第278話 きのこに詳しいおばあちゃん猫

「ミャ?」


 この集落しゅうらくのお医者さんは、どなたですか?


「ほら、そこの木の根元ねもとで寝ているのが、アグチ先生ナァ」


 言われた場所を見ると、1匹のサビネコが寝そべっていた。


 ぼくはさっそく、アグチ先生に話し掛ける。


「ミャ」


 あの、具合が悪くて、寝ているところをすみません。


 初めまして、こんにちは。


 ぼくは、シロと言います。


「あらあらはいはい、はじめましてこんにちはにゃ~。どこの仔猫こねこちゃんにゃ~?」


 アグチ先生は、上品なおばあちゃん猫だった。


 おばあちゃん猫というだけで、ぼくはうれしくなった。


「ミャ」


 アグチ先生は、お医者さんだと聞きました。


 どんな治療をしているのか、教えてもらっても良いですか?


「あたしはね、きのこを専門にあつかっているお医者さんにゃ~」


 きのこ?


「おとなり集落しゅうらくでは、薬草にくわしいお医者さんがいると聞いたことがあるにゃ~。でもあたしゃ、薬草はさっぱりでにゃ~。きのこくらいしか、見分みわけられないにゃ~」


 そう言って、アグチ先生は恥ずかしそうに苦笑した。


 そうか、薬になるきのこがあるのか。


 きのこは、今まで全然考えたこともなかったな。


 確か、人間が食べられるきのこは、猫も食べられたはず。


「ミャ」


 いやいや、アグチ先生はとてもすごいと思います。


 ぼくなんて、きのこの見分みわけ方なんて、さっぱり分かりませんよ。


 ぼくにも、どんなきのこが薬になるのか、教えて下さい。


「あたしもね、そんなにたくさんの種類しゅるいは知らないにゃ~。一番使うのは、キクラゲにゃ~」


 キクラゲ?


「どんなケガも病気も、これで治るにゃ~」


 キクラゲってどんなきのこなのか、教えて、『走査そうさ


対象たいしょう:キクラゲ科キクラゲ属キクラゲ』


効能こうのう免疫力強化めんえきりょくきょうかこうウイルス作用さよう疲労回復ひろうかいふく乾燥肌かんそうはだ滋養強壮じようきょうそう便秘べんぴ貧血ひんけつ口内炎こうないえん老化防止効果アンチエイジング大腸癌だいちょうがん脳梗塞のうこうそく心筋梗塞しんきんこうそく骨粗こつそしょうしょうの予防、コレステロール・血糖値けっとうち・血圧を下げる、健康な皮膚ひふかみや爪などを作る』


 うわっ、ビックリした。


 本当に、万能薬ばんのうやくだった。


 キクラゲって、たまに中華料理に入っている、黒いヤツだよね。


 両手で数えられるくらいしか、食べたことなかったけど。


 そんなにすごいきのこだったなんて、知らなかった。



 ―――――――――――――――――――――――――


【アグチとは?】


 サビネコの毛並けなみのこと。


 黒と茶が入り混じったまだら模様もようのことを、「アグチ」と呼ぶ。


 名前の由来は、南アメリカの熱帯雨林ねったいうりん生息せいそくする「agutíアグーチ


 アグーチは、毛並けなみが黒と茶色のまだら模様もようで、体長40~76cm、体重2~6kgのネズミ。


 ネズミにしてはかなり長生きで、寿命じゅみょうは20年くらい。



木耳きくらげとは?】


 「木にえる、クラゲみたいな食感のきのこ」だから、「キクラゲ」


 中華料理ちゅうかりょうり定番食材ていばんしょくざいで、黒いひらひらしたきのこ。


 中国では昔から、「不老長寿ふろうちょうじゅ妙薬みょうやく」として知られる。


 ベトナム語では、「猫のきのこ」を意味する、「nấmナム mèoメオ」と呼ぶ。

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