義妹相手に本気になるわけがない。〜美少女姉妹と5年ぶりの同居生活!?〜
壱織らむね
第1話 同居でトラブルが起きないわけがない。
「あーそうだ
「わかってるって。じゃあな母さん。お義父さんによろしく言っといて」
母からの電話を切り、掃除の続きを始める。一人暮らしゆえに部屋の掃除をサボっていたツケが回ってきたのだろうか、これから新生活が始まるというのに依然として部屋は汚いままだ。
「まぁ、あいつらが来るまでには終わるかな」
そう思いながらせっせと掃除を続けていると、突然インターホンが鳴り響いた。予定よりも早い来訪者に戸惑いつつもドアを開けると、そこには眩いばかりのふたりの美少女が立っていた。
「あ、あの……。兄さん、で合ってますよね……?」
「ええと、どちらさまですか?」
「あ、あれっ!?住所間違えたかな!?」
「……お姉、ここで合ってるってば」
「なっ……その声は、もしかして
目の前にいる少女達は紛れもなく俺の義妹達だったのだが、あまりにも見違えたのでしばらく気付くことができなかった。
「あはは……。5年も見なかったら、流石に印象も変わってますよね。久しぶりです、兄さんっ」
「そうだな、本当に久しぶりだ。玲華も冬華もなんて言うか、すげぇ美人になってて驚いたよ」
「お世辞はいいっての。ここまで来るのに疲れたんだから、はやく部屋にあげてよね」
「お、おう。立ち話して悪かったな、入ってくれ」
俺が部屋へと案内すると、彼女たちは「お邪魔します」と小さく呟き、靴を脱いでこれから一緒に住むことになる家へと足を踏み入れたのであった。
「それにしても、二人とも見ないうちにすっかり美人さんになったよなぁ」
「えへへ、そうですかね。でも、それを言うなら兄さんだって凄く素敵です。なんだか大人の男性って感じがします」
そう言って微笑みかけてくる玲華に、俺は思わずドキッとしてしまった。いやいや、義理とはいえ相手は4つも離れた妹なんだからそんな感情を抱くはずがない。
「兄さん?どうかしましたか?」
「ああいや、なんでもないよ。垢抜けたなぁって思ってただけだ」
長女の
「はあ、さっきからお姉の
「なっ、そんなに見てないぞ!?」
「と、冬華ってば……。もう、変なこと言わないでください」
「ふん……。あたしじゃなくて、こいつが怪しい動きするのが悪いし」
次女である
「こいつ呼ばわりかよ……冬華は手厳しいな」
「ま、まあまあ。冬華はこう見えて根は優しい子ですからね?久しぶりに兄さんに会えて緊張してるだけで、本当は兄さんのことが……」
「うるさいっ!お姉まで変なこと吹き込まないでよね。次やったら本気で怒るから」
「ご、ごめん……。すみません兄さん、冬華のことは大目に見てあげてくださいね……?」
「ああ、冬華も俺にとってはかわいい妹だからな。慣れない環境はつらいかもだけど、俺もできるだけサポートするからさ。自分の家だと思って遠慮なく過ごしてくれ」
「はいっ!」
「ん……」
冬華は相変わらず無愛想な態度を貫いているが、玲華の言う通り、根は優しい女の子であることは俺も知っている。昔はよく一緒にゲームをしたりして遊んでいたし、5年という月日が流れたとしてもあの頃の冬華と同じであることには変わりないのだ。
長旅で疲れた二人を労い、お茶とケーキを出して席に座らせた。昔から愛想の良い玲華とは会話が弾んだが、一方の冬華はスマホを取りだして自分の世界に入ってしまっている。どうやら久方ぶりすぎて緊張しているようだ。
「それにしても、こっちの学校に通うだけなら無理して俺の家に住まなくてもいいんだぞ?横の部屋だって空いてるわけだしさ」
「ううん。今までは遠距離通学でしたけど、ここからだと学校も近いですし、それに……ずっと兄さんに会いたかったですし……」
「えっ、今なんて言った?」
「ふぇ、いやなにも!だ、男性がいる方が防犯上も安心できますし、迷惑じゃなければここに居たいです」
「そっか……。俺は全然構わないんだけど、2人とも思春期だろ?ほら、俺が居たら彼氏とか呼べないだろうし」
「か、彼氏なんていませんよっ!?私、これでもずっと片思いしてる人がいるので……」
「へぇ、玲華に想い人がいるのか。告白したらすぐにOK貰えそうだけどな。どんな人なんだ?」
「ちょっと、JKの恋愛事情詮索するとか立派なセクハラなんですけど。キモいからやめてよね、ばか」
「ぐっ……」
確かに冬華の言葉は正論だ。いくら兄妹とはいえ、高校生にもなると異性に対して興味が出てくる年頃だ。俺が口を出すべき問題ではないのかもしれない。
「ふふっ、そんなに気を遣わなくても大丈夫ですよ。私たちは義理とはいえ兄妹なんですから、兄さんとはまた昔みたいに仲良くしたいんです」
「玲華……」
玲華は昔から本当に優しくて良い子だ。そんな子に好かれる相手はきっと幸せ者なんだろうなと思う。
「ふん。あたしは仲良くする気なんてないから。不必要に話しかけて来ないでよね」
「お、おう……。冬華、なんか変わったか?」
