??side 感嘆

「いや、この歳でここまで考えるなんてな」


 俺はスマホを見た後、周りの奴らにもその画面を見せた。そこには一つの面白い『呟き』があった。


「えーと……魔法の原理はイメージの複製じゃないか? それと、回復魔法は細胞のコピーなんだから腕次第では再生まで出来るんじゃ……ですか?」


 皆を代表して読んでくれたのは●●ちゃん。


「すごいですね、魔法についてあまり発展してなさそうなこの世界で私たちと同じ段階まで解き明かしてますよぉ」


 そう意見を口にしたのは●●●。この中で一番魔法が得意なだけあって、珍しくマトモな意見だ。


「珍しくってなんですかぁ」

「はいはい、お前はもう黙れ」


 ●●●と●●●●君のイチャイチャがすごいことになっているのはいつもの事なので……まぁ、放っておこう。


「まぁ、イメージのコピーなんていう都合の良い解釈はしているがな」

「だとしても、だ。間違いではあるが、完全に違うわけではない。この世界の現状を考えるなら満点だろ」


 魔法の真理を解き明かすのに魔法が身近にあった俺たちでも数百年かかっていうのに……コイツはたったの数時間か。


「あれ、もしかしてこの子って……」

「そう、この前ちょっと手を貸してやってそれから監視してたやつ」


 何らかの鍵になるとは思っていたけど、まさかここまでとは……って感じだな。ワンチャンこの世界の主人公的なポジじゃないか?


「それを言うなら●●●●●●●さんだって……」

「いや、俺はどっちかというと最後に負けるタイプだろ。実際、負けたし」


 と、思い出話に花を咲かせたいところだがそうなるとこの空間が二つに分断されて意味のない争いが始まるのでストップ。


「それで、どうしますか、接触します?」

「んー、まぁ実際に会うのはもう少し後だとして、メッセージを送るのは有りかもな」

「メッセージ……?」


 まだまだこの世界に来て五年。この太平洋のど真ん中から殆ど出ずに生活している彼らにはこの世界特有の言葉が通じない。仕方ないので毎回俺が教えているのだけどな。


「なるほど、良いと思います」

「それならそのメッセージ? とやらを送っても良いと思いますよぉ」

「我もです」

「俺もだな」

「よく分からんが、●●様が言うなら良いんだろう」

「私はお二人に従います」


 と、まぁ皆の賛同も得られたので早速メッセージを送りますか。えーと、正直ダイレクトが良いけど、いきなりは怪しまれるよな。仕方ない、普通のメッセージを送るか。


「そういえば、●●●●●●●さんが持ってきたそのスマホ? も凄いですよね」


 と、●●ちゃんが言うが……これは創造魔法で作ってネットをハッキングして勝手に番号等を取得しているただの違法物なのは伏せておこう。これ、バレたらマジでやばいよなぁ。まぁ、バレないようにしたから問題ないけど……


『小紅奈留様へ。大変興味深いです。詳しく聞かせて頂けますでしょうか?』


 ……はぁ、敬語なんて疲れる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る