第35話 嘘と罪

【はるとさーん、また会いましたね】


【るいさん、おはようございます】


【はるとさんって、何してる人なんですか?】


 ギクッ!何してるんだろ?るいさんの彼氏になるためって言えないしな。この辺ウロウロしてるから怪しまれたかな?とりあえず苦し紛れに…


【始めたばかりで、一応作家です】


何ということを…てきとうに答えてしまった。


るいさん、目を輝かせて…


【素敵なお仕事ですね、是非読ませてください】


嘘が面倒なことになった。これはヤバいなー。


【………恥ずかしいので、売れてからで…】


【はい、無理にとは言いません】


良かったー。るいさん、すみません。


【あの~はるとさん、良かったら…】


【はい?】


【えーと…そのー】


か、可愛い、可愛すぎる!惹き込まれそうだ…


るいさん、真剣な目で、


【今夜、食事行きませんか?ご迷惑なら無理とは言いいませんが】


ウソ〜〜〜〜〜るいさんから?チャーンス!


【はい、喜んで。どちらに行きましょうか?】


【はるとさんもご存知かと思われますが、この辺り特にないので、あちらのホテルのブュッフェなどどうでしょうか?】


そ、そこは、泊まっているホテルですが。


いいのかな?問題ないかな?とりあえず良しとするか!


【はい、そこで良ければ、今夜の予約入れておきます。るいさん、都合悪くなったら教えてください。連絡先交換しましょうか?】


【ありがとうございます。嬉しいです。私、一人っ子だから、はるとさんみたいなお兄ちゃんほしく、あっ、ごめんなさい。お兄ちゃんなんて失礼な言い方して、えっとお兄ちゃんじゃなくて、彼氏…あっ、もう、すみません、暴走しちゃって…困ったな…どうしよう、恥ずかしい…】


みさー、今だけ、るいさんに恋していいですか!


るいさんの、この慌てよう、雰囲気、何もかも、パーフェクト!


【るいさん、どんな風に思ってもらってもいいですよ。どちらでも嬉しいことには変わりないので】


 るいさん、真っ赤になりうつむいた状態で、手で顔を隠して、もう我慢限界!無理、この女性の魅力は凄すぎる!


【るいさん、はい、これが俺の電話番号。かけてみて、るいさんの履歴残るから】


【はい、じゃ、かけますね】


【ありがとう、履歴残ったから、これで連絡取れますね。では、今夜。仕事終わったら連絡下さい。とりあえず八時に予約入れておきます。それじゃ】


るいさん、慌てて、手を握ってきて、


【六時にしてください。早く会いたいです】


【るいさん…解りました。六時に予約しておきます。後で連絡ください。それじゃ】


【はるとさん、お仕事頑張ってくたさい】


【るいさんも】


………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………


可愛いな、るいさん。


 本気で好きになりかけてる。まいったな、この感情。パスワード聞き出すためだけのはずなのに。


何か辛くなってきた。このミッション。



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