第5話 妹の体で興奮するわけがない。
「なっ、はぁっ!?何言ってんだよ……」
一体何を言い出すのかと思えば、とんでもない提案だった。
「なにって、身体を触らせてあげるって言ってんの。変態のお兄ならそっちのほうが嬉しいでしょ」
「おまっ……。それ本気で言ってんのか?」
「本気じゃなきゃこんなこと言わないし。その代わり、触っていいのは1分間だけだからね……」
冬華は頬を染めつつ、俺の返事を待つようにじっと見つめてくる。正直なところ、こんなに可愛い女が目の前にいたら触れたくなるのが男のサガというものだ。だが、いくら義理とはいえ妹に手を出す訳にはいかない……。
「で、どうすんの。蹴り返すか触るか、どっちか早く決めてよね」
「その2択しかないのかよ……」
「当たり前じゃん。ま、妹のことを性的な目で見てる変態のお兄なら一択だろうけどさ」
冬華は挑発するように言いながら、背を向けて俺の膝に座り込んできた。昔はこの状態でよく一緒にゲームをしたものだが、今となっては刺激的で仕方がない。
「くそっ、後悔しても知らないからな」
「はいはい。ほら、はやく」
緊張する俺を後目に、彼女は余裕そうに俺の腕を引っ張ってくる。俺は覚悟を決めて、背後から恐る恐る冬華の胸に触れた。
「ひゃっ……!」
「わ、悪い。嫌だったか?」
「ううん、びっくりしただけ……。いきなり胸から触ってくるとは思わなかったから……」
そういう彼女の表情は後ろからだとうまく読み取れなかったが、耳を真っ赤にしているあたり本当に恥ずかしいのだろう。そのまま両手で揉んでみると、柔らかい感触が手のひらに伝わる。小ぶりとはいえ確かな感触があり、綺麗な黒髪から香る女の子らしい匂いも相まって、頭がクラクラしてくる。
「んっ……ふぅ……」
冬華は声を押し殺して耐えているようだが、時折漏れ出る吐息が艶かしい。
「なあ、足も触っていいか……?」
「はぁ……。すきにしていいし、いちいち聞くな」
許可が出たので、胸に手を当てたまま片手でスカートを捲り、現れた真っ白な太ももに触れてみる。絶対領域の眩しい太ももは柔らくて熱を帯びており、すべすべとした手触りでたまらない感触だった……。
「はあっ……んっ……」
「やばい、これ……癖になりそう……」
「ばかっ、へんたっ……い……っ」
「お前が誘ってきたんだろ。こっちは兄である前に男なんだぞ」
「ちょ、待っ……!やめっ……」
欲望を抑えきれずに制服を脱がそうとしたところで、彼女の携帯が鳴り響いた。どうやら1分のタイマーを計っていたようで、彼女は俺を突き放すかのようにして逃げてしまった。
「はぁ、はぁっ……。1分経ったから、これでおしまい。もう貸し借りは無しだからね!」
「くそっ、もう少し触ってたかった……」
「だめ!これ以上やったら、もう二度と口聞かないから」
「は、はい……」
結局、満足のいくまで触れることはできなかったが、むしろ貞操をギリギリで守れたのでよしとすべきだろう。このまま襲っていたら家族の縁を切られるどころか、通報されかねない……。
「残念そうな顔しないでよ。てか、そんなに良かったの?あたしのカラダ……」
「誤解を呼ぶ表現はやめろよ……。まあ、冬華の成長を肌で感じれて良かったよ」
「きっも……。はあ、でもこれで恨みっこなしだからね。お兄の傷が悪化しても、あたしは知らないから」
冬華は目を逸らして言ったが、照れ隠しなのは伝わってくる。相変わらずのツンデレ気質は今も変わっていないようだ。
「そうだな。じゃ、仲直りの握手でもするか」
「ん……」
俺が差し出した手を、冬華はしばらく見つめてからそっと握り返してきた。彼女の手指の細さに驚きつつも手を握っていると、ドアの方から物音がしたので振り返る。すると、そこには買い物袋を床に落として立ちすくむ玲華の姿があった。
「お、おかえり玲華……」
「……っ!?た、ただいまです……。たった今帰ってきたので、なにも見てませんからっ……!」
そう言うと、玲華は慌ててキッチンへと隠れるようにして移動し料理の支度を始めたのだった。
「やば……さっきの、お姉に見られてたかな」
「ま、まさかな。あはは……」
俺は乾いた笑いを浮かべて誤魔化しつつ、内心では冷や汗を流していた。もし見られてしまっていた場合、なんと弁明すればいいのか分からない。その後、俺たちは重い空気を抱えたまま久しぶりに3人で食卓を囲んだのであった。
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