第14話:私兵私臣と物価
神歴1817年皇歴213年1月29日皇都拝領屋敷:ロジャー皇子視点
俺の食事はもちろん、仕えてくれている護衛騎士と護衛侍女の食事も、護衛騎士と護衛侍女に仕える侍女が作ってくれる。
まだ5歳の俺に愛妾など必要ないし、表向きは初めて拝領屋敷に来た事になっているので、個人的な家臣や使用人など1人もいない。
護衛騎士と護衛侍女は、正確に言えば皇国からの出向者だ。
今回は母上の実家カラス家が選んだ優秀で忠誠心のある者ばかりだが、カラス家に力がなかったら、監視役や暗殺者ばかりになる。
皇室の直臣である護衛騎士と護衛侍女は、皇国から正規の屋敷を貸し与えられているが、そこから自分たちの身の回りの世話をする者を連れてきている。
その者たちに拝領屋敷の掃除や食事の準備もさせているのだ。
もちろん、食材や調味料は俺のポケットマネーで払っている。
皇国の選帝侯たちが認めた持参金もあるが、それには手を付けていない。
俺自身が肉ダンジョンで手に入れた食材と売却益で支払っている。
「ドレイクたちがいつここに来るか分からない、先に食事を取っておけ。
ドレイクと長男はともかく、次男以降が望むのなら年5000ペクーニアで雇う。
その話に時間がかかるだろう、グズグズしていないでさっさと食べて来い!」
「はい、有難く食べさせていただきます」
「「「「「有難く食べさせていただきます」」」」」
バニングス家の祖母が返事すると、他の者たちも一斉に返事をして出て行った。
この世界には味噌はもちろん醤油もない。
基本塩味しかなくて、後は各種のハーブで風味付けするだけだ。
個人的にはそれでも十分美味しく食べられている。
胡椒や唐辛子だけは欲しいと思う事もあるが、我慢できないほどではない。
ホースラディッシュのような物もあるから、要はどれだけ上手く今ある調味料を組み合わせるかだ。
「殿下、モアのオレンジソースでございます」
モアは肉ダンジョンの地下9階に現れるモンスターだ。
前世オーストラリアにいたという、巨大な飛べない鳥そっくりだし名前も一緒だ。
俺が転生したこの世界は、前世と強いつながりがあるのだと思う。
話をモアに戻すが、皇国に仕える騎士なら倒せる事になっている。
実際には、惰弱になった皇国騎士の中にはベッカリー豚すら倒せない者がいる。
むしろ生活が苦しい徒士や陪臣の方が、戦闘力があったりする。
母の実家であるカラス家に仕える陪臣も簡単に倒してくる。
だから、ここでも普通にモア肉を食べる事ができる。
表向きはカラス家の陪臣が倒してドロップさせた肉と言う事にして、実際には俺が剥ぎ取った肉を使っている。
前世でもこの世界でも人間の味覚は同じだ。
前世に鴨のソテー オレンジソースという料理があるように、この世界にもモアのソテー オレンジソースがある。
俺は身分で食べる物を分けるのが大嫌いだ。
同じ釜の飯を食った仲間という言葉が大好きだし、身に染みて理解している。
前世の祖父や大叔父のように、戦争に行って死線をくぐった事はない。
肩を並べて戦ったり、背中を預け戦ったりした事がないので、口が裂けても戦友などとは言えないが、寝食を共にした仲間はいたし、とても大切に思っていた。
寝食を共にして同じ目的に向かって頑張っている仲間に、直臣も陪臣も関係ないと思っている。
だから俺は、この屋敷にいる者には、身分に関係なく同じ飯を食べさせている。
俺が食べたくなった物は、直臣陪臣はもちろんその家族にも同じ物を食べさせる。
「干野菜とベッカリー豚のスープございます」
1月はまだ冬中旬なので野菜がとても少ない。
だから秋に収穫した野菜を干しておいて、野菜が不足する冬に食べる。
俺の基準では村でしかない小さな都市なら、領主館の周りに野菜が植わっているのだろうが、この世界でも非常識に人口の多い皇都では、肉以外はとても高価だ。
それでも、皇子である俺だけなら強権を発動して新鮮な野菜を確保できただろう。
お金さえ払えば、家臣使用人はもちろん、その家族全員分の新鮮野菜を買えた。
だがそれでは品がなさ過ぎるので、干野菜を上手く料理してもらった。
バニングス家の女たちが本気で俺に仕えるのなら、特別な材料で料理を作らそう。
俺だけに忠誠を誓う私兵だ、安心して秘密を表に出せる。
それが俺の武力を明らかにする物なら、裏切る事に恐怖を感じるだろう。
これでようやく表に出せないでいた、深階層で剝ぎ取った肉を使える。
特にドロップでは出ないスジ肉やホルモンを使った料理が作れる。
