やり取り
僕がジムから帰ってきたのは五時くらいの時。お昼はコーチが奢るって言って聞かないから仕方なくご馳走になった。父さんたちに怒られるかと思ったけどコーチが連絡していたらしくそんなことは無かった。
「さてと、夜ご飯まで時間あるし……」
僕は机の上のスマホを確認する。ジムに行くだけの時は大体家に置いて行ってるんだ♪ とそれより、なんか通知がいっぱい来てる。
えーと、柊樹さんからメッセとあと知らない人からの電話……と、あー『呟き』に返信も来てる。でも、とりあえず柊樹さんからのメッセを。
「ナル、知らない番号から電話が来ておると思うがそれは菜奈のものじゃ」
と、端的に送られてきているメッセ。よく見ると電話があった数分後に送られてきている。ナナちゃんが僕が出なかったから柊樹さんに相談したのかな? いや、ナナちゃんなら「知らない番号からの電話に出るバカはいないわ。悪いけど、説明頼める?」みたいな感じで柊樹さんに説明させたのかもしれない。
とりあえず、この電話番号はナナちゃんのものだと分かった。えーと、じゃあ柊樹さんに「ありがと」って返して……次はナナちゃんに折り返し電話を。
「もしも──」
「ごめん、ナナちゃん。こんな遅くなっちゃって!」
謝るなら早めに謝った方が良いかなって思ったんだけど……早すぎたかな? ちゃんと謝ったつもりが謝り方を誤ったかもしれない。ここ、笑うとこだよー?
「えぇ、大丈夫よ。それより知らない番号に折り返すなんて正気? もっと警戒したほうが良いわよ?」
「え、柊樹さんに「知らない番号は菜奈だから〜」って言われたよ?」
あれ、もしかしてあのメッセって柊樹さんの独断なのかな。気を利かせて……? あの柊樹さんが?!
「本人に伝えとくわね」
「やめてやめてやめて!」
殺される……昨日のダンジョンでもボス部屋にたどり着く前にカケルが柊樹さんを煽るから氷漬けにされてたんだよね、一回。ブルブルブル、あんなふうにはなりたくない。
「フフッ……そういえば、萌葱君と連絡してるの?」
「うっ……」
「してないのね。まぁ、それが正解よ」
カケルには何度もメッセしようとした……でも、やっぱり僕は何か出来るんじゃないかって思うしそれが出来そうな手がかりさえ見つけた。だから、多分僕達は平行線のままで、連絡したところで……でも!
「カケルに折れてもらうもん♪」
「萌葱君は手強いわよ?」
「大丈夫。僕の方が頭良いから!」
「そう……頑張ってね」
うん──と返事すると、これ以上話すこともないので電話を切る。
「よし、カケルの為に頑張ろう!」
そう気合を入れ直した僕は最後の通知……『呟き』の返信を確認する。正直言って現代の魔法理論とは全く違うしどーせ批判だろうなぁ、と思ってた。
『小紅奈留様へ。大変興味深いです。詳しく聞かせて頂けますでしょうか?』
だから、そこに書いてあった言葉に驚いたんだ。
「てか、難しい言葉使ってるなぁ……」
ただ、僕は少しだけ希望が見えたことにウキウキもしていたと思うんだ。だからこそ、僕は速攻でダイレクトメールを送った。
『DM失礼します。それと、敬語苦手なのでなんか良くないのあったらごめんなさい』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます