妄想流出

パントガンマン

第1話 感度良好旅行営業肝試し〜彼女は魅惑の黄金爆発

俺は項垂れていた。

俺は『鈴木 皇帝(こうた)』

今年30になるAV男優だ。

学生時代から女好きで取っ替え引っ替え

なんでもできると勘違いしたAV男優になり

イチモツの大きさと回数に自信があった俺は天辺取れると思っていた。

しかし

現実はそこまで甘く無い

この業界男の価値は大きくは無い

一部の有名AV男優達はちゃんと監督、女優、スタッフとの関係を大事にしている。

つまり、人間関係がまともに出来ないバカには務まらないのだ。

当時の俺は腰振って相手を気持ちよくさせていたら仕事した気になっていた。

20代後半迄その程度の事すら認識出来なかったバカな俺は段々と仕事が減っていった。

文句を言って養ってくれる女達に当たり散らし偶に抱いてやれば…

誰も残らなかった。

彼女達も結婚してくれる訳でもなければ

養ってくれる甲斐性もない穀潰しをいつまでも愛してくれるはずもなく

俺みたいなワガママディルドは捨てられた。

結論まとめると

アレもコレも一つとして真面目に向き合わなかった俺は色々な物を無くした。

とりあえず

まだAV男優だ。

過激な映像を取り扱うレーベルの社長に気に入られて住み込みスタッフとして居候させてもらっている。

過去の行いが知れ渡っており

契約したAV女優に悪い虫がつく事を嫌がった他所事務所連中は俺との共演NGを下した。


昼間の現場での光景

「社長〜今月もきったねぇ男の尻眺めてる仕事ばかりだったんすけど」

「五月蝿えバカ野郎、女優の尻も男優の尻も見るのがこの業界だボケカス

大体テメェのやらかしの所為でどんだけ俺が苦労したと思うんだ‼︎」


社長の言葉が真理である。

身から出た錆だわ

自分の愚かさを否定する為にも俺は夜の街で財布を薄くし、胃を満たしていく。

生憎、sexは好きだが風俗やらに使う選択肢は無く。

今の俺を慰めてくれる都合の良い人などもういない。

昔の女共は…

『実は今は結婚して子供いるの…でも今晩ぐらいなら…』

そんな感じで俺を捨てた奴等に慰められるのはなんかクソ惨めだ。

行きつけの飲み屋はない。

普段から出会いを探して彼方此方で飲んでる。

まぁ、

ナンパして、あれこれ問題起こして散々悪名高めてたら界隈で後ろ指どころか刃物迄刺されるような事があったから少々自重している。(つもり)

今日は飲み潰れよう

明日の事考えるのも面倒だわ




さてと

此処は何処だろうか?

知らない天井だわ

隣を見れば謎の膨らみ。

…!?

記憶を辿れ‼︎昨日どうしたっけ?

いやっ

そんなことより逃走だ。

前みたいにどっかしらの地雷を踏んだ可能性がある。

刃物程度ならば張り倒せば何とかなるが

慰謝料、違約金コースはシャレにならねえ。

早く服を…

「oh?ダーリン?good morningデスね」

金髪爆乳美女がいた。

2年ほど前ならこのままモーニングハッスルしてた。

思い出すんだ俺よ。

こんな美女との蜜月の時と彼女との関係を、そして即座に会話デッキを構築するんだ。

「昨日ハ最高ノ夜デシタネ」

どうやらキッチリ楽しんだみたい俺

たわわな白い双丘が思考を邪魔してくる。

セフレ系?ガチ恋系?オチ恋系?

ダーリンとか言ってる?やばくね?

地雷は踏みたくねえ

彼女が俺に抱きついてくる。

大きな大きな、それが顔に迫り来る中違和感に気づく。

(この女デカくね?)



やたらとスキンシップの激しい彼女の名前は

『ヘザー・タルボット』

昨日飲み屋でどうやら逆ナンされたらしい。

その後ホテルに連れ込まれ逆レイ◯されたようだ。

彼女は恐ろしいくらいの恵まれた体で

俺の隣に立てば俺の顔の位置に彼女の胸がある。

「ダーリンの×××ハ最高ですネ、身体ノ具合モ最高です」

っとめっちゃくちゃラブラブアピールしてくる。

どうやら地雷系だな。

「昨日のことはよく覚えてねぇしヤッた記憶もねぇんだわ」

無意識にこんな事言うんじゃなかった。

顔面インフェルノ女。

キレたか!?