★★★★★★以下は設定です、好きな方だけ読んでください。
物価表(治安がよくて商工業の発達した国で湊町限定)
「価格表(旬の産地価格)旬以外の内陸部では百倍することもある」
お金:ペクーニア:通常はペクー又はペクと省略される。
1ペクーニア: 3g:アルミニウム製: 100円
5ペクーニア: 10g:鉄製 : 500円
10ペクーニア: 30g:アルミニウム製:1000円
50ペクーニア:100g:鉄製 :5000円
100ペクーニア:300g:アルミニウム製: 1万円
100ペクーニア: 20g:チタン製 : 1万円
500ペクーニア:500g:鉄製 : 5万円
500ペクーニア:100g:チタン製 : 5万円
1000ペクーニア: 3kg:アルミニウム製: 10万円
5000ペクーニア: 1kg:チタン製 : 50万円
5000ペクーニア: 13g:ニッケル製 : 50万円
1万ペクーニア: 26g:ニッケル製 :100万円
2万ペクーニア: 20g:黄銅製 :200万円
5万ペクーニア: 26g:ニッケル製 :500万円
10万ペクーニア: 52g:ニッケル製 :1000万円
20万ペクーニア:200g:黄銅製 :2000万円
100万ペクーニア:4・8g:銀製 : 1億円
1000万ペクーニア:48g:銀製 : 10億円
『農業がほとんどできない世界』
パン、焙煎小麦粉またはマザ (ここで再建されたレシピ)
キュケオン:大麦とミントの飲料で。
プティサネ:大麦を煎じた飲料で。
プルス :麦を粥状に煮た古代ローマ料理
ポレンタ:コーンミールを粥状に煮たイタリア料理
ポリッジ:オートミールなどを牛乳や水で煮た粥
並:エンメル麦、水、塩、油脂
上:オリーブ・オイルで作られる
「価格表(旬の産地価格)旬以外の内陸部では百倍することもある」
「調味料」1樽3リットル
茶600g :500ペク
塩1kg : 1ペク
菜種油1樽 :800ペク
シードル1樽: 20ペク
ワイン1樽 :100ペク
エール1樽 : 14ペク
ビネガー1樽: 80ペク
大麦酢1樽 : 20ペク
林檎酢1樽 : 20ペク
柿栖1樽 : 20ペク
梅酢1樽 : 20ペク
砂糖 :ニッケルと同量
蜂蜜 :チタンと同量
蟻蜜 :チタンと同量
胡椒 :チタンと同量
「魚介類」
鯉カープ :10ペク「1尺5寸(45cm)」
鯖マッカラル : 4ペク「1尺5寸(45cm)」
鰯サーディン : 1ペク(大)・10尾・油はなはだ強し
鱈コッド : 1ペク「1尺5寸(45cm)3匹」
鰹ボウニトウ :17ペク「半身」
鮪ツナ :10ペク「100匁(375g)」
鰤イェロウテイル:10ペク「1尺5寸(45cm)」の半身
鯔マレト : 5ペク「1尺(30cm)」小型の鰤
巨鮃プレイス :50ペク「10尺(300cm)」大型の鰈
「料理・惣菜」
上白パン :丁寧にふるいをかけられた小麦粉のみを使用したパン
白パン :小麦全粒パン
褐色パン :小麦粉1にライ麦粉2のパン
:小麦粉1に大麦粉2のパン
:ふるいはかけられていないパン
ライ麦パン:ライ麦粉だけで作ったパン
黒パン :ライ麦粉と屑小麦粉(ふすま)で作ったパン
5ペク定食 :ライ麦パン2個・シチュー・チーズ
10ペク定食:白パン2個・上シチュー・上チーズ・菓子(果物)
20ペク定食:上白パン2個・特上シチュー・特上チーズ・上菓子(果物)
「惣菜」
卵1個 :2ペク
汁パスタ :2ペク
野菜汁パスタ :3ペク
餡掛け汁パスタ :3ペク
チキン汁パスタ :4ペクセント
魚フライ汁パスタ:4ペクセント
ミックス汁パスタ:5ペクセント
ボイルパスタ :2ペク
ペペロンチーノ :3ペク
ボンゴレビアンコ:3ペク
ジェノベーゼ :3ペク
ボロネーゼ :5ペク
カルボナーラ :5ペク
ポルチーニクリーム:5ペク
「肉類」
子羊500g :100ペク
太い小兎 :200ペク
アグー丸焼き :240ペク
ローストマトン腿: 75ペク
雄鶏パイ :240ペク
焼きガチョウ1羽:210ペク
焼鳩1羽 : 24ペク
椋鳥1羽 : 24ペク(雀より少し大きい)
羊肉1kg : 19ペク
山羊肉1kg : 16ペク
獣脂1kg : 70ペク
上ソーセージ1本: 8ペク
「穀類・野菜」ブッシェル約36リットル
小麦 :10ペク
大麦 : 6ペク
ライ麦 : 4ペク
大豆 : 7ペク
「野菜・果物」
レモン24個 :28ペク
蕪ターナプ2個: 1ペク
