君に教えてもらった色
Omochi
ありがとう
先日、居なくなってしまった君に教えてもらった、僕の一番好きな色。それは赤色だった。
自分が未練がましくて女々しい奴だとはわかっているよ。けど、どうしようもなく覚えてしまっているんだ。
奇麗な奇麗な真っ赤なドレスを纏った君の姿。
あれを見た時に、僕の中の何かがまるっきり変わったんだ。責任を押し付けるような言い方になってしまうけれど、あんなにも可愛らしい君にも少しばかり悪い所があると思う。
そんな美しい君が喋らなくなってから、一緒に住んでいたこの家は、どうしようもなくがらんどうになってしまって、ちょっぴり寂しい日々が続いている。
あんな事するのは辞めておいた方が良かったかな。僕の行動を振り返れば、すぐに後悔が顔を出す。
僕が悪い癖にそんな気分になるなんて、やっぱり僕はちょっとおかしいみたいだ。
……感傷に浸っている時でも、お腹は空気を読んでくれないらしい。
小腹を満たそうと、キッチンへと進み冷蔵庫を開ける。
ガチャ。目が合った。
ああ――君はやっぱり奇麗だね。
僕は彼女にキスをした。
眼はもう真っ黒で。けど唇の色は、まだ僕の一番好きな色をしてくれている。
君に教えてもらった色 Omochi @muryoku
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