/// 8.王都で初活動
僕は今、晴れやかな朝を迎え体を起こしていた。
何気に全裸である。
当然にように隣に寝息を立てているサフィさんも全裸である。まあサフィさんはいつもだが・・・
昨日はそのなんだ・・・初めての体験にちょっとだけハッスルしてしまった僕は、かなり動揺していた。
そしてサフィさんの顔を見つめながら「やっぱ綺麗だよな・・・」とつぶやいた。
目の前っで寝息を立てていたはずのサフィさんから、寝息が止まる。そして顔に赤みがさしてるのがわかる・・・僕はまたドキッとしてしまった。
「あ、あの~サフィさん?起きてたりします?」
「い、今起きたんだよ!そ、そしたらおまえがー、くっ・・・変なこと言うから!」
ガバリと起きたサフィさんがこちらを睨んでくる。
赤らめた顔でその顔はやばいです。可愛すぎです。愛しいです。丸見えなその全部が素敵です!
僕も自分の顔が赤くなっていくのが分かってしまう。
「あ、お、おはよう、ございます。昨日はど、どうも・・・」
「あ、お、おお!俺もまあ・・・なんだ・・・」
暫くの沈黙。気まずい・・・
僕は意を決して布団から出ると急いで服を纏った。
全裸!駄目!絶対!
それに続くようにサフィさんも布団から出るといそいそと服を纏始めた。
お互いがちらちらと窺うような時間がながれながら身支度を終えた。
「あ、そういえっば、サフィさんが取ってきた依頼、まだ見てなかったですね」
「お、おお!そうだ!それだ!その手があった!」
何の手だ。
「これだ!なんか受付の女が、最初はランクFがーとか言ってたが、途中でカルドニーがどうしたこうしたって何か調べ始めてよ!そしてこれくれた!今一番の強敵だってよ!」
「ああ、なるほど・・・」
僕は、なんとなくではあるがギルドの情報共有で、カルドニーさんから僕たちの情報が回ってきていて、ランクに関係なく難易度の高いのが出てきたのかと察していた。
そしてまずはその依頼書を確認する。
【岩竜素材回収】
中央ダンジョン40階層以下にいる岩竜の素材回収
鱗1枚 50,000エルザ~
他部位、数等、要相談
ランク A
なるほど・・・竜討伐か・・・
「サフィさん、同じ竜だけどお仲間意識とかあります?」
「ダンジョン内だろ?あるわけないだろ!まあ外でも勝った方が偉いからな!生かすも殺すも俺次第だ!」
「そ、そうなんですね・・・」
意識の違いがすごい。
「じゃあ目的地はダンジョンですね。とりあえず行けるところまで行ってみましょうか」
「おー!楽しくなってきたな!早く行こうぜ!」
「と、とりあえずご飯食べません?」
「そうだな!腹もへった!ほら早く!急ぐぞ!」
もう我慢ができなくなっているサフィさんと一緒に一階に降りて食堂に入った。
なんて言っている僕も実はワクワクしていた。
本当の冒険が・・・僕を待っているんだ!
