たそがれサンセット
空殻
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黄昏時に私は涙を流す。
失恋だった。
好きだった彼には、もう恋人がいた。
ただそれだけの話。
私は戦わずして負けた、そういうことだ。
いや、それは自惚れた言い方だろうか。
まるで、もっと早ければ勝負になったかのような。
そうではないだろう。
きっと時間の問題ではなく、運命の問題。
どんな世界にも、私が彼の隣に収まる可能性は無い。
それだけの話だ。
泣きながら歩く。
黄昏は金色でありながらも、確実に光を世界から奪っていて、だからきっと、私の顔は誰からも見られないだろう。
誰そ彼。
どうか誰も、私の顔を見ませんように。
きっとひどい顔だ。
それでも、見られないことを幸いに、私は涙を流し続けた。
大丈夫。
きっとこの恋は熱病だ。
彼は誰。
いつかそう思える時が来る。
そう言い聞かせながら、私の時間は駆けていく。
たそがれサンセット 空殻 @eipelppa
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