あとがき

あとがき

 皆さまのおかげで、

『異世界コロッケ専門店 ~グーワ・マッシュ~ こんな俺にも愛される店が持てました』

を完結させることが出来ました。

 少しでも読んでくださる皆さまが私のモチベーションでした。

 私がコロッケに関する物語を書こうと思ったのは、子供の頃の思い出からです。子供の頃は私の母がコロッケを何十個も大皿に盛ってくれ、それを父と母、それに兄と私の四人で小皿にとって食べるということが私の家の贅沢でした。

 皆でソースやケチャップ、マヨネーズを混ぜたりしながら特製のソースをそれぞれが作って、コロッケを大皿から取って食べるのです。

 これが本当に美味しくって。

 

 母が作るコロッケはジャガイモが多めで、ミンチ肉は敢えて少なめにしてありました。しかし、ミンチ肉には、こしょうをしっかりまぶしてあったので、口の中でジャガイモのまったりした味の中からこしょうが効いたミンチ肉を探す楽しみがあったものです。

 父の大好物がコロッケでして、父の誕生日の度に母はコロッケを揚げてくれました。母のコロッケは二度揚げを行っており、私は母がコロッケを揚げるときに様子を見に行って、一度揚げの段階で一つコロッケをもらって、その日の新聞を破いて、そのコロッケを包んで食べるといったつまみ食いが好きでした。母はそんな私をみて

「頭の黒いネズミ小僧がやってきた」

と笑いながら、コロッケを分けてくれたものです。

 母は私が二十歳の時に他界しましたが、そんな母との大事な思い出がコロッケという食べ物に詰まっています。

 小説を書くことを始めようと思ったときに、自分の思い出が根底にある方が物語を書く気力にも繋がると思い、コロッケを題材にした物語を書かせて頂きました。


 小説を書き始めて、一人称や三人称といったことや、段落分けといったことから、細かい誤字など色々な失敗が見られる作品だったことは間違いなく、恥ずかしい限りです。

 普段、仕事の文書ばかりを書いていると、どうしても淡泊な表現だけしか出来なくなってしまっているということにも気づかされました。

 日々のサラリーマンとしての仕事が忙しく、近況ノートでも少し、愚痴のようになっていたかもしれないと振り返っています。

 「いやー、小説を書くのは気力と根性がいることですね」

 そんなことに気づかさせてくれた作品でしたが、それでも読んでくださる心温かい皆さまがいたおかげで何とか書き上げることが出来ました。


 皆さま、ありがとうございました。

 次回作以降、この作品で得た経験を活かしていこうと思います。


 梨詩修史















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