第0話 最強のセ縺励◇縲ょ・譬
今日この時この瞬間に会おうと僕は彼女と約束をしていた。
しかし彼女が僕の目の前に現れることはなかった。
そう、それはずっと昔の約束
僕がここにいる理由は彼女がその約束を今でも覚えている、そう思って居たかった僕の我が儘だったのだろう
僕は肩を落とし茶色と赤色の枯れ葉を踏みしめ帰路につこうとした瞬間
「ごめん、待たせた?」
彼女が現れた。
彼女は忘れていなかったのだ僕との約束を
「いや僕も今来た所なんだ」
「うそ、分かるよ私、そういう嘘には敏感だもん本当はどれくらい待ったの?」
「……2時間」
「……ごめんね」
「いいんだよ、君に会えたそれで全部チャラだ」
今日この時この瞬間に出会えた事それが僕にとっての全てだ。
彼女は僕の言葉を聞いて天使のような微笑みを見せる
「チッ相変わらずむず痒ぃこと言うな? お前」
彼女の目が万華鏡のように彩り豊かな斑色で輝き始める
「全く恋愛映画ごっこでもしてるつもりか? なんなんだこりゃ? ってクククッまぁこの茶番を始めたのは私の方なんだけど……私とお前は殺し合う為に此処へ集まった今日この時この瞬間にな」
そうだ。僕は彼女と殺し合う今日この時この瞬間に
「なんだかヤバイ顔してるがちゃんと自分が誰で私が誰だったか覚えてる? お前はマジシャンと呼ばれている凄腕の魔術師で俺はウィザードと呼ばれている最強の魔術師だ。ここへ集まった理由はどっちがより強い魔術師かを決めるため」
「分かってる、大丈夫だよ」
「……だったらいいんだが」
「もうすぐ時間だ。始まる」
「終わりとも言うがな」
僕は斑色の瞳の彼女と向かい合う
告白の為ではない
殺し合う為に
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「君に見て欲しい僕が造り出した最高の魔法道具達を! その名もマジシャンズ1000(サウザンド)」
マジシャンは何も無かった空間にワープゲートを造り出し手を突っ込み武器を一つ引っ張り出す。
「先ずは小手調べ、マジシャンズ”99”」
マジシャンが取り出したのは黄金の剣
「……ふーん、高出力の魔力を放出できる仕組みの剣ね……」
ウィザードはそれを一瞥し一瞬で興味を失ったのか冷めた目でマジシャンを見る
「もったいぶらずにとにかく撃ってみたら? それで私倒せるかもしれないよ?」
そうウィザードは言った。
ウィザードの挑発にも似た言動に嫌な顔一つせず爽やかに笑ってみせるマジシャン
「それでこそ挑む価値が有るというものだ」
マジシャンは剣を振う
結果
ウィザードが言った通り高出力の魔力がウィザードの方へと放射状に迫ってくるがウィザードは避けも防御もせずその一撃をその身で受け止めた。
しかしウィザードの身体には傷一つない
「その程度の魔力量なら魔法で小細工する必要もない」
砕け散る剣
「流石……」
マジシャンは再びワープゲートに手を入れる
「マジシャンズ”50”……」
「次は召喚器か、何を召喚する気だ? 地獄の大魔王? それとも神様? まぁどちらも大差ないとっとと使いな」
惑星を覆う巨大な怪魚をマジシャンは召喚した。
召喚した瞬間、召喚器は粉々に砕ける
「ふーん……」
またもウィザードは退屈そうにその怪魚を眺める
ウィザードは人差し指を怪魚に向け
「ドカーン」
と口にした瞬間、怪魚は消滅した。
「……はっ……ははは、星砕きと呼ばれ恐れられた伝説の怪物が……こんな呆気なく」
その光景を目にしたマジシャンは笑うしかなかった。
あのレベルの召喚獣が一撃、それも一瞬で消し去られるなんて思ってもいなかった。
「さて、次は?」
「マジシャンズ”18”……」
マジシャンはワープゲートからネックレスを取り出す。
「装着者の身体を加速させるネックレスか……ふーんじゃあ私とどっちが速いか勝負する?」
マジシャンはネックレスの能力によりその身体の動きをほぼ0秒に近付ける程の速度を手に入れウィザードに接近しようとしたがウィザードはそれを上回る速度でマジシャンの目の前に移動し顎にアッパーを食らわそうとする
(!! マジシャンズ”37”!!)
ネックレスは砕けたがマジシャンはウィザードのアッパーを盾を目の前に転移させ防ぐ、しかし完全には防ぎきれずその身体は宙を舞いそのまま星の外へと飛び出して行ってしまう
「クククッいい盾だな、今の一撃を防ぐとはな」
しかし盾は先程の一撃で完全に粉砕されマジシャンは宇宙空間の中、身動きもとれないでその場で無重力の中を漂っていると目の前にウィザードが転移してきた。
「よっ!」
ウィザードは女性の姿ではなく男の姿に変わりマジシャンの前に現れた。
「驚いたか? 宇宙でなんで声が聞こえるんだってさ、そこじゃない? この姿のことの方が気になるって? いやそもそもここじゃなにも喋れないって?」
マジシャンは魔法によって辛うじて宇宙の温度と真空に耐える事が出来ているがウィザードのように自由に動くことは叶わない
「さて、次は何を見せてくれるんだ? あるんだろ? とっておきが」
1001個ある魔法道具、その中でも屈指の攻撃力を持つ道具を使ったが一切目の前の魔術師には通用しなかった。
これ以上は出し惜しみをする意味がないマジシャンはそう判断しとっておきの魔法道具を取り出す。
(マジシャンズ”0”)
それは杖
「……冗談だろ」
ウィザードはそれを見てそう言い放った。
「ソイツを発動させるとドーン! ビッグバンが起こる……ふーん」
宇宙全体を崩壊させる程の爆発を起こせるような強力な魔法道具
それを目の前にしたウィザードは相変わらず浮かぬ顔
「なぁ、まさかとは思うがそれで終わりか?」
宇宙全体を巻き込むような魔法道具を目の前にしてもウィザードはそう言い放った。
「……終わり? 冗談だろ? ……ははっ……そうか、そうかよ」
ウィザードの目の輝きが増す。
「だったら、もう遠慮する必要もないな、今から俺の全力をお前にぶつける、お前の杖と俺の全力どっちが上か決着をつけよう今日この時この瞬間にな」
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