暴君戦争〈タイラントウォーズ〉〜宇宙の傭兵隊長な俺の前世は最凶最悪なファンタジーの暴君様。星の海で覚醒したらしいが性格が最悪過ぎて俺の品位がヤバい~
千八軒@瞑想中(´-ω-`)
第1話 ある男の末路(1)
「あああああ、
怒りで全身の血が
馬鹿にしやがって、馬鹿にしやがって、馬鹿にしやがって!!
喉から
それどころか、俺は光る鎖にがんじがらめにされ身動きができない状況にある。これは王国のクソどもが使う、クソみたいな神聖魔術。自由を奪う拘束術だ。
「クソがクソがクソがぁぁぁ! てめぇら裏切りやがるか! さんざん俺を利用しやがったじゃねぇか! その挙句がコレかァ!? 殺す! お前ら絶対ぶっ殺してやるからなァ!!!!」
アジトへの襲撃は突然だった。酒を食らって女を抱いて、いつも通りいい気分で酒池肉林としゃれこんでいたところに、王国のクソどもが大挙して押し寄せてきやがった。
結果、女どもはちりじりに逃げちまった。
国中から集めた、俺様の自慢の美女ハーレム。それが一瞬でパーだよクソが!!
マジで許せん。
「うがああああ!! 殺す殺す、絶対ぶっ殺す!! 俺様に仇なすやつは全員ぶっ殺してやらぁぁぁぁ!!」
俺は足掻いた。百人を超える神官共に多重拘束術をかけられてはいるが、こんなものはしょせん時間稼ぎにしかならん。そらみろ、俺が力を入れれば、光鎖は次々と崩壊していく。俺様の力を舐めんなよコラ!!
「静まりなさい。アリオス。見苦しいですよ」
と思ったら俺の前に立ちやがったヤツが居た。そしてそいつは女だった。
「――ラナリアぁ、テメェの差し金かァ」
そいつのまわりには多くの人間がいる。クソったれな神官魔術師どもだ。それが一斉に女にかしずく。
「聖女様」「大聖女ラナリア様」「聖母ラナリア」
聖女と呼ばれた女、ラナリア。だがそいつはババアだった。はっきり言って鶏ガラだ。肩を流れる髪は色を失っているし、顔には深いしわが刻まれている。俺を見降ろす目は細められ、いかにも苦々しいって表情だ。
「裁きの時が来たのです。〈暴君〉アリオス。英雄魔術師と呼ばれ、幾度も国を救ったあなた。しかし、盗賊同然に国を荒らしたあなた。民が泣いているのです。もう終わりにしなければなりません」
「ハァ? 終わりにするだァ? それは俺を殺すって事かァ? ふざけた事を言いやがる。俺様は不滅の魔術師、暴君アリオス様だぞ!! 殺しても死なねぇ相手をどうやって殺すってんだァ?」
このババア、ラナリアと俺はそれなりの付き合いがある。
50年ほど前は一緒に戦ってやったりもした間柄だし、当然のように俺様の女だった。コイツはクソ雑魚で融通の利かないガキだったが、多少は使えるガキだった。だが、それも昔の話だ。今は老いぼれババアだからな。
一方、俺様は最強で無敵でスペシャルな存在だったから魔術を極めることができた。その結果、俺自身を不滅で不死身な存在にしたわけだ。寿命も病気も死もなーんもねェ! 永遠に若い身体のままってわけだ。
なのにクソ雑魚ラナリアはそのまま歳をとりやがった。なんの面白みも価値もねぇしわくちゃババアになりやがった! 俺様が永遠の命を分けてやろうって言ってやったにも関わらず、断ってだ!! マジで信じられんな。
「ラナリアぁ、テメェそんなババアになりやがって。惨めだなぁ、見苦しいなぁ、なんだそのナリ、今にも死にそうじゃねぇか」
「……見苦しいのは貴方ですよアリオス、永遠の命に溺れた愚者アリオス。私がこんなにも老いてしまうほどに時が経ったというのに、貴方は未だにそんなことを言っているのですね」
軽蔑したようなラナリアの視線が俺に注がれる。その目だけは昔と変わんねーな。潔癖だが、それゆえに美しい目。俺様のお気に入りだった目だ。
――は、ピーンと来たね! お前は俺様の事、大好きだったもんな。殺しに来たとこいつは言った。だがそれは
「か、かははははは!! わかった、わかったぜ。みなまで言うな。寛大な俺様は分かっちまったぜ。お前あれだろ? 今からでも〈不変不滅〉の魔術をかけてほしくなったんだろ? お前もう、しわくちゃのババアだもんな! 良く知ってんな。俺様天才だから、不変不滅と一緒に〈若返り〉の術も使えるって事をよ!」
俺はげらげらと笑った。
だがラナリアは黙っている。さては図星で二の句が告げられねぇか!
「お前は急に死ぬのが怖くなったわけだ。それと同時に、俺様にまた抱かれたいと思ったんだろ!? 俺のハーレムを潰しやがった理由はそれだ! 女どもを追い払って、若返ったお前が俺様を独占しようって腹だ。かははは!」
ラナリアはまだ黙っていやがる。目論見が言い当てられたからって不機嫌そうな面するなよ、可愛くねーぞ! ババアが不機嫌そうな顔しても気色悪いだけなんだからなァ!
「良いぜ。許してやらァ! テメェはクソ真面目な堅物だったが、ヤッてる時の顔はめちゃくちゃそそる感じだったもんなァ! こう悔しそうな顔がまた良いんだよ!! だがなぁ……、ただじゃ駄目だ! 誠意ってやつを見せろ! このクソ神官共、お前が殺せ。テメェ自身で王国から決別するんだよ。そしたら今までの無礼全部忘れて、若返らせてから、抱いてやるからよぉォお!!」
俺は勝利を確信したね。女どもを逃がされた時は、王国住民全員をぶっ殺してやりたい気分だったが、それに免じて半分だけで勘弁してやろう! もちろん残す半分ってのは女の事だがなァ!
「貴方を殺す方法」
「あ"」
「不死身の貴方を殺す方法を、ずっと考えていました」
だというのに、ラナリアのやつはちっとも笑わねぇ。俺を殺す方法だと? そんなもんあるわけねェだろうがボケが! と思っていたら、ラナリアは杖を振り上げ、そして地面を突いた。はァ? なにをする気だァ?
「――
カンカンと、ラナリアの杖が奏でる音律に呪文が重なった。それによりヤツの足元に現れたのは巨大な魔術陣だ。そのあと出てきたのは光る巨大な人型。どんどんと這い出して俺をとり囲む。こいつら、こいつら……、神聖存在か。
「――おいおいおい、なんだこいつらァ?」
神聖存在。こいつらは異なる次元にいやがる人ならざる存在だ。国によっては〈神〉であるとか、〈神霊〉であるとか呼ばれるやつらだが魔術の深淵に触れた俺にはわかる。実はそんな上等なもんじゃねェ。
ただただ、別の世界に生きる理解できない化け物どもだ。だがその分、力は強い。その光の巨人どもが俺の身体を担ぎ上げる。クソが、俺をどこかに連れて行く気かァ!?
「高次元空間への強制追放、これならどうですか?」
「ハァ? ――ふざけん、なよてめェ」
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