「ダッタラもう一度ワカラセテアゲマスネ」

金糸白磁な猛獣が襲い来る。

頑張って反撃しました。

性的な攻撃で

その結果どうなったか

お互いにダウンしました。

俺は性を仕事にしてました。

若い頃には色んな女性と致しました。

ですが世界は広く、私は啓蒙が開かれました。

女に獣みたいな声出させる事には自信がありましたが、自分が女の子みたいな声が出るとは思いませんでした。

しかもアホみたいに力が強いわコイツ

「ダーリンハ、コレでワタシのモノです。

そしてワタシはアナタのモノです。」

訂正します。

この日俺の人生は敗北した。



昼頃にはホテルから出た。

腰が異常に浮遊感がある。

「これから俺は仕事場に顔出すから今日はこれでバイバイな」

「ワタシも行きマス」

「何故!?」

「ワタシAV出マス、貴方の為に頑張るヨ」

力こぶ見せてくるこの金髪はどうやら本当に俺の虜になっちまった様だわ

断る理由もねぇし

結果的に新しい女が俺を養ってくれる宣言してくれたんだ、感謝するか。



当たり障りのない会話しながらも会社のビルに着く。

『四ツ谷街檀ビル』5階[映像制作、丁ワン]

「おはようございまーす」

「今何時だと思ってんだヤリチン穀潰し‼︎」

社長の武藤さん

何故バットを持ってる?ジャイア◯かよ

見た目893みたいな日焼けデブ

しかし俺を雇ってくれてる恩人だ。

口は悪いがめちゃくちゃいい人

俺にとって数少ない尊敬できる人

元AV男優で現役時代のギャラでこのビルとこの会社を作った49歳

今は嫁さんへ操を捧げて基本的に男優はやらないが企画や監督、ADがやる様な裏方をしてくれてる。

「すんません、昨日ヤッた女がAVやりたいらしいんすよ」

「そっちの子?」

「ドウモ初めましてヘザーデース」

二人は詳しい話をしに奥の部屋に行った。

「でっけぇ外人さんだね」

いつも通りパンクな荒川

ごくたまに女優もやるメイクADさん

生粋のレ◯なのである意味友達みたいな関係性でよく猥談に乗ってくれる。

「目の前にあの爆乳があんの」

「やったじゃんヤリチン、ヤッたんだろ?」

「スッゲェ搾られた、しかも俺にベタ惚れの束縛系地雷

sexした次の日に俺の為にAV女優なるか普通?」

「おめでとうお幸せに(笑)」

「ヤリたい?」

「アタシがタチになりそうにないし大丈夫」

「こないだの彼女は?」

「まだ付き合ってるし昨日から今朝までお楽しみ」

毎度その手の話を聞いてると俺と違って遊び方が上手いようで。

「おはようございますコウタさん」

カメラマンの城田さん

スッゲェ礼儀正しい変態

髭面メガネで帽子がトレードマーク

カメラ撮りながら◯っきする人

男×男だろうが女×女だろうがレンズ越しなら元気になれる真性

67歳の大ベテランで社長の新人時代からの付き合いらしい

「城田さん新しい女優ウチに入るかもしれないぜ」

「また悪さしてきたのかい?」

実はスカウトは3回目になる

結果は芳しくなく

色々禍根を残してる。

「今度は大丈夫ですよ」

「そうだと良いねぇ〜

可愛い子?大きい子?」

やはり気になってる感じこの人も相当アレな人だ。

「すげえデカい綺麗目の外人でしたよ」

「本当!?外人さんかぁ…ワクワク」

「後その…企画準備遅れてすんません」

「まぁ武藤君と荒川君いたし大丈夫だったよ

資料後で渡すから」

俺の仕事の一つとして

企画立案、下準備、撮影補助がある。

丁ワンは1〜3月に2本、目安で新作を売り出したい

そのための準備もあるが

実は所属女優がいないに等しいので

他所の所属に依頼したり等やる事は多い

無論、俺は良くも悪くも有名で社長達を困らせてた。

今は反省してるよ

女優寝取ったり、暴力振るう様な事はもうしない。

俺だって、もういい大人だ

まともにならないといけない。

「てめぇら集まれ新人女優のご登場だ」

汚ねえうすら笑いの武藤さんが会議室から出てきた。

「どうもヨロシク皆さん、ワタシの名前はヘザー、でーす」

バスケ選手みたいな恵体の彼女が色々主張しながら挨拶をしてる

「デッッッカ!?」

「説明不要?」

「あんたらさぁ…」

荒川が男連中のノリに呆れてら

「因みにコウタお前の専属女優だから」

「ハッァ!?」

「社長公認でイチャラブ出来てよかったなヤリチン」

「流石に聞いた事…無いっすよ!いいんすか?」

「別にそこまでだしいいんじゃない?」

「そうゆー契約交わしちゃったしガタガタ抜かすな」

そんなこんなでまさかの会社公認カップルの誕生である。

「初めてのハ◯撮影は何時ですか?

今からでもヤれますぜ」

この女の片言日本語さてはキャラだな

「流石に来月の撮影後とかにしませんか武藤さん?」

「普段のハ◯撮流せばいいんじゃね?」

「会社としてはむしろ大型新人女優として出したいし

パケ撮影やら込み込みでキチンと準備して再来月とかにするか」

フッ軽過ぎるコイツら

「SNSに余計な事とハ◯撮流すなよ」

「OK!」

男優はそっちのけですか



時は流れ二ヶ月ほど過ぎる

その間に撮影を一度挟み(俺はADで)

バイトして帰ったら搾られる生活が続いた。

この女性欲強すぎる。

話を聞けばあっちだと箱入り娘だった様で

(もしや俺いつか飽きられて捨てられる?)

ヘザーのご機嫌とりも兼ねて数少なくなってきた自尊心を守るためにも真摯に紳士を貫いている。

企画も決まった

「超肉食系外来種襲来 種縛り100%

 キャサリン・ハンター」

乱◯かな?

最初は俺以外にも生贄が来るのかと期待したんだが



「内容はコウタがひたすら搾られる」

このデブ社長…

「とゆう事でお前ら撮影日までドスケベ禁止な」

「ファッ!?」

ある意味このスケベ女に一番ダメージがある提案だわ

(最近ハードワークだったから助かる)

「その分当日発散していいぞ、ある程度の台本だけ守れば…最悪次の日に回すし」

「?スタジオじゃないんデスか?」

「ヘザーちゃん今回は何と温泉旅館での撮影なんだよ」

「oh〜Yes」

「まぁ二週間ないぐらい?2人とも頑張ってね〜」



〜そんな話もありました

今は当日現地バス降りたとこ

出すもん出してなくてイライラしてる所

旅館に向かいながら撮影

城田さんはヘザーの顔アップやら恋人との会話的な事、下から上から様々な撮影素材を確保してる

今回は男優だからまだ多少楽出来ている。

だがこの距離からでも分かる。

あの肉食獣が俺を狙ってる事を

俺が危険な状態なのも…

山々に囲まれたバス停に着いた。

ここからさらに歩かなければならない…

クソだるぃ

俺が文句を言うよりも先にヘザーが音を上げた。

「もぅ我慢デキマセン」

真夏の西瓜よりも水々しい武藤さんに抗議をする。

「武藤社長!イッパツダーリンとそこでメイクラブしてきまス」

「しょうがねぇなクソがっ!1発だけだぞ」

「山ん中でやるんですか?場所探してくるから待っててよ」

「旅館前に…いいねぇ」

唐突に何故俺はこの仕事を選んだのか当時の俺に問いたくなってきたわ

「俺も見てきますわ」

実は正直限界なのは自分もだったから協力するんですけどね

ぱっと見、山道には撮影出来そうなスペースはなく諦めてたら武藤さんが何やら見つけた。

「下の方にあるあの廃墟良さげじゃねぇか?」

山の中に…病院だろうか?

廃墟があった

三階建てのtheっ心霊スポット

「うちってホラームービーって経験ありましたっけ?」

「武藤くんのやつでチラホラ似た様な所無断で使った事あるよ」

「やったぜ」

アカンやろ

ヘザーがガッツポーズしてる

日本に馴染みすぎでわ?

「コウタ君ヘザーちゃん…キャサリンちゃんに囁かれながら手コ◯されて1回、その後フェ◯、最後に本番までお願いします」

1回とは?

