君より大切なもの

梅林 冬実

君より大切なもの

君より大切なものを

数えてみようとするけれど

ひとつも集まらないから

すぐに止めた


「夏休みももう終わるね」

「いやなこと言わないで」


唯一軽口を叩ける相手

私の大切なおともだち

胸の奥に潜む

自分でも思わず顔を赤らめてしまうような

甘く柔らかい思いを口にしたら

君のことはどのみち

「ともだち」とは呼べなくなる


分かってる

私は君にとってただの友達

それ以下になることはあっても

それ以上になることは絶対にない

何故言い切れるかって

それは毎日のように君と

ともだちとして接しているから


「でっかい入道雲」

「ほんとう きれいだね」


素直な心でそんな風に伝えられる関係を

失いたくない壊したくない手放したくない

私のきれいとはいえない両手に

しっかりとそれを握りしめて

秋へ移り変わっていく季節を

ともだちである君と眺めるんだ


夏の終わりに花火で遊びたいな

賑やかなやつ撒き散らして散々笑ったその後は

静まり返った公園の一角で

線香花火を見つめるんだ

夏の終わり 大切な君と

過ぎ去ってしまう時の流れを惜しみながら

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君より大切なもの 梅林 冬実 @umemomosakura333

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