「知らない。あたし部屋片付けてくる。勝手に入ったり覗いたりしたらお父さんに襲われたって言いつけるから」
冬華はそれだけ言ってリビングを出て行ってしまった。冬華は昔から少しツンデレ気質なところがあったが、今ではそれがより顕著になっている気がする。まあ、思春期なので色々あるのだろう。
「すみません兄さん、冬華ってばまだ緊張してるみたいです。大目に見てもらえますか?」
「ああ、分かってるとも。それにしても凄い嫌われようだな。俺なにか冬華にしたかなぁ……」
「それは……えっと、昔のことを引きずってるのかもしれないです」
「え、昔のこと?その話詳しく教えてくれよ」
俺が彼女の話を聞こうとすると、玲華はなぜか申し訳なさそうな顔をして過去のことを話してくれた。
「兄さんが高校生で家を出た時、冬華と約束したこと覚えてますか?毎年年末には帰ってくるって話してましたけど、結局会えなかったじゃないですか」
「あー……。すまん、高校の時から飲食店のバイトで忙しかったからな……。年末は特に忙しなかったよ」
「それできっと、約束が守れなくて冬華は怒ってるんだと思います。年末になると毎年兄さんが帰ってくるかどうか聞いていたので……」
言われてみれば、家族から毎年俺が帰ってくるのか聞かれたような記憶がある。あれはそういうことだったのかと納得した。
「そうか……。約束破ったこと、冬華にちゃんと謝らないとだな。教えてくれてありがとう」
「ううん、礼には及ばないですよ。あ、兄さん。今日からは私が毎日ご飯を作りますね」
「えっ、いいのか?学校もあるし大変だろ」
「私が好きでやるのでいいんです。それに、ゴミ袋にカップ麺の容器が沢山詰まってました。兄さんの健康にもよくないので、これからは私が作ってあげます」
「お、おお……なんか悪いな」
「いえ、気にしないでください。それじゃ、私は夕飯の準備をしておきますね」
「ああ、頼んだ。ありがとな」
こうして、優しくてしっかり者な玲華とクールで不器用な冬華との同居生活が始まったのだった。
「んー!うまいなこれ、すごく美味しいよ」
「そうですか?えへへ、よかったですっ」
夕食どきになり、俺は玲華が作った料理を口に運ぶ。まるで食べたことの無い魚料理は華やかな見た目のうえ、味も文句無しにとても美味しくてつい頬が緩んでしまう。
「ん……、おいし……」
「ふふ、冬華にも褒めて貰えて嬉しいなぁ。おかわりもあるから、いっぱい食べてくださいね?」
「お姉、いつも作りすぎなんだってば……。普通そんなに食べられないから」
「そうですか?食べきれない分は私が全部食べるので安心してください!」
「ああ、そういえば玲華って昔からよく食うんだったっけ。衰えてないなあ」
「あっ……。あの、女の子なのにいっぱい食べるなんてはしたないですね……。うぅ、すみません……」
「なんで謝るんだよ。別にはしたなくなんてないし、俺はいっぱい食べる玲華の方が好きだぞ」
「ふぇ、す、すき……!?そんな、えへへ……」
玲華は顔を真っ赤にして照れたように笑う。相変わらず可愛い妹だ。一方、冬華はというとため息をつきながら黙々と箸を進めていた。
「はあ、玲華の作ったご飯美味かったなぁ。これから毎日食べられると思うと幸せだよ」
「そんな、褒めすぎですよ。でも、お気に召して頂けたみたいでなによりです」
食事を終えて食器を洗っていると、玲華が隣に立って手伝いを始めてくれた。実家から持ってきたというエプロン姿も可愛らしい。
「それにしても、わざわざ手伝わなくていいんだぞ?料理までしてくれたんだからあとはゆっくりくつろいでくれよ」
「ううん、私家事するの好きなんです。それに居候させてもらってる身ですから、このくらいさせてください」
「そっか。なら、お言葉に甘えようかな」
「はい、任せてくださいっ」
玲華はそう言って微笑むと、テキパキと皿洗いを進めていった。ところで、食事を終えてから冬華の姿が見当たらない気がする。一体どこに行ったのだろうか。
「あれ、いつの間にか冬華が居なくなってるな。約束破ったこと謝ろうと思ったんだが……」
「ほんとですね。もしかしたら日課のランニングかもしれないです」
「へぇー、食後にランニングしてるのか。俺も見習おうかな」
「ふふっ、一緒に走ってみると距離が縮まるかもしれないですね。あ、先にお風呂入りますか?」
「そうだな。今日は掃除で疲れたし入るとするよ」
「はい、お着替え用意しますね」
「そこまでしなくても……ああいや、助かるよ」
俺は玲華の厚意に甘え、用意してくれていた着替えを持って浴室に向かった。そして、いつものように脱衣所の扉を開けたのだった。だが……。
「……!?」
「なっ、冬華……っ!?」
「……っ、開けんなっ!でていけ変態っ!」
そこにはちょうど下着を脱ぎ終えた冬華がおり、咄嵯に胸を隠してこちらを睨んできた。彼女の真っ白で綺麗な肌は義妹であることを忘れてしまうほどに魅力的で、目が離せなくなってしまった。
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