吾輩が猫だった時
鈴木魚(幌宵さかな)
吾輩が猫だった時
「我輩が猫だったとき」
叔父は、幼かった僕にそう言った。
「それはそれは幸福だった」
「人間は幸せじゃないの?」
僕が聞くと叔父は、猫よりも立派な口ひげを撫でながら、
「人間は楽しいが、なかなか苦しみも多い」
叔父さんは遠くを見つめた。
「ただ、マグロの刺身をたらふく食べられることは大きな幸せだ」
叔父が涎を飲み込むと、喉が猫のようにグルルと鳴った。
吾輩が猫だった時 鈴木魚(幌宵さかな) @horoyoisakana
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます