ねこねこ仔猫なお医者さん 転生して仔猫になったぼくが夢の獣医になる話 第２部

第231話 猫が春にかかりやすい病気 その２

　コメツブツメクサの集落（しゅうらく）を出て、すぐに次の集落（しゅうらく）を探そうと思った。

　すると、ぼくが話し掛けるより先に、『走査（そうさ）』が発動（はつどう）した。

『対象（たいしょう）：食肉目ネコ科ネコ属リビアヤマネコ』

『症状（しょうじょう）：ノミアレルギー性皮膚炎（せいひふえん）』

『処置（しょち）：抗（こう）アレルギー薬（やく）、抗生物質（こうせいぶっしつ）を投与（のませる）。副腎皮質（ふくじんひしつ）ホルモン製剤（せいざい）（ステロイド）、駆虫薬（くちゅうやく）、抗掻痒薬（かゆみどめ）を塗布（ぬる）』

　ノミアレルギー？

　そうか！　あったかくなると、ノミも増えるんだっ！

　ノミアレルギーで、苦しんでいる猫が近くにいるんだ。

　以前、ダニノミに悩まされていた猫たちを治療（ちりょう）したことがある。

　あの時使ったのは確か、抗炎症薬（こうえんしょうやく）として、アロエ。

　ダニノミ駆虫薬（くちゅうやく）に、白花虫除菊（しろばなむしよけぎく）と珪藻土（けいそうど）を混ぜた粉。

　抗生物質（こうせいぶっしつ）は、安定のヨモギ。

　抗（こう）アレルギー薬（やく）と、副腎皮質（ふくじんひしつ）ホルモン製剤（せいざい）は手に入らない。

　あと、松の葉を束（たば）ねたノミブラシも作った。

　イチモツの森に、松の木ってある？

『対象（たいしょう）：マツ科マツ属ダイオウマツ』

『薬効（やっこう）：止血（しけつ）、肌の保湿（ほしつ）』

　イチモツの森にも、松の木があったんだ。

　さっそく、松の葉でノミブラシを作ろう。

　白花虫除菊（しろばなむしよけぎく）と珪藻土（けいそうど）は、ある？

『対象（たいしょう）：キク科ヨモギギク属シロバナムシヨケギク』

『位置情報（いちじょうほう）：目的地周辺（もくてきちしゅうへん）』

　ノミアレルギーで苦しんでいる猫の近くにあるなら、ここで作って行かなくても良いか。

『対象（たいしょう）：オクロ植物門（しょくぶつもん）珪藻綱（けいそうこう）珪藻土（けいそうど）』

『位置情報（いちじょうほう）：南方向１００ｋｍ以上先』

　それって、前に行った山の方角じゃないか。

　ここからでは遠すぎて、珪藻土（けいそうど）を取りに行くのは無理だ。

　あと、使えそうな薬草ってある？

『対象（たいしょう）：イネ科ドクムギ属ネズミムギ』

『概要（がいよう）：野良猫（のらねこ）の多くが食べているとされる、猫草（ねこくさ）の一種』

『薬効（やっこう）：毛球症（もうきゅうしょう）、便秘予防（べんぴよぼう）、ストレス解消（かいしょう）』

　ふむふむ、確かに。

　春は換毛期（かんもうき）だから、猫草（ねこくさ）も必要になるか。

　毛づくろいをしていると、毛をたくさん飲み込んじゃうんだよね。

　おなかの中にたまった毛玉を出すには、猫草（ねこくさ）を食べると良い。

　猫も好き嫌（きら）いがあって、猫草（ねこくさ）を食べない猫もいるよ。

　毛と一緒にノミを飲み込んじゃうと、ノミに付いている寄生虫（きせいちゅう）も飲み込むことになる。

　だったら、おなかの中に棲（す）みついた寄生虫（きせいちゅう）を出す、ニガヨモギも必要かな？

　そういえば、ぼくも寄生虫予防（きせいちゅうよぼう）に２週間に１回は、ニガヨモギを飲まないと。

　――――――――――――――――

【ノミアレルギー性皮膚炎（せいひふえん）とは】

　ネコノミに咬（か）まれると、アレルギー反応により、皮膚炎（ひふえん）が起こる病気。

　激しい痒（かゆ）み、湿疹（しっしん）（赤いポツポツ）、脱毛（だつもう）、非常に強いストレスなどの症状（しょうじょう）が出る。

　効果的な予防法は、定期的（ていきてき）にノミを駆虫（くちゅう）すること。

　ネコノミは、猫だけじゃなく、犬も人間も咬（か）まれるので、要注意（ようちゅうい）。