第28話 ゲスト

「ようやくんじょか。話が長すぎるんじょ」


 どこからともなく聞き覚えのない声が聞こえてきた。


 すごくキレイで、神々しい感じがする声だな。


 神様が連れて来たということは、やはり神なのだろうか?


「うるさいざますね。どうせ暇を持て余しているのざますから、なんの問題もないざましょ?」


「何言ってるんじょ!? わたくし様が暇なわけないんじょ!! 暇なのは、そっちんじょ!!」


「私ちゃんは暇じゃないざますよ!!」


「いつもダラダラ配信を見ているヤツが、何を言っているんじょ!!」


「それは、そっちざましょ!!」


「わたくし様は、キチンと仕事してるんじょ!!」


「私ちゃんもしてるざますよ!!」


 なんでこいつらケンカしてるんだよ!?


 とりあえず、止めるか!


「まあまあ、落ち着いてください。ゲストの方を紹介してくださいよ」


「仕方ないざますね! こいつも神ざます!」


「ああ、やはりそうなんですか」


「ほら、さっさと自己紹介するざます!」


「紹介が雑すぎるんじょ! もっとちゃんとやるんじょ!!」


「いいから、さっさとやるざます!」


「仕方ないんじょね! わたくし様は『トイレ力の神』であるんじょ!!」


「はぁ、そうなんですか」


 俺たちも自己紹介をした。



「ところで、トイレ力って、なんなのですか?」


「言葉通り、トイレに関係する力のことんじょ」


「はぁ……」


 よく分からんな!!


「細かいことは気にしなくて良いざますよ!」


「分かりましたよ」


 まあ、とにかく、トイレ関係の神様なんだな。



「そのトイレ力の神様が、何をしに来たのでごわすか?」


「そこそこ面白い供物をもらったから、褒美を与えに来てやったんじょ」


「えっ!? そうだったのですか!? わざわざありがとうございます!!」


「何をもらえるのでごわすか?」


「『トイレ力の加護』をやるんじょ」


「なんですか、それは?」


「トイレ関係の運勢が良くなるんじょ。会議中などの重要な場面で、トイレに行きたくなりにくくなったりするんじょ」


「おおっ、それはありがたいですね!」


「鳥のフンが直撃しにくくなったりもするんじょ」


「それもありがたいですね!」


「そうだろうんじょ。ありがたく思えんじょ」


「はい、ありがとうございます!」



「でも、それ、配信や宇宙人との戦いには、なんの役にも立たないんじゃないざますか?」


「そんなことはないんじょ! 配信の途中にトイレに行きたくなりにくくなるんじょ!!」


「地味すぎるざます! もっと派手で面白いものにするざます!!」


「最初は、これくらいで良いんじょ!!」


「ケチざますね!!」


「うるさいんじょ!!」


「聖水くらい出すざます!!」


「さっき飲んでたからいらないだろんじょ!!」


「ケンカしないでくださいよ……」


 というか、トイレ力の神様も聖水を出せるのか。


 あんまり飲みたくないなぁ……



「それじゃあ、わたくし様は帰るんじょ。配信がんばれよんじょ」


「はい、ありがとうございます! また見に来てください!」


「分かったんじょ」


「さて、私ちゃんも帰るとするざますか! クバリ、早く次の配信をするざますよ!」


「善処しますよ!」


「では、カウンター形式の洋酒を出す酒場ざます!!」


「えっ!? どういうことですか!?」


「それは『バー』のことでごわすね」


「バー!?」


 サラダが足りないぞ!?



「クバリのアニキ、加護をもらって、何か変わったでごわすか?」


「うーん、特に変化はないな」


「そうでごわすか」


「まあ、効果が実感できるようなものではないみたいだからな」


「そうでごわすね」


「さて、俺は休ませてもらうか」


「自分さんは、また切り抜き動画を作るでごわす」


「ああ、頼むよ、ハイテー」


 それじゃあ、寝るとするか。


 明日は仕事だしな。



 うん〇動画の人が、まだ新作を出さないそうだ。


 動画作りをやめてしまったのかな?


 それとも、大作でも作っているのだろうか?


 どうなんだろう?


 まあ、そんなのどうでもいいか。


 仕事をがんばろう。



 仕事を終え、帰宅した。


「おかえりでごわす」


「ただいま」


「クバリのアニキ、新しいゲームと切り抜き動画ができたでごわすよ」


「ありがとう。再生数の方はどうだ? 増えたか?」


「まったく増えてないでごわすよ」


「そうか。なかなか増えないもんだなぁ」


「配信回数が少ないからざますよ! クバリ、もっと配信回数を増やすざます!!」


「勘弁してくださいよ! 仕事で疲れているんですよ!」


「もっと手際よく仕事ができるようになるざます! そうすれば、疲れないざます!!」


「そんな簡単にはいきませんよ!」


「なら、体力をつけるしかないざますね! さあ、外を百キロ、ランニングしてくるざます!!」


「無茶言わないでくださいよ!?」


「なら、ウォーキングでもいいざます!! さあ、すぐにやるざます!!」


「ええ~、いま帰って来たところなんですよ。それに、ウォーキングなら、毎日少しずつやってますって」


「そんなんじゃあ、足りないざます! もっと走りまくるざます!!」


「走ったら、ウォーキングじゃないでしょ!?」


「ガタガタ抜かすなざます! 早く行けざます!!」


「分かりましたよ!」


 着替えて、ウォーキングをした。


 ああ、配信者は大変だなぁ。

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