「しゃ…社長、撮影許可は大丈夫なんけ?」

「大丈夫だ、もしもの時はなんとかする」

無許可ですね、ハイ

あちらでヘザーが荒川にメイクしてもらってる

「簡単な台本はこんな感じね」

城田さんもウッキウキで段取りしてる。

社長もライトやらなんやら準備して…

まぁ俺も身体の準備しよう

スクワットやら腕立てやら準備運動していたら直ぐに本番になった。

撮影用に準備された情欲を掻き立てる服のヘザー

ヘザーが獣の眼光で迫ってくる。

全身からフェロモンが漏れ出るのを感じる。

ビリッ‼︎

ヘザーさんや、僕のトランクス破かないで下さい困ります。

 “ハッァー ハッァー”

駄目だこの女人間辞めてる

段取りすっ飛ばして俺を貪るつもりだ

助けを求めて(台本無視したままで大丈夫か)視線を送れば

他スタッフ三人は生贄の末路を楽しむ気満々なご様子

止まらないんですね

そこからはもぅ何時も以上に盛り上がるヘザーが恐ろしさすら感じる程激しく攻め立ててくる。

しゃぶられ、吸われ、締め付けられ

基本無抵抗な台本抜きにしても今日はやたらと激しい

そんな生贄の俺は違和感を感じた。

(なんだろか?)

感覚に触れるナニカ

視えず聴こえず触れず匂わず

けれども『ソレ』は訴えてくる。

だが俺もプロの男優

揺れる双丘、絡む舌波、締め付ける蜜壺、

そこに愛を語りかけてくる美人の恋人

カメラ越しに静かに興奮する城田さん

真面目に仕事に取り掛かるマイクの荒川

ライト掲げてニヤニヤしてるデブ社長

感じた違和感はなんのその

目先の性欲と仕事における使命感は全てを凌駕した。



恐ろしく絞られた俺は侘しくも精力剤を啜ってる。(3Rキッチリ弄ばれた)

ピッカピカのツッヤツヤなヘザーが浮遊感混じりで坂を上ってた。

しかし

偶にこちらを見る時の瞳には獣欲が消えてない。

デブ社長の武藤さんも人の使い方が上手いことで

荒川がコッソリと話しかけてくる

「どーよ?まだ勃ちそう?」

「空元気だけどね」

この女…

ヘザーの淫行に当てられて発情している?…レズの鏡だな


しかし

今回は碌に攻めるなと言われたとはいえ、

自発的にやれないのは少し辛い

出すだけ出したが俺の股間の苛立ちは収まっていない。

「やりたいの?」

「非常にムラムラしている」

「旅館着いたら…」

「そうゆうんじゃなくオナ◯ーしたい、願わくばキャサリンの乳揉みしだいて舐りながら」

コイツ真正のレズ過ぎて尊敬するわ

「旅館着いたら休憩貰いましょうね」

人の事を気遣えるベテラン城田さん

顔から察するに既に賢者か?




『東山荘』

普段は営業しておらず

予約した場合に歓待してるタイプの田舎旅館

過去に二回ぐらい来た事があったはず

店主(でいいのか?)は普段は農家やってるらしいが

ちゃんと手入れの行き届いた旅館だ。

「丁ワン様御一行ですね。お待ちしておりました。」

バス停に着いた際に先方に連絡を入れたおかげで女将が和かな笑顔で迎えてくれた。

彼女は香澄さん

パンク荒川の現地妻(愛人)である。

「香澄ちゃん元気〜?」

一見、友人同士の再会挨拶のようだが

2人ともヤる気満々である。

「それじゃあ社長、休憩込みで夜まで軽く自由時間とりましょう」

城田さんが皆を気遣って提案してくれた。

主に加湿器になった社長を慮ってだろう

(汗かき過ぎてて怖いよこのデブ)

自由時間とは言ったがヘザーと俺と城田さんは取れ高用にインタビューやら浴衣やら入浴シーンやら本番抜きで撮影をする。

なお社長は水分補給休憩

荒川は発散しているのだろう。

晩飯の後に夜の撮影に取り掛かる。

夜の部屋、旅館の和室、撮影用ライトを上手い事調整して月明かりに照らされる白磁の彫刻を思わせる彼女を演出する。

そして俺は、まな板の上のコイがごとく弄ばれる

……

何だろうか?

もやもやする

今に疑問を持ったとかじゃない

俺の中の何かが『気づけ』と伝えている

垂直体制の下側の俺は周りを視線だけで調べた。

絶世の美女で俺の女は90度先で色々と揺れている。

エロい、何でこう一々エロいのか?

コチラを観察する視線は獣の眼光でその奥にハートが浮かんでいる様に幻視した。

頭の方の気配には城田さん達がいるのだろう

足元に感覚を見つける。

虫だろうか?

