免許 免罪

 大学生が免許を取る機会は二つ。


 一つは受験が終わってから入学までの少しの時間。

 もう一つは夏休みだ。


 僕は二つ目を選択した。この宿題のない長い夏休みを利用すれば余裕を持って取れると思ったからだ。ついでに実家に帰って実家の近くの自動車学校に通うことにした。


「あれ、久しぶりじゃない?」


 自動車学校の入り口のところで聞き覚えのあるような、ないような。そんな声が聞こえて振り返ると見覚えがあるような、ないような。そんな女性がいた。


「覚えてない?」


 僕がキョトンとしているのを見かねてそう言った。その時思い出した。


「ああ、––––さん」

「覚えててくれたんだ。久しぶり。」


 中学以来だ。こんなところで再会するとは。


 最悪だ。


「うん、久しぶり。」


 片思いをしたまま中学を卒業して離れ離れ。やっと忘れられたのに。どうして今目の前に。


「てか大学進学した?どこ?」


 こうして会話に花が咲くのは何より辛い。

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