第7話「乱戦 ー屍鬼との戦いー」☆
その見た目は人間の粗悪な
ただ、注意点として屍鬼は文字通り
*
「──おっ、初戦は完勝だな」
後から湧いてきたものを含めて
特に苦労も無く、ゴートとディディーだけで片付いた。
「……
「そうそう。このくらいはどうってことないよな」
倒した
この魔物だったものを漁れば中から魔石や鉱物の原石が出てくる事もある──が、それも倒した魔物の質に大きく左右されるので、今回の場合は漁っても大したものは出てこないだろう。
「けど、問題はどれくらい出てくるかだね。多数が相手だと流石に手間だ」
「うん、それはそう。なんやかんや、剣だと倒すのに時間かかるもんな」
だがそれには慣れがいるし、疲れれば剣も
骨に相当するものがない分、万全なら早々失敗は無いが……
「残念だが、数は多いだろうな。養生期間だっていうなら尚更だ。
「下級の魔物が少しずつ影響範囲を広げていくことで強い魔物が生まれやすくなる。そのような土壌が創られていく……と、一般に言われていますね」
「逆に言えば、ただ瘴気が濃いだけでは強い魔物も生まれない、という証左でもあるんだが──」
「……でも、奥に進めば出てくるのは
ゴートの指摘にジュリアスは頷く。
「いくら瘴気が濃いだけで強い魔物が生まれないといっても、何事にも例外はある。早い話、瘴気の噴出口には
「
「勿論、待ち受けているのはそれだけじゃないだろうが……まずは進もうぜ。下手な考え、休むに似たり、さ。多少囲まれたって、冷静に対処すれば問題ない」
ジュリアスは明るく、励ますようにゴートに言い聞かせた。
*
そして──状況は先刻、ジュリアスの言った通りになった。
しばらく進んだ先で、四人は
まず、前方の雑木林より姿を現して行く手を塞ぎ、足を止めたところで背後からも現れて退路を断つ。
「知能はないって話だけど、なんか頭のいい事されてませんかね!?」
あまりに見事な手際で包囲されたので、ディディーが思わず悲鳴を上げる。
だが、相手は最下級の
「偶然、偶然だよ。気にするな。それに相手は
ジュリアスが軽口の終わりに撃ち出した風の魔法──魔法の
それは少し浮足立った二人を一喝するような、そんな一発だった。
「ほらな、この通り。普通にやれば、どうってことない相手さ」
かくして乱戦が始まる──四人に対して敵の数は十数体。頭数だけなら三倍以上。
だが、肝心の戦闘力はそれぞれの足元にも及ばない。
「──はっ!」
ゴートが気合を入れて剣を振り込むと屍鬼の首が見事に胴と離れた!
如何なる場合であっても防御の姿勢を見せず、組み付こうとするだけ。この辺りが
「えい、くそっ! 片手じゃ一発で倒せないな!」
腕力が足りないのか、それとも狙いが甘かったのか。
ディディーの一撃では首を
(最初は調子よかったが、急造でしかも二刀流では消耗が激しいみたいだな……)
ジュリアスは乱戦の中でも常にゴートやディディーの様子に目を配っている。
エルナに関しては
「其は想念と意志の力、奇跡を顕現する根源──」
エルナは
「風よ、刃となりて薙ぎ払え!」
「お見事」
ジュリアスが短い賛辞を贈る。
そんな彼の近くには打ち倒した
(この人は実戦慣れしてるし、魔法の威力も私とは段違い……)
現在のエルナは魔力の
──対して、ジュリアスは素手だ。
詠唱もせず、さらに魔法が何かすらも発せず、簡潔に使用している。
(……
この程度の相手では彼の実力は到底測れない。もう少し強い敵でなければ……
(魔孔の
……彼に見込みがなければ、奥まで行かずとも探索を安全なところで切り上げても良かったが。どうやら、そういう訳にもいかないようだ──
*****
<続く>
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