騒いでもいいが…

ムカデとかだったら流石に嫌だな

しかしそんな感じではない

気がする程度の感覚

恐る恐る頭を少し上げて彼女の太ももの向こうを見る

いる‼︎

出た‼︎

暗闇の中に女のお化けが、幽霊がいる。

黒い髪の白い肌の女が俺の左脚を撫でていた。

困った

こんな時どうすればいいのか?

ビンビンに興奮していた俺は驚きを飲み込んでしまった。

誰かに伝えるべきか?

そんな逡巡していたら頭を両サイドから掴れて唇を侵略される。

「私に飽きちゃった?」

彼女に気づかれてしまったようだ。

流石に集中出来そうにないし事実を伝えよう。

「すいません、ちょっといいすか?」

「どした?まだ出してないよな?中折れか?」

「見た目はギンギンだよ?」

「お化けがいました。」

「はぁ?」

「ホラーですか?」

「ここってそんな話ありましたっけ?」

「昼間の病院じゃないの?社長」

「…っかな?気にし過ぎじゃねぇ?生き霊でコウタの捨てた女かもしれねぇぞ」

「言われてみればそんな気もする感じの映像ノイズ的な物が…?」

「洒落が笑えねぇやつ」

「この状況でもアンタの股間が今だに臨界なのは笑えるよ」

「ワタシのダーリンは渡しませんヨ」

「ホラー映画撮りに来たわけじゃないし困ったねぇ〜どうしますか社長?」

「ちょっくら塩借りに行くか!」

この人達雑にスパルタン

だがその時だった

寒気がする

全裸で寒気も変な話だけども

奇妙な感覚が手の様に首元から絡みつく様に襲いかかる。

(あっコレ本当にヤバいヤツだわ)

撮影用に敷いた布団の上で俺は意識を手放した。

ここから神の視点


「コウタ君寝ちゃったよ」

「オカルト駄目だったか?」

「それでも御立派な事で」

「いい形してるよね、あたしも欲しいけど女を辞める気になれないのが残念だよ」

2人は世間(?)話をしてる

心霊現場に直面しているはずなのに緊張感がまるでない。

他人事はここまで人間を冷静にさせるのだろう

はたまた

今迄の悪業のツケを返済している愚か者の同僚を嘲け笑っているのだろう。

「●の元でも幽霊退治って出来るかな?」

調味料の瓶をもった社長が帰って来た。

隣には女将の香澄さん

「あらららら」

彼女はいきり立つバベルの塔を珍しそうに凝視してる。

「香澄ちゃん下の廃墟ってヤバい場所だったりする?」

「病院だったよ、産婦人科」

「こんな山奥に?」

「山奥だからじゃないですか?」

本作主軸を必要とせずに会話が回ってる

「ヘザーちゃんそれ何してるの?」

横たわる被害者を撫で回す不審者がいた。

「ちょっとだけ…ちょっとだけですから」

どうやら不審者は変態だった。

「とりあえず振りかけてみるか」

「コレはコレで良さげですね」

「れろれろれろ」

「スッゴぃ絵面ね」

「お化け騒ぎはどうしたの?」

どうやら主人公以外のキャストには人間性を入れ忘れてしまったみたいだ。


閑話休題

意識を取り戻せば獣が俺を舐っている。

「オハヨウゴザイマース」

「まだ撮影してるの?」

「とりあえずの映材にね」

「お化けはどうした?撮影出来るか?」

コイツら人の心ないんか?

そして恐ろしい事実が判明した。

「勃◯が治らん」

「おかしいな?寝てる時に盛大に吹いてたんだがな」

「そりゃもう盛大に」

「お化けのせいかな?」

「凄いお化けね…」

「このままでもミーは構いまセーン」

「祟られて元気になるのは意味がわからないのだか?」

会議中にもヘザーはセクハラをやめてはくれない

撮影は続行したままのスタッフ会議も意味がわからない

誰か一つぐらいあとに回してくれないか?

