第100話:強制労働
神歴1818年皇歴214年10月5日帝国北部大山脈裾野:ロジャー皇子視点
ジョージ皇帝とハリソン皇父が賄賂を贈って、俺の艦隊に潜り込んだ無能の数は4000人もいた。
そんな連中を、解放奴隷を皇国に帰す艦隊に乗せる訳にはいかない。
使い魔たちが見張ってくれているので、悪事を働く前に殺せるが、殺した人間は働かせられないので、艦隊から降ろして騎士団に編入した。
「君たちには、余が新たに編成する騎士団に所属してもらう。
皇帝陛下やハリソンの糞野郎に賄賂を払って役目を買ったのは知っている。
拒否すればこの場で殺すが、拒否する勇気が有るのか?」
「ロジャー殿下と言えども、不当に名誉を傷つける事は許されません。
我が家は建国皇帝陛下が壮挙された頃から仕える譜代です。
賄賂を払って役目を買うような恥ずかしいマネはしません!」
心の腐った奴は真顔でウソを口にする。
こいつがハリソン皇父に賄賂を渡している姿は、使い魔を通して観ている。
グチャ
ウソつきの頭が床に叩き付けられ、頭蓋骨が粉々になり脳漿がぶちまけられる。
まだ体が生きているのか、ピクピクと四肢が動いている。
とんでもない殺戮現場を見た士族たちが彫像のように固まった。
「皇帝陛下とハリソンの権力をひけらかせば、俺を屈服させられると思ったか?
ウソをつき通せば罰せられる事はないと思ったか?
とんでもないバカばかりだな!
選帝侯たちが処罰されたのを見ていなかったのか?
余が帝国にいる間なら、何をしても見つからないとでも思ったのか?
まだウソをつき続ける勇気のある者は言ってみろ。
余の使い魔はウソついたモノを情け容赦なく殺すがな!」
「自分は賄賂を贈っていません、罪を擦り付けるのは止めてください!」
「皇歴214年8月11日、皇都南貴族街にあるハリソンの屋敷に行って、鎢貨100枚を贈ったのを、余が知らないとでも思っているのか?」
「なっ、何故それを?!」
「余の目を欺ける者などこの世界にはいない、死ね」
グチャ
今度もウソつきの頭が床に叩き付けられ脳漿がぶちまけられる。
続けざまに自分と同じように賄賂を送った者が殺されたのだ。
帝城謁見の間に集まった4000人の皇国貴族が蒼白になって固まる。
「まだウソを言い続けるバカがいるなら名乗り出ろ」
何時何処で誰に賄賂を贈ったのかまで把握されていると知ったのだ、流石にこれ以上抗弁する者は現れなかった。
だがここで簡単に許したら、賄賂を贈って役職を買っても大した罰は与えられないと、舐めた考えをする者が現れる。
目の前にいるようなバカたちほど、世の中を舐めた行動を平気でとる。
少々の罰を与えても、直ぐに忘れて再び舐めたマネをする。
徹底的に思い知らせておかないと、俺に余裕がなくなった時に民が害される。
「賄賂を贈って役職を買った者に相応しい罰を与えろ」
俺がそう言うと、金色熊を筆頭とした使い魔たちが罰を与えてくれる。
殺さないように、後遺症が残らないように、痛みと恐怖だけを感じるように、時間をかけて丁寧に罰を与えてくれる。
小鳥型の使い魔は、目を啄む恐怖を与える罰を時間をかけてやってくれる。
実際に目を潰してしまうと、俺が魔力を使って治さないといけない。
そんな手間も魔力をこんな連中の為に使う気にならない。
目を潰して放置してしまうと、これから扱き使うのに問題がある。
四肢どころか指の欠損も、働かせるのに支障ができる。
帝国の奴隷制度はなくしたが、犯罪者の強制労働は残している。
俺がいなくなったら、この制度を悪用する者が現れるのは分かっている。
それでも残すのは、犯罪者を殺すだけでは被害者を補償できないからだ。
犯罪者が強制労働で手に入れた報酬は、全て被害者に支払われるようにした。
それと、見せしめにしなければいけないからだ。
悪事を働いたら、必ず悪事に相当する罰を与えられると民に思わせるのだ。
そうしないと、悪事を働いても大した罰は与えられないと舐め切って、平気で悪事を重ねるのが人間の本性だ。
「「「「「ギャアアアアア!」」」」」
虫型、特にアリ型、ハチ型、クモ型のような毒虫タイプが神経毒を注入する。
痛覚が過敏になり、少し触られただけで疝痛を感じる。
尿管に結石が詰まるような痛みを全身に感じるのだ。
全身の痛覚が過敏になった状態では、使い魔たち軽く突かれただけで、この世界にある最凶最悪の拷問を超える痛みに苛まれる。
「お前たちには大山脈の中にある村に移住してもらう。
余が実らせる穀物の収穫と脱穀を行ってもらう。
お前たちがこれまで虐げてきた民と同じ生活をしてもらう。
嫌なら逃げればいいが、ここにいる使い魔たちから同じ罰を受けるぞ。
運良く逃げられたとしても、大山脈の魔獣や魔蟲に喰われて終りだ」
「「「「「ギャアアアアア!」」」」」
使い魔たちが繰り返し贈賄犯を痛めつけてくれている。
今何を言っても無駄だが、一応形だけでも言っておかないと、逃げようとして魔獣や魔蟲に殺された時に、罪悪感を持ってしまう。
それに、こういう連中を見てしまうと人間を嫌いになってしまう。
人間を皆殺しにした方が世界の為なのではないかと考えてします。
そんな極端な考えにならないように、人の優しさや善良さに触れないといけない。
だから忙しくても小さな子がいる孤児院に行って心を癒す。
ミュウという女の子と使い魔が心を通わせるのを見て、人間も捨てたもんじゃないと思えるようにする。
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