非対称

みこまる

片耳イヤホン

 僕は君たちが言うところの「科学」で。


 君たちが信じ崇め奉っているところの「科学」で。


 僕の姿は君たちにはもうどうにも知覚できないんだよ。


 わかるかな、


 わからないだろう。




 無知な君たちに知恵を授けるとするならば。


 無知なれど、


 考える葦であるところの君たちに、


 何か教えてやれるとするならば。


 この世界はつまるところ鏡写し。


 穢れ一つない絶対性の鏡面を点線にして、


 谷折りにした線対称。


 そして、


 世界を支える亀の甲羅は円を描いて。


 その中心には、


 すべてを飲み込む台風の目があって、


 渦を巻いている点対称。




 そうさ君に問いかけている。


 君のその、

 

 貝殻を嵌めていない方の耳に。


 君の大切にしているひとと、


 オーディオ・ヴィジュアルを共有していない方の、


 寂しさに心を焦がしていそうなその耳に。

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