第258話 今からでも入れる保険が?

「ミャ~ッ!」


 Argentavisアルゲンタヴィスは、巨大な鳥のことだったのかっ!


 大きな鉤爪かぎづめで、体を鷲掴わしづかみされていて、めちゃくちゃ痛いんだけど!


 見上げると、わしみたいなするどくちばしを持った鳥が、大きなつばさをはためかせていた。


 見下ろすと、目もくらむような高さだ。


 すでに、お父さんとお母さんとグレイさんの姿は見えない。


 この鳥は、どこへ向かっているのかな?


 鳥は、地上何十mを飛ぶのかな?


 飛ぶ速度もかなり速くて、寒いくらいだ。


現在高度げんざいこうど87m、時速じそく40km/h』


 そんな高いところを、そんな速さで飛んでいるのっ? 


 もし、この高さから落とされたら死ぬ。


 いや、たぶん、落とされなくても死ぬ。


 もうすぐ、この鳥に食べられちゃうんだ。


 逃げようにも、鉤爪かぎづめにガッチリつかまれていて動けない。


 どうにかして、助かる方法はないかな?


 アルゲンタヴィスに、天敵てんてきはいないのかな?


 天敵てんてき声真似こえまねで、ビックリさせるとか出来ないかな?


猛禽類タカやワシ天敵てんてき:人間』


 この世界に来てから、人間なんて見たことないよ。


 早くなんとかしないと、食べられちゃう。


 いや、待てよ?


 天敵てんてきじゃなくても、アルゲンタヴィスとしゃべることが出来れば、助かるんじゃないか?


 トマークトゥスのグレイさんとだって、友達になれたんだ。


 アルゲンタヴィスとも、話くらいは出来るはず。


 お願い! 『走査そうさ


 ぼくの言葉を通訳つうやくして、アルゲンタヴィスに伝えてっ!


「ピヤーピヤー! ピィピィピィッ!」


「助けて!」と叫んだつもりが、ぼくの口から出たのは甲高かんだかい鳥の鳴き声だった。


『キェェェェェェ! シャベッタァァァァァァァッ! ナニコレェェェェ、コワァァァァァァイッ!』


 ぼくの声を聞いて、アルゲンタヴィスは、めちゃくちゃビックリしたらしい。


 アルゲンタヴィスはぼくを放り出して、あわてふためきながら、飛び去っていった。


 良かった、助かった……。


 いや、助かってないっ!


 空中で投げ出されたから、地面に向かって落ちていく。


 今、高度こうど何m?


 落下速度らっかそくどは、何m/h?


 いや、高さとか速さとか、このさいもうどうでも良い。


 猫が安全に飛び降りられる高さは、せいぜい約6~7m


 それ以上の高さだと、いくら猫でも死ぬ。


 落ちながら見れば、下は緑色の森だった。


 上手うまく木にしがみ付ければ、助かるかもしれない。


 空中で、必死に体をひねって、木にしがみ付く体勢たいせいととえる。


 一分一秒が、勝負だ。


 もし、木にしがみ付けなければ、地面に叩き付けられて死ぬ。


 両手足を大きく広げて、近付いて来る木の枝に向かって、爪を立てる。


 ねらいを付けた枝にしがみ付けた、と思いきや。


 重力加速度じゅうりょくかそくどと、ぼくの体重にえ切れなかったのか、枝が音を立てて折れた。



 ――――――――――――――――


重力加速度じゅうりょくかそくどとは?】


 物を落とした時の速さのこと。


 落とす時の高さが、高いければ高いほど、重力じゅうりょくが大きくなり、落ちる速さは速くなる。


 落ちる速さが、速ければ速いほど、ぶつかった時の衝撃しょうげきも大きくなる。

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