第20話 もう一つの世界
研究所に来て、さらに解らなくなった。ここで戻れると思っていた。甘かったな。
たぶん、近未来映画では世界が分岐するってことだな、たぶん。ここはもう知ってる世界ではない。
過去に戻ったと理解するしかない。そうでないなら説明つかないし、みんな若いから。
【はると〜急にいなくなるんだもん。病院は?】
りな、俺、正常なんだよ。
所長が、みんなの前で、
【えっと、はるとくんだね。未来から来たんだね。それで、はるとくんを知ってる人でここで出会ったのはこちらの女性だけだね。そこは間違いないね】
【はい、そうです】
りなも、
【はるとのことは、小さい頃から知ってます。でも急に老け込んで、違和感あって。スーツ着てるし】
【混乱するのは解る。この研究所にはるとくんがすぐに来たのは正解だ。はるとくん、開かずの扉は未来では完成してるようだね。本当にはるとくんが未来から来たならば】
開かずの扉何だったんだろ?もう興味本位で開けなきゃ良かった〜みさ、会いたいよ!
【それと、ここにいる研究所の人達を知っているようだが、はるとくんがいた研究所の人とここの人で一致しない人はいるかな?】
見渡して、所長、さきさん、るいさん、ユキさん、レイジ…あと会ったけど名前分からない人で…
んー、あっ!みさきさんだ!
【みさきさんがいないです。ここに】
さきさん、驚いて…
【みさきのことまで知ってるの?】
【さきさんの友人ですよね?確か、さきさんの弟さんと三人で食事していて…その後、弟さんが事故で…あっ!すみません。レイジさん。パニクって話してしまいました】
レイジは、
【何のことっすか?】
さきさんは、
【はるとくん、何事故って?弟に会ったことあるの?弟、何処かで事故に会うの?いつ?】
ちょっとちょっと、何から答えていけば、
【さきさん、弟さんが事故に合ったことはレイジさんから聞いて秘密にするよう言われました。それは、るいさんに能力使わせたくないと、さきさん、弟さんのこと凄く可愛がってましたよね?みさきさんがブラコンとか言ってるくらい、あっ、これ未来の話ってことになるかと…】
るいさんが、
【へー、さきのブラコンまで知ってるんだ!】
【うっせー、るい!今それ関係ないだろ!】
変わらないな、この頃から。るいさんが、
【で、私の能力って?もしかして。未来ではるとくんと付き合って開花するとか?ねー、そうなの?はるとくん、意外とタイプかも♥】
【るいさん、未来には彼氏は他にいますよ】
るいさんが、
【どんな感じ?やっぱイケメン?】
【会ったことないから、解らないです】
………そんなことよりも、帰りたいよ…………
そんなやり取りを聞いていた、所長は、
【鍵を握るのは、みさきさんって人だな。おそらくこの研究所に務めることになるんだろう。はるとくんを迎えに来れるのはみさきさんだけってことになるな】
?何で、みさきさん限定?
【はるとくん、時空崩壊回避するためには、同じ人物と会ってはならないんだよ。映画とかで見たことあるだろ?それに会ってしまうと記憶が残り危険なんだ。だから、どうにかして未来のみさきさんにこのことを伝えなくてはならない】
【でも、るいさんみたいに能力があるか、解らないんですが…みさきさんに関しては】
るいさんが、
【さっきから私の能力って言ってるけど、なんの能力?】
【移動するのに寿命を使ってしまうらしいです。それが、るいさんは極端に少ないらしくて】
所長は、
【それか!ヒントはそれだったのか。未来では確率してるんだな?どうしても行き詰まっていた謎はライフエネルギーだったのか!】
さきさんも喜んで、
【所長、良かったですね!開けましたね!】
所長は、
【帰れるかも知れないぞ。はるとくん。だたこれ以上他の知ってる人には会うなよ。何か変わってしまうかも知れない。それに、りなさん、君は高校生くらいかな?学校にはるとくんが来なくても何も話してはならないよ。最悪、行方不明ってことにしてもだ。もちろん、はるとくんのご両親にもだ】
りなは、
【そんな…それはあんまりにも残酷です】
所長は、
【はるとくんが戻れば、自然ともとに戻る。そうなると今の記憶が消え、学校の帰り道に飯でも食ってたくらいな時間になる。今だけだ、大丈夫だ!】
りなは、仕方なく頷く。
所長は、
【よし、はるとくん、手伝ってくれ】
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