◆◇◆◇◆
暴走するサフィさんをなだめつつ、僕たちは王都の中央ダンジョンをものすごいペースで下りていった。
遭遇する魔物はすべてサフィさんがワンパンで頭を吹き飛ばしていった。
僕はそれをひたすら回収してついていく。
そして35階層まで進んだ時、サフィさんの拳が初めて躱された。
素早さ特化の『デーモンウルフ』という真っ黒な狼種であった。
「くっ!このやろう!逃げんじゃねー!」
イラついたサフィさんの2撃目はデーモンウルフを木っ端みじんに吹き飛ばしていた。
そして僕は「あーあ」とつぶやいて素材回収をあきらめた。なんかグロすぎ・・・
「い、今のはあれだぞ!あまりに余裕だったから軽くやってたら・・・その、躱されただけだからな!本気じゃなかったから・・・」
「分かってるよ。サフィさんの凄さは僕も分かってるから。資材回収のためにちゃんと手加減してくれてるんだよね」
「そうだ!さすがタケル!分かってる!」
またご機嫌に戻ってはいるが、次の魔物には少し速度を上げた拳が叩きつけられていた。
◆◇◆◇◆
階層は進みいよいよ目的の40階層。しかし目的の岩竜は見つからなかった。
とりあえずは道順を覚えつつ先を急ぐ。
そして適度に迂回をして魔物を探しながら進むが、岩竜との遭遇は43階層まで下りた時であった。
しかも4匹の群れであったので、これはもう素材がやばい!今、僕の目がドルマークになっているかも!と自分でも思ってしまったほど嬉しくなってしまう。
「じゃあ早速俺がいくぞ!んー、タケルは・・・大丈夫そうだな!」
「あ、バーンってしないでくださいね!」
「わかってるよ!」
そして岩竜の中に飛び込んだサフィさんは・・・僕の耳を破壊するような大声で叫んでいた!
それを至近距離で聞いていた岩竜たちが動きが止まっていた。ああ、『大丈夫』というのはその確認だったのか。
それをいいことにその内の一体の胸を軽く殴って破壊していた。
僕の方はびっくりはしたが動けないわけではない。
負けじと他の1体のまだ動けない岩竜に近づくと頭に手を置きその脳の動きを停止させた。
サフィさんがそれを見て、もう一体の頭を2本の指でずぶりと破壊していく。
そして僕が最後の一体も脳の動きを停止させ、そのまま収納に入れていく。
なんとも簡単な依頼であった。これはもっと下に降りなきゃサフィさん満足しないんじゃ・・・と思った僕は、正直油断していたんだ。
サフィさんの「おい!後ろ!」と叫んでこちらに飛び込んでくる前に、僕の視界は何かに遮られた。
「あっ」
次の瞬間、何かに覆われたのを認識した僕は【人体操作】で回りの何かを超活性化させ、弾けさせた。
回復した視界の先には、僕の弾けさせた粘液を、至近距離で浴びたまま笑っているサフィさんの姿であった。
「ブハハハ!タケルー!お前何やってんだよ!気配感知できないのかよー!」
「で、できないよそんなの!ってかなに?スライム?」
「ふはっ、多分沼スライムかキングスライムかそんなとこだろ!それよりも・・・」
そういうと、サフィさんは水魔法で水をだばだばと僕と自分に浴びせて水浴びをしていた。
粘液を流し終え、濡れた真紅のローブを纏うサフィさんはドキドキが止まらないほどセクシーだった。
「おい!こんなところで発情してないでなんか着ろよ!俺もなんか変な感じになっちゃうだろ!」
サフィさんがおかしなことを言うなと思った。確かにちょっと欲情してしまったが、また心を読まれたのかと・・・ん?着ろよ?
その言葉で、僕は自分の体を確認する・・・あ・・・僕、全裸でした・・・なんかこうジュワーって溶かされてる感あるなって思ってたんだけどね。
「あっ!ちょうあぁい!待って・・・」
急いで普段着を収納から出して着ようとするのだが、濡れた体に張り付いてしまい遂には転んでしまった僕は、さらにサフィさんに笑われるのであった。
僕がちゃんと服を着込んだのはそれから10分ほど後のことだ。
ゴロゴロと笑い転げながらも、サフィさんは暖かな炎を出現させ、風魔法で飛ばしてくれた熱風により全身が乾かした僕は、いそいそと服を着る。
僕は終始、無言になっていたが、サフィさんは時折笑いが漏れていた。
「サ、サフィさん・・・笑うなら我慢しないでいいですよ・・・」
その言葉を皮切りにまた転がりながら笑い出すサフィさんであった。
それはそうと【魔道の極み】を持つサフィさんはあんな魔法の使い方もできるのか・・・と改めてその能力の高さに関心していた。
何はともあれ・・・ダンジョン内で全裸で欲情する冒険者・・・笑えない・・・
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