第257話 可愛すぎて困る

 大きなみずうみ水辺みずべ沿って、ぼくたちはける。


 みずうみえた先には、再び広い草原が広がっていた。


 この辺りで、新しい薬草を探そう。


 森の中と外では、生えている植物の種類が全然違う。


 森の外には、ドクダミはえない。


 草原には、たくさんのねこじゃらしがゆらゆらと揺れていた。


 ねこじゃらしは、あったかいお日様の下をこのむ。


 ねこじゃらしの本当の名前は、「狗尾草エノコログサ


 エノコログサは、イネ科の植物だから、猫草ねこくさとして食べられる。


 猫が食べられるのは、柔らかい葉っぱの部分。


 ねこじゃらしとして使うの部分はチクチクしてて、そのまま食べると胃が傷付く可能性があるから、食べちゃダメ。


 ちなみに、あわ原種げんしゅ食用しょくよう観賞用かんしょうように改良される前の野生植物)。


 の部分を脱穀だっこくすると、雑穀ざっこくとして食べられる。


 フライパンで茶色くなるまでると、ほうじ茶になるし、コーヒーにもなるらしいよ。


 でも、その辺にえている野生のエノコログサは、ばっちいから食べちゃダメだよ。



 ぼくは少しずつスピードを落として、草の中で立ち止まった。


「ミャ」


 お父さん、お母さん、ここらへんで、ちょっとひと休みしよう。


 振り返れば、お父さんとお母さんは、ねこじゃらしに夢中になっていた。


 ねこじゃらしにじゃれる猫は、可愛い。


 ねこじゃらしを見ると、なんだか心がソワソワするんだよね。。


 じゃれつきたくなっちゃうのは、猫の本能ほんのうなのかもね。


 ぼくも我慢出来がまんできなくなって、ねこじゃらしに飛びつく。


 ふわふわゆらゆらするねこじゃらしに、夢中になってじゃれる。


 ふと、グレイさんを見れば、せの姿勢しせいでニコニコしながら、ぼくたちをながめていた。


『ふふふっ、やっぱり猫は可愛すぎて困ってしまうな』


「そうミャ、猫は可愛すぎて困るミャ」


 愛猫家あいびょうかなら、この気持ちは分かるよね。


 猫って、なんでこんなに可愛いんだろう。


 やっぱり、猫を作ったのは猫の神様なのかな?


 だとしたら、猫の神様に心から感謝したい。


「可愛い」の最高傑作さいこうけっさくを作って下さって、ありがとうございますっ!


 ふたりで、猫の可愛さをみ締めていた時だった。


警告けいこく:アルゲンタヴィス接近中せっきんちゅう


「ミャ?」


 警告けいこく


走査そうさ』が、そんなこと言ってくるのは初めてだった。


 あと、アルゲンタヴィスってなに?


 そう思った直後、目に見えない速さで、大きな影が落ちてきた。


 何かに体をつかまれて、物凄ものすごい速さで、ギュンッと持ち上げられる。


 気が付いた時には、空を飛んでいた。



 ――――――――――――――――――


Argentavisアルゲンタヴィスとは?】


 今から約900~680万年くらい前に生息せいそくしていたと考えられている、たか祖先そせん


 史上最重量しじょうさいじゅうりょう飛翔鳥類ひしょうちょうるい(空を飛ぶ鳥)。


 空高くから急降下きゅうこうかし、着地ちゃくちすることなく、獲物えものっていた、と考えられている。


 両方の翼を広げた時の長さは、約5~6.5m


 体長(くちばしからしっぽまで)は、約3.5m


 体重は、約70kg

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