第27話 代償2

数時間して、みさきさんと同じ病院に。


先生に呼ばれていろいろ検査して、結果…


【突発的な記憶障害かな。断定は出来ないが…】


記憶?覚えられないってこと?そんなことは無い!


 みさの顔や、みんなのこと覚えている。誤診じゃないか?そうだ。そうに違いない…


【はると。何だって?何か解った?】


【全く、あり得ないよ。先生がさ…えーと】


………………数十秒沈黙………………


【はると、先生が何だって?】


【………………………】


【はると、忘れたの?】


【………いや、先生がさ………】


 思い出せない。何か言われたよな?そうだ!みさきさん。確か…何だっけ?


【みさ、みさきさんここにいるよね?】


【はると…先生は?】


【だから、そんなことより、みさきさんが】


【大事なことなの、はると、先生は何だって?正直に話してよ。忘れたら私も聞きに行くから!】


何だよ、怒るなよ。ちょっとど忘れしただけ…


【先生は…なんか言ってたけど、忘れた…】


みさがしがみついてきて、


【どんなことあっても、はるとを支えるからね】


【大袈裟だなー、みさ。でもありがとう!】


 気がついていた。本当は。少しずつ記憶が削られていく。不安なんだ。ここに来た理由も忘れてる。

これが代償なのか?


 不注意で開かずの扉を開けてしまって。そのことは覚えている。みさきさんが迎えに来てくれたことも。でも、戻ってからの記憶が曖昧だ。


【もし、私のこと忘れても、大丈夫だからね。すぐに思い出させるから。こんな可愛い娘、そうそういないからね】


【自分で可愛いとか、やっぱ、面白いね。みさ】


【みさきさんとこに行こう。美味しいスイーツとか買ってみんなで食べようね】


………………みさきさんと合流………………


【あー、はると、来てくれたの?】


 元気そうだ。さきさん、ユキさんは帰ったのか。

ほら、こういうことは覚えている。先生大袈裟なんだよ、ほんと。


【みさきさん、すみません。過去に救いに来てくれて、こんなことに】


【何のこと?誰を?】


【過去に来てくれたから、記憶に影響出てるんですよね?】


【過去に?そんなことあり得るの?面白いこと言うね、はると】


みさに引っ張られて、一旦外ヘ出て話を。


【みさきさん、さっきまで覚えていたのに】


【過去のこと?じゃ、もう忘れてしまったの?】


【そうかも、冗談や、はるとに気を使ってる様子ないから】


どこから記憶が消えるんだ?


 その後三人で、他愛もない話をして、みさと二人で研究所に戻った。


そこで、何だ!とんでもない騒ぎだ!


【だから、早まるなってこと!解った!】


【うっさいな!責任は自分で取る!何としても救いに行く。鍵をかけ忘れた私の責任なの!】


【落ち着いて、二人とも。よく調べてから】


何だか、凄い剣幕。怖いくらいだ。


【さきさん、どうしたんですか?】


【るいが、言うこと聞かないの。原因確定してからって言うのに】


【さき、私、ダメージ少ないっての!能力あるって言ってたじゃん。急がないと】


訳解らないけど、聞いても記憶してる自信ない。


みさに聞いてもらうことに。


 解ったことは、るいさんが、俺が開けてしまった、開かずの扉を開けられないように過去に戻ると言うこと。鍵をかけ忘れた自分の責任だと。


 ただ過去の自分に接種する可能性が高いことを、さきさんが警戒している。時空崩壊起こす確率もかなり高まってる。


るいさんが、飛びついてきて、大泣きして、


【はると、ごめんね、ごめんね。私、なんであの時鍵をしなかったんだろ…ごめんね】


 こんな可愛い娘に抱きつかれて、本来ドキドキするはず。でも、強い責任感が伝わってきて、


【開けたのは、興味本位からで、開けてはならないことも知ってました。るいさんに責任は一切ないです。謝るのはこちらです。本当にすみません】


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