組では陽子さんばりのハッピーセットの玩具プレイ、もとい地蔵プレイを決め込むつもりでいたからである。というか『陽子さん、すがり●る。』とか読者の皆さんはご存知なのだろうか。
◇◆◇◆◇
いつもの現実逃避を終えると少年の脳は(比較的)正常な判断を始めた。
((っつーか、誰だこの人? めちゃくちゃ「君すい」のヒロインっぽい…))
仕方がない。仕方がないんだ!陰キャの巣窟であるコンピ研(偏見)にすら、入部届を出しに行けないチキンなんだから。休み時間は寝るか飯食うか本読むしかできない作者が作った、高レベル陰キャなんだから。
「え、【少女】、この人、知り合い?」
((おお…恭●さんもいるのか… あれ? ガム君は?))
「おお、【少年】君も【少女】ちゃんの知り合いだったの? カメレオンキャンディーいる?」
((ガム君までいる…だとっ))
「なるほど。いや、いいよ。それより塵取り持ってきてよ」
「え、いやいやいやおかしいだろ? 何で君は何も突っ込んでくれないの? てゆうか塵取り? ん? 何で?」
((ペロス●ロ君は「君すい」知らないのか。結構有名だと思ってたんだけどな…))
「いや大丈夫。気にしないで大丈夫です。僕たちの世界じゃ常識だっただけだから…」
「すげえ常識だな、こりゃ。で、【少年】君は異世界人なの?」
「え?」
「いやだって、俺らの世界じゃそんな常識聞いたことないし」
((いやほんとそーですよね僕みたいなクソ陰キャの会話つまんないですよねーなんかほんと申し訳ございません))
「ちょっと、やめなよ。【少年】君、困ってんじゃん!」
「ホントホント、かわいそうだよ!」
((なんかよく分からんが庇ってくれてる。【少女】さんも【親友】さんも良い人だなー))
「いやまじゴメンね。ちょっと興奮すると詰問するみたいになっちゃうくてさ。」
「い、いや。別に…。」
◇◆◇◆◇
少年は直感した。この人たちは救世主だ、と。少年は信じて疑わなかった。彼女が、自分の人生を大きく変えてくれるはずだと。
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