「デート」
デート 萌葱月海 前編
今日は一日月海ちゃんと遊ぶ。デート、って言っていいのか分かんないけど、まぁデートだよね。来週はイオリとだっけ、僕が二股してるみたいになる……とか思いながら僕は萌葱家を訪ねる。
「昨日の僕、ナイス」
執事さんに月海ちゃんを先に送ってもらって良かった。意外と近かったから覚えれたんだよね。ん? あ、元の集合場所は公園だよ〜。あの、学校からの帰り道にあるとこ。
「何奴──ってナル?」
僕が萌葱家のどデカい門を潜ろうとした時、首元に刀が突きつけられてた。やったのはカケル。修行中なのかな、服装は袴みたいなやつだ。カケルは僕と気づくと刀を下ろした。いや、怖いよ?!
「わ、悪い……クソジジイの刺客かと勘違いした」
「クソジジイってあの怖そうなお爺さんだよね」
僕は妖夢の時にカケルの過去でみたお爺さんを思い出す。あのときはもう総白髪だったからかなりのご年配だったような……?
「あぁ。もう流石に動けないからな。たまに若かりし頃の仕事仲間とやらが来るんだよ……」
あのお爺さん、見た目のわりに凄く背筋伸びて強者感半端なかったもんね。でもそんな人でも衰えていくんだ……なんか、生命を感じる。
「今日は、月海を迎えに来たのか」
「そうそう。部屋までの道教えてほしいな」
なんせ萌葱家は柊樹家ほどじゃないけどデカい。和風だから豪邸というより屋敷? なのかな。分かんないけど平屋のバカでかい家なんだよ!
「あー、月海の部屋ね……うーん」
「駄目なの?」
カケルはうーん、と唸ってる。普段のカケルならすぐにオッケーしそうだけど、月海ちゃんになんか言われてるのかな……それだったら無理にとは言わないけど。僕が早く来すぎちゃったかもだしね。
「いや、いいよ。案内する……お前にはいい加減見せなきゃいけないと思ってたし」
「そうなの? それじゃよろしく」
カケルが何に悩んでたのかは分からないけどとりあえず案内してくれるみたい。僕はカケルの後ろをついていく。カケルが僕の歩くペースに合わせてくれてるんだろうけど、置いていかれることはない。
「クソジジイは今寝てるから」
「そうなんだ。まぁ、まだ早いもんね」
今は朝の7:30だから、寝てても何もおかしくない。
「よし、ここだ」
暫く歩いた後、カケルは止まった。障子だ……さっきまでは襖だったのに。いや、よく考えてみたら廊下と部屋を襖で区切ってある方がおかしいのかな?
「そのへんの設計はうちが剣豪の家系だったからだな。あとは先祖の趣味だ」
「ふーん、まぁとりあえずありがと、カケル♪」
「お、おう。それじゃあな……」
僕がバイバイと手をふる前にカケルは元来た道を戻っていく。まるで面倒なことになる前に逃げようって感じだったけど……気のせいだよね。
「失礼しま〜……す?」
「ヒャッ! え、あ、え……ナル様?!」
えっとぉ、月海ちゃんの部屋にドン引く僕でした。何があったかはまた次回。ただ──
「今日は警察署にまず行こうかな♪」
「許してください、ナル様ぁ!」
──今日のデートの予定が変わりそうだね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます