第267話 介護とリハビリ

 ケガが治るまで1ヶ月ほど、アオキ先生の集落しゅうらくでお世話になることになった。


 動けないから、集落しゅうらくのみんなに介護かいごしてもらっている。


 いつもは、介護かいごする側だったから、不思議な感じ。


 サビネコのサビーと、クラシックタビー(アメリカンショートヘアなどに見られる、うず巻き模様もよう)のタビーの2匹は、狩りが得意な猫らしい。


 ふたりは毎日狩りへ行き、ぼくに美味おいしいお肉を食べさせてくれる。


「たくさん狩ってきたから、遠慮えんりょしないでいっぱい食べてにゃあ」


「シロちゃん、早く元気になってニャウ」


 サビーとタビーは仲良し兄弟で、いつもふたりで狩りへ行くらしい。


 傷付き倒れていたぼくを見つけてくれたのも、サビーとタビーだった。


 あの時はたまたま、薬草集めをしていたハチミケも一緒にいたという。


 ハチミケも、ぼくのケガが治るようにと、せっせと薬草集めしている。


 アオキ先生も毎日、ぼくの為にお茶を作って飲ませてくれる。


 ずっと寝ていることしか出来なくて、申し訳ない気持ちになる。


 ケガが治ったら、恩返おんがえしがしたいけど、この集落しゅうらくでぼくが出来ることは何もないんだよね。


 ぼくよりもずっと、腕の良いお医者さんのアオキ先生がいるから。


「ありがとう」と、言うことしか出来ない。


 集落しゅうらくの猫たちはみんな優しくて、「気にしないでニャー」と、言ってくれる。


 ぼくが今まで助けた集落しゅうらくの猫たちも、こんな気持ちだったのかなぁ?


 


 2週間ほどすれば、痛みが軽くなってきたので、歩く練習リハビリを始めた。


 ずっと歩いていなかったので、体力も筋力も落ちてしまった。


 地面に立つと、生まれたての仔鹿こじかのように、足がプルプルしてしまう。


 元通り歩けるようにならないと、お父さんとお母さんを探しにいけない。


 これから頑張がんばって、歩く練習リハビリをしないとね。


 いや、ちょっと待てよ?


 ケガが治って、歩く練習リハビリをして、体力も筋力も戻ったとして。


 ぼくひとりで、イチモツの集落しゅうらくまで帰れるかな?


 ここからイチモツの集落しゅうらくまで、どのくらいはなれているんだろう?


 教えて、『走査そうさ


直線距離ちょくせんきょりで、東方向32km』


 うわぁ、マジか……。


 遠すぎて、眩暈めまいがした。


 ひとりで帰るには、あまりにも遠すぎる。


 そんな距離きょり、どうやって帰ればいいんだ……。


 サビ―とタビーにお願いすれば、近くの集落しゅうらくまで送ってもらうくらいは、出来るかもしれない。


 次の集落しゅうらくでも、同じように猫に頼んで、近くの集落まで送ってもらう。


 そんな感じで、集落しゅうらくから集落しゅうらく経由けいゆしながらだったら、帰れるかもしれない。


 上手くいけば、の話だけど。

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