万年補欠の下克上！（第4期）はずれスキル「支援魔法（対単体）」しか持たない低辺勇者は野球少年に転生してメジャーリーグで無双する。

【12回の表】ラッキーボーイ／アンラッキーボーイ

5月13日（金）

　「そういえばガスターのおかんの実家、ハワイらしいで。」

植原さんが振ってくる。本日のオーソドックスの先発ガスター投手の話だ。

「そいつは羨ましいですね。そういえば俺。ハワイは行ったことないですわ。」

俺の返答に驚く。

「ホンマに？ええとこやぞ。日本語も通じるしな。」

「でしょうね。俺の場合は留学先がフロリダだったんで自主トレももっぱらそこなんですよ。」

「じゃあプロ入る前からずーっとフロリダ一筋なんや？」

　別に好きでそうなったわけではない。俺を指名したかった球団はNYヤーナーズが1巡目で、フロリダ州の2球団のタンパベイやマイアミは2位か3位でという話だったのだ。なぜかGMのフリーマンが直前で俺を1巡目に獲る方向に舵を切ったのだという。

「いやいや、言うて最初（ハナ）からヤーナーズってのもきっついわな。案外幸運（ラッキー）だったんじゃないのか？」

　そうかもしれない。

　本日も5番左翼手。1巡目の打席は初球のインサイドの4シーム（145km/h）をしっかりひきつけて振りぬく。ライトスタンド上段への12号2ラン本塁打。5試合ぶりの本塁打だったが同じガスターからの本塁打だった。2巡目も右前安打。そして3巡目は二死二塁だったが「申告敬遠」。チームも3対0で勝利。

　そして今日いちばんのラッキーボーイはヘル吉だった。117球で4安打2四球5奪三振でのメジャー初完封。　

「運も実力のうち」とはよく言ったものだ。試合後、先発投手陣でお祝いをした。

5月14日（土）

　今日は「休養日」を言い渡される。翌日投手としての先発予定だったこともあるかも。ただ、ベンチでの観戦ではなく帰宅許可が出たのはちょっとうれしかった。

チームも0対6で敗戦。

5月15日（日）

　今日は右での先発。今季は「右投げ」で勝てていないので気合が十分。ただ気合が空回り気味。4番のヴラディーミル・ゲルーロに2本の2塁打を浴びるなど5回4失点で敗戦投手に。2勝3敗と負けが先行する結果に。球は160km/hを超えるのもあったのだがちょっと「抑えてやろう」感が出すぎだったのだろうか。

　とか言いつつゲルーロのインタビューで俺のこと言わないかなぁとちょっとソワソワしてたりする。

「若くていい選手だ。まだ身体が出来上がってないけどね。ボールは速度を上げるとキレがなくなるからね。何度か見れば対応は可能になるさ。『とっておき』は何度も見せるものではないね。」

　やっぱり見透かされていたか。

5月16日（月）

　そして、本拠地で迎える今季初のNYヤーナーズ戦。同リーグ同地区にもかかわらず今まで対戦がなかったという不思議。年間18試合くまれているのだから、1か月に1ど対戦カードが組まれる単純計算だから問題はないのか。

　そして「月曜日」にもかかわらず集まる大観衆。これが「人気球団」の御威光である。

　目下ア・リーグの本塁打王争いは昨日1試合3本塁打を放ったトロントのバチスカーフが16本で1位。今日の対戦相手ヤーナーズのグレンダーソンが13本で2位。そして俺が12本で3位。

　それよりも大事なのは、今日勝てばヤーナーズに代わってア・リーグ東地区で首位にたてるということだ。

　俺は5番指名打者で先発出場。先発投手はこちらがブライスであちらは右腕のAJバーキット。昨季も何度か対戦があり投球の軌道は頭に入っている。

　チェンジアップの代わりに「ナックルカーブ」を使う。握りが「ナックル」に似ているが軌道はカーブ。速度と曲がりはきついかも。

　試合はヤーナーズが5回まで5点を獲って試合を優位に進めていく。俺も「ナックルカーブ」を攻めあぐねて四球と右飛。6回の3巡目の打席。2B2Sからの5球目、例のナックルカーブを完璧に捉えた。右翼席への13号2ラン本塁打。試合を5対5に。

　ただグレンダーソンが5回に14号を放っていたので「本塁打数」では追いつきはしなかったが、BJの6号ソロ本塁打で逆転。6対5で直接対決を制して首位浮上。まさか開幕の不調からここまで来るとは。

　今季の沢村健の成績

打撃

（左）打席69　打数55　安打27　単打7　二塁打7　三塁打3　本塁打10　打点26　四球14（敬遠3）

（右）打席19　打数16　安打7　単打3　二塁打1　三塁打1　本塁打2　打点7　四球3（死球1）

合計　打席88　打数71　安打34　単打10　二塁打8　三塁打4　本塁打12　打点30

四球17（死球1敬遠3）盗塁4

打率.479 出塁率.580　長打率1.211　OPS1.791

投手

（左）試合3（先発3）22回　自責点3　防御率1.23　2勝0敗　QS3　被安打11　四球7　三振19　WHIP 0.8182（とても良い）

(右）試合3（先発3）18回　自責点10　防御率5.00　0勝3敗　QS2　被安打19　四球2 三振12　WHIP1.167(良い）

合計　試合5（先発5）40回　自責点13　防御率2.31　2勝2敗　QS5　被安打30

　四球9

三振31　WHIP0.975(とても良い）