ビーチバレー

 カケルと飲み物を買って戻ると三人はビーチバレーの準備をしていた。あ、ちなみに買ってきた飲み物は炭酸系のやつ。僕と月海ちゃんは炭酸飲めないのでオレンジジュースにした。


「手伝うよー」

「ありがとう、そっち持ってくれる?」


 僕達は和気藹々と準備をした。イオリと月海ちゃんがたまに言い合いしてただけ。

 早速しても良かったけど折角ジュース買ってきたしちょっと休憩してからバレーすることにした。


「ナル様と一緒です」


 そんな一言でまたイオリと月海ちゃんの言い合いが始まった。んんー、早くバレーしたいなぁー。


「ではやりましょう!!」

「そうじゃな、此奴と言い合っても意味ないしの」


 よしよし、上手くいった。それじゃやろっか♪


 ◇ ◇ ◇


「行くよー」


 僕は手に持ってるボールを上に投げる。今は丁度風もあんまり吹いてない。


「月海、行ったわよー」

「はい、イオリっち」

「うむ、任せろ」


 チームは男女で分かれた。理由はイオリと月海ちゃんが喧嘩しちゃうから。このあとは僕、イオリ、月海ちゃん対カケル、ナナちゃんでやる予定。


「ナル、任せるぞー」

「うん、任せて!」


 僕はナナちゃんのスパイクを取るために動く。大事なのは落下点に素早く入ることだとか何とか中学校の時習った。


 スカッ


 あ、あれ?


 ボールに当たるはずだった僕の手は空を切る。慌てて振り返るとボールは砂浜を転がっていた。


「……ナル、お前」

「違う、運動音痴じゃないよ!」

「まだ何も言ってないけど……」


 今のはたまたまなの。ほ、ほら魔学って普通の授業あんまりしないじゃん。体育は魔法関連のことばっかりだし……久しぶりだからミスしちゃっただけで。


「分かった、分かったから。ほら」


 そう言ってボールを渡してくれるカケル。

 む、絶っ対信じてないじゃん……! 良いよ良いよ今度こそ完璧な模範的なプロかと錯覚するような動きを見せてあげる。


「い、行くわよ……?」

「う、うむ、任せるが良い……」

「良いのかな……」


 なんか女子も遠慮してない?! ううん、きっと本気の僕にビビってるんだ。そう、そうに違いない。ふふふっ、やっぱりこのオーラというかそういうの伝わっちゃてるよねー♪


「来たぞ?」

「うん、任せて♪」


 よーし、今度こそ!


 ポンッ


 よし、今度こそ当たった……ってボールは?


「どこ飛ばしてんだ、バカ野郎」


 ──む、バカは酷いよ。


 と、言い返そうとカケルの方を見たらカケルは海を見ていた。カケルだけじゃない。イオリも、ナナちゃんも、月海ちゃんもだ。


 僕もつられて海を見ると……


 プカプカ、プカプカ


 ……………………知ってる? 海には離岸流ってあってねー。


「知ってるよ! しかも見りゃ分かるわ」


 そう言ってカケルは海に飛び込んでいった。


「ごめんね……………?」

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