走馬灯

 二人はアナウンスに合わせて微笑み手を振っていた。

それを観ながら大曽根は、昭和基地を日本の首都だと主張すれば、国土が広がるな・・・。

 と、良からぬ事を考えていた。しかし・・・。

1959年に締結された南極条約に基き、何処の国々も南極や北極を領土権を主張出来ないばかりか、核物質を廃棄、核実験や軍事活動を建築出来ない。

 いわば、みんなの財産なのだ。

そのみんなの南極から手を振る微笑ましい二人を観て、感慨深く片麻痺となって、デイサービスポーラスターの門を叩いた。

 今まで生きてきた人生の中で、全てが初体験だった。

悔しくて悔しくて・・・、40歳を超えて初めて流した涙・・・。

 リハビリテーションがこんなにも痛くて苦痛だったなんて、大曽根甲は、天井を向いて涙を堪えていた。

 この健

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る