サラリーマンと野良になった猫

松本啓介

1 side 猫 ①

 ボクは1人で生きていかないといけないらしい。



 お兄さんは最近忙しそうだ。一週間前は中々お家に帰ってこないなと思っていたけど、ここ数日はずっと家に居てくれる。

 でも、ボクには目も向けずにいろんな物を白い箱に詰めている。


____何してるの、ボクも一緒に遊んでいい?


 声をかけると、お兄さんはいつもの笑顔を向けては……くれなかった。


____どうしたの辛そうだよ。その白い箱と関係があるの?



「リン…ごめんな」



 この3日後、ボクはリンから名無しの野良ネコになった。

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