祟り、仕事、会議

タスク管理は苦手なんだよ

「話をまとめますか

コウタ君は祟られてギンギン

何回出しても萎えそうにない

撮影に影響はないでしょうが撮影後がやばそうです。」

城田さんがまとめてくれる

「撮影だけ先に終わらすか?」

「寝てれば治るんちゃう?」

「祟りなら早く解決した方がいいんじゃないですか?今元気でもコレから立ち上がれなくなりそうじゃない?」

うん大問題

漢としても仕事人としても

「ノォーウ、ソレはイケマセーン」

さりげなく胸を揉まれている

「素早く解決して朝風呂でしっぽりいきまショー」

欲望が止まらないなヘザーさんや

男の乳首を開発するのはやめなはれ

彼女の提案で

ぶらり山中温泉ラブラブAVが肝試し除霊に変わってしまった

股間の違和感(いきり立つ相棒)は出す度に身体から何かを抜かれていく感覚

脱力感はあるのに治らない

このまま衰弱死するのか俺?

件の廃墟に向かう事が決まり準備をしている時に発覚したのだが

どうやら相棒の感度が段々とましている様で

山中降る際に歩いているだけで至ってしまった。

「〜」

「ワァーオ」

「男の潮吹き(笑)」

「スッゲェ量出たなコウタ(笑)」

「絵になりますね(笑)」

「凄いけど普通にこの絵面、犯行現場だよね(ドン引き)」

間違いないコレは祟り的な呪いで俺の身体にはエロ漫画みたいな状態異常がかけられている。

「なんで俺がこんな目に(泣)」

「天罰じゃない?」

「回答が早すぎる」

「ようやく人生の精算する時がきたか」

「社長がやる言ったんですが!」

撮影用ライトが夜中の山道を明るく照らす。

「怖いねぇー」

「クマはいないと思うけど猪はおるからね」

流石地元田舎民そこじゃない

股座の銃座が暴発しそうで辛い

歩けば歩く程

進めば進む程

近づけば近づく程

加速度的に感度が増していくのが分かる

下半身の一部分だけ力が入り続けてる


ようやく目的地に着く頃には限界手前だった

「ヘイヘーイ」

とりあえず限界は通り過ぎた

トランクスに増した湿り気がかなり気持ち悪い

「いっそ出しちまえ?山ん中だし諦めろ」

「くっっさ」

「前より出てない?大丈夫?」

「うわぁ…」

「oh〜ジーザス」

誰か助けてくれ

これ以上着る物が汚れるのは勘弁して欲しいので抜き身の愛刀で挑む事となり

間違いなく変態事案である

「中入って、Hしてごめんなさいって謝ってきなさい。コレお供物」

香澄さんが俺に饅頭やお菓子の入ったビニール袋とお酒とリ●ビダンのクーラーBoxを手渡した。

「玄関前でええんちゃう?」

「撮影現場まで行ったほうがいいですよ」

「コレで幽霊関係なかったら笑える」

「実は救急に頼むのが正解だったの?」

「ここ救急車こないよ、車なら出すけど病院まで遠いし」

「覚悟決めて行きますか…」

暗く不気味な廃墟へと進む

日の出てる時間帯ならば多少の好奇心をくすぐるこの場所も

夜の帷に支配された後となればより一層の恐怖を駆り立ててくる。

ホラー嫌いじゃないが進んで見ないのよ

廃墟の一階奥の突き当たり

比較的まともな部屋を見つけた所為で今はおっかなびっくり肝試しだ。

机と椅子、扉付きの本棚

薄地のカーテンは陽光を覗かせてくれていたが今では外界を遮断する煩わしさを感じさせる。

机や椅子は埃や瓦礫が積もりかつての豪華さを失っている。

この部屋で立ちながら行為に及んだ過去を呪う。

机の上にお供えものを置き

皆で手を合わせる

(コレで終わるよな?)

「ソレでわ皆さん帰りまショー」

「残念ながら退魔◯のままで諦めろと?」

「明日病院行こうね」

「労災にはならないからな」

「まだ撮影残ってるけど見にくる?」

「やめとくよ、正直夜更かししちゃって眠いもん」

ただただ肝試ししただけやん

明日病院に行くしかないか…

泌尿器科でいいのかな?

ハッピーエンドは訪れなかった。

クソみたいなマヌケな話だ

朝まで俺の精魂は残っているだろうか?





『ところがどっこいすっとこどっこい

土俵際程予想外

このまま終われば夏の夢

このまま終れぬ人の妄

起承転結はようやく承転まで過ぎました

ここから作者の見せ所

夢夢見させてあげましょう

努努務めて頑張ります

せっかく綴る絵空事

快晴目指してお祈りを

ひとまず幕を締めまして

次で転結する予定

それでは皆様また会いましょう』


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