オレンジ2個 : 1ペク
オリーブ : 1ペク
林檎アップル : 1ペク
洋梨ピーア2個: 1ペク
桃ピーチ : 3ペク
胡桃ウォルナト: 5ペク
「生きた動物1頭」
豚アグー : 2000ペク
羊シープ : 2000ペク
牛バンテン :16000ペク
農耕小型牛タマラオ: 6000ペク
農耕小型馬 : 6000ペク
駄馬 : 2万ペクセント
乗馬 :10万ペクセント
軍馬 :90万ペクセント
「衣料関係」
貴族用のガウン:7万ペクセント
各種木綿1反 : 60ペクから120ペク
農夫麻シャツ : 240ペク
農夫チュニック:1100ペク
股引が1対 : 60ペク
足袋が1足 : 18ペク
古着 : 100ペク前後
「武器防具」
小札甲冑:50万ペクから100万ペク
鍛造長剣:5万ペクから1000万ペク
十字槍 :6万ペクセントから
薙刀 :5万ペクセントから
鍛造剣 :4万ペクセントから
「金属別」
鉄 :1000ペク(10万円)
鋼鉄:1万ペク(100万円)
魔鉄:10万ペク(1000万円)
魔銀:100万ペク(1億円)
魔金:1000万ペク(10億円)
聖鉄:1億ペク(100億円)
聖銀:10億ペク(1000億円)
聖金:100億ペク(1兆円)
「鉱物」
「鉱物」
青銅:
真鍮:
銅 :
鉄 :
鋼鉄:
銀 :
金 :
白金:
魔鉄:ダマスカス
魔銀:ミスリル
魔金:オリハルコン
聖鉄:アマダンタイト(黒味を帯びている)
聖銀:アポイタカラ(青味を帯びている)
聖金:ヒヒイロカネ(赤みを帯びている)
「旅館1泊料金」
最上級宿賃:1700ペク
最上級馬房: 340ペク
各個室部屋: 800ペク
: 650ペク
: 400ペク
: 280ペク
相部屋 : 40ペク
木賃宿 : 10ペク(食事なし毛布なし雑魚寝)
風呂 : 5ペク
「1カ月家賃」
裏長屋 6畳: 40ペク
裏長屋 9畳: 70ペク
裏長屋12畳: 100ペク
表店 27畳: 2800ペク(二階建)
表店 36畳: 5500ペク(二階建)
角表店54畳: 2万ペク(二階建)
「王家関係」
王国収入:80億ペク+小麦85万年食
ハーレム:20億ペク
「各職業1カ月給与」
教会枢機卿 :6500万ペク
大教会院長 :4000万ペク
教会参議院 : 144万ペク
連隊長 : 36万ペク
「各職業日当」
大工・石工等: 400ペク
労働者 : 30ペク
傭兵隊長 : 600ペク
弩組長 : 400ペク
槍組長 : 200ペク
騎士 : 180ペク
大盾兵 : 150ペク
騎馬弩 : 120ペク
騎馬弓兵 : 100ペク
騎馬兵 : 90ペク
弩兵 : 80ペク
弓兵 : 70ペク
槍兵 : 35ペク
娼婦1晩 :6000ペク
:1500ペク
: 500ペク
: 250ペク
: 50ペク
安娼婦1回 : 10ペクから
見習マッサージ: 3ペクセント:小笛を吹きながら町中を歩きまわって客引き
マッサージ: 5ペクセント:盲人だけがやれる・障害者保護の業務独占
名人マッサージ: 10ペクセント:店持ち名人
「住み込み年収・衣食住付き」
女中 :3000ペク
下男 :9000ペク
「その他日用品」
木靴1足 : 5ペク
パラソル1本: 20ペク
小樽 : 160ペク
中樽 : 700ペク
大樽 : 4000ペク
小樽チタン箍: 850ペク
中樽チタン箍: 5000ペク
大樽チタン箍:30000ペク
藤ステッキ : 16ペク
素焼き壺 : 21ペク
木製コップ : 21ペク
富くじ : 10ペクから1万ペク
薬泥 : 2ペクから
白鳥羽毛付羽: 40ペク(4個で羽毛布団1枚分)
香水1瓶 : 18ペクから
紅 : 3ペク
羊皮紙24枚: 90ペク
宅配45kg: 12ペク(200km)
各種修行1日: 80ペク
燈明油1升 : 40ペク
魚油1升 : 20ペク
蝋燭600g: 20ペク
蝋燭 20g: 2ペク
蝋燭 10g: 1ペク
煙草15g : 2ペク
避妊薬1回 : 15ペク
熊胆3・7g: 100ペク
小樽 50リットル:
中樽 200リットル:
大樽1000リットル:
羊皮紙180cm×85cm
「卸値」
熊毛皮1枚 : 1万ペクセント
熊胆1個 : 1万ペクセント
熊胆・1個20g:
漢宮純鼈(スッポン)胆:
蝮蛇胆(まむし)・1個0・1